7.何だったのか?
「ルキノさんの体験談です」
一人暮しをしていた頃、仕事から帰るとテレビを見て過ごすのが習慣だったのですが
久しぶりに本が読みたくなってベットにもたれながら本を読んでいました。
すると、どこからとも無く鈴の音のような、薄いガラスが割れるような
金属が触れ合うような音が私の住んでるマンションの周りから断続的に聞こえてきました。
何の音かと気になって窓を開けて周りをみましたが
街灯に照らされた道路には誰もいません。
窓を閉めてからもその音は、大きくなったり小さくなったりしながら
四方八方から聞こえてきました。
気味が悪かったのですが本を読みつづけているうちに音は聞こえなくなりました。
次の日もほぼ同じ時刻にその音がなり始めました。
遠くから近くから聞こえてくるその音は
気にしないでおこうと思っても、耳について離れません。
最初は、誰かのキーホルダーか何かかとも思いましたが
聞こえてくる方向が瞬時に変わるので、結局音の正体はわかりませんでした。
三日目には、その時刻になると耳を澄ますようになりましたが、その音は聞こえてきません。
なんとなくホッとして本を読んでいると、私の部屋のドアがノックされました。
力の無いドアを擦るようなゾッとする音のノックでした。
恐る恐るドアミラーから覗きましたが、廊下には誰もいませんでした。
ノック以降、その音も聞こえなくなり今となってはあれが何だったのかわからず仕舞いです。
何だったのでしょうね?

瞬時に方向が変わるのは、生きている人間の仕業ではないでしょう。何もなくて何よりでした。


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