8.家の前
1996年、夕方から夜にかけての時間帯になると、家の前を人が歩く音がするのです。
当然ながら、人が歩けば音がする。
しかし、人がいないのに音だけがするとしたら・・・・・
私の家の前に道路があります。
そして、道路側に大きな出窓があるのです。
人が通れば必ず見える、というより覗かれると言う方が正しいかもしれません。
ただ、夕方ともなれば覗かれないためにカーテンをします。
しかし、カーテンの端をめくれば道路側はすべて見えてしまいます。
ある日、人の足音がしたので来客と思いました。
家と言えば、私の家しかないものですから。
そして、飼い犬が玄関に走ります。
誰か来ると飼い犬が出迎えるのです。
しかし、いつまで待っても呼び鈴が鳴りません。
出窓のカーテンをめくり、玄関を見ますが誰もいません。
けれど、飼い犬は玄関でしっぽを振っている。
へんだと思って玄関を開けたのですが、やはり誰もいませんでした。
「なんだろう?」という気持ちで部屋に戻ると、また足音がするのです。
家の前に来たところで出窓のカーテンを開ける。
足音は止まったものの誰もいない・・・・
100メートルほどの真っ直ぐな道。
姿を隠そうと思えばできますが、隠そうとすれば音がします。
音はしていません。
そして、カーテンを閉めると、また止まった場所から足音が聞こえるのです。
次へ
戻る
TOP