いま鉄 OVERSEAS 4
集通鉄路 春から夏へ   2004
雪のない集通には、行ったことがなかった。
二度ほど訪れた厳寒の熱水は、
たしかに素晴らしいドラマを見せてくれたが、
まだ肌寒い春の朝はどうだろう?
夏には、あたり一面に、ひまわりが咲くという…。

2004年の、GWと夏休み。
朋ありて、集い通いし、彼の鉄路。

おそらく世界最後の、現役蒸機の長距離客車列車を
何度も何度も並走しながら、追っかけ倒し、
食堂車でビール、という、得がたい経験も味わった。

春も夏も、想像以上に素晴らしかった。
でも、どちらも、最初で最後かもしれない…。
8.12 経棚−下坑子
4.30 査布嗄
8.10 査布嗄
大板机務段の朝。まだ明けやらぬ暁の空に、前進の姿が浮かび上がる。
4.30
現役蒸機の集う基地として、ここほど、生きている蒸機の息遣いを感じられるところはないだろう。これで物売りがいなければ最高なのだが。
夜の装飾ガマは、ため息が出るほど美しい。
5.1 大板机務段
夜を徹して走ってきた客6051次が、夜明け前のひまわり畑にさしかかる。
8.9 林西−温都和硯
曇り空の朝。晴天を期待していた我々は少しがっかりだったが、逆に、黙々と走り続ける現役蒸機の味が滲み出ている。
5.2 大板−宝木吐(左)平頂廟(右)
朝の客6051次を順光で捉える、メジャーポイント。左は春訪れた初日の朝、素晴らしさに眠気も吹っ飛んだ。右は夏の撮影。春と比較すると、煙は少ないが、大地をおおう緑が美しい。
(左)4.30 (右)8.9 大板ー宝木吐
弱い夕陽を浴びながら、オメガループを駆けて行く、装飾ガマ牽引の客6052次。この夕方の西行客レには、装飾ガマがよく充当されていた。
4.30 衛門廟−林東
かたや、朝の東行、客6051次には、装飾ガマの姿を見かけることがなかった。古魯満汗の東、羊飼いが通る丘から捉えた一枚。晴れれば、白煙はここらあたりまでで、あとはスカってしまう。 5.1 古魯満汗−査干哈達
大板の一つ手前、平頂廟で朝を迎えた、夏の6051次。朝日に輝く前進の逞しさ!
8.9
衛門廟を出て、すっきりした築堤を行く。ロバが線路際に2頭、繋がれていた。
8.9
今度は、場所は違うが、夕方の6052次で、春と夏の比較を。ゴツゴツとした岩肌もいいが、木々を渡る風もいい!
(左)8.9 査布嗄−小興隆地
(右)4.30 衛門廟−林東
腕木信号、青空、白煙。こんなに役者の揃った写真は、30年前も撮ったことがない。
4.30 古魯満汗
春の内モンゴルは、
突風と砂嵐に見舞われる日もある。
初めての経験で、帰国してから、
砂で喉をやられたことに気づく…。

砂に岩山が霞むというのも、初めてだ。
そして、こんな新しいDCを見たのも。
5.1 衛門廟−林東
5.1 古魯満汗
4.30 林東
査布嗄には、大板机務段の支区ともいうべき、「機関車折返段」がある。こちらは大板と対照的に、カマの出入りもそれほど活発ではなく、静かな雰囲気。ゆったりと、時が流れている。
8.10
給炭クレーンの前では、乗務員たちが、カメラ付き携帯に見入っている。そして、クラの中には、、整備中の東風が…。
8.10 査布嗄
夏。大板から前進の牽く客6052次で熱水へ。
名所・熱水は、予期せぬ夏の雨に見舞われた。
翌日はなんとか雨も止み、帰る頃には青空が…。
緑のじゅうたんと夏の光り、は撮れなかったが、
その代わりに、白煙のプレゼントが待っていた。
8.12 哈達山−上店
8.12 哈達山−上店
8.12 六地溝−上店
菜の花、ひまわり、そばの花。
そして、緑織り成すグラデーション。
雨上がりの白煙が、
想像とは違った、夏の熱水を
演出してくれた!
8.12 嗄拉徳斯泰−三地
8.12 経棚−下坑子
8.12 経棚−下坑子
8.10 古魯満汗
(左)5.1 (中)8.10 古魯満汗  (右)8.10 嗄拉徳斯泰
西行6052次は、夕暮れの古魯満汗駅に、小休止する。
客車の窓からは、明かりが洩れ、
ホームには、どこからか集まった物売りの声がする。
やがて、真新しいDCが、追い抜いていくと、
6052次も、日暮れとともに、発車時間を迎え、
名残惜しそうに撮影を終えた我々も、列車の客となる。
そして、ドラフト聞きながらの食堂車の夜!

こんな夢のような時間を、春と夏、二度も体験した。
このまま宝物にしておきたい気持を弄ぶように、
今度は、集通に、おそらく最後の冬がやってくる。
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