パーク・アンド・バス・ライド

バスと車、どっちを取るか・・


なぜか福山市で実施された、交通実験に参加してみました


2000年2月29日〜3月2日にかけて、福山市北部と神辺町で「国道182号線パーク・アンド・バスライド交通社会実験」という、実験が行われました。 この長ったらしい名前の実験は、「福山地域都市交通円滑化推進計画策定委員会」という、これまた長ったらしい名前の機関(福山=Fukuyama、交通=Traffic、計画=Plan でFTP委員会とでもすればいいのに(^^))が行ったもので、簡単に言うと、マイカー通勤者が郊外の駐車場に車を停めて、そこから専用バスに乗りあわせて通勤するとどうなるか、という実験です。 この実験に参加してみましたので、簡単なレポートにしてみました。


1.実験の概要

今回の実験の概要は以下のようなものです。

モニター対象 福山市北部及び神辺町から、福山市内へ通勤・通学する人
モニター人数 600名募集(私は締切り3日前に申し込んで、516番でした)
新聞によると、実際に参加したのは、初日で450人だったそうです
使用路線 御幸町(福山平成大学前)、神辺町(神辺町文化会館) ←→ 福山駅前、三菱電機前、鋼管町(写真1)
バス運行形態 朝・・・6:45,7:05,7:25,7:40,8:00(神辺町→鋼管町の場合)
夜・・・16:40〜22:10まで15〜30分間隔(鋼管町→御幸町、神辺町の場合)
        (夜は駐車場別ではなく、全てのバスが御幸町→神辺町の順に回る)
実験の特徴 1)専用バスレーンの設置
朝の通勤時間帯(8:30迄)に、国道182号線の神辺第一陸橋から福山市民病院下までの区間の上り(福山方面)1車線をバス専用レーンとして使用する
2)鋼管町内へのバス乗り入れ
路線バスで通勤する場合は、正門前で一旦バスから降りて、正門を徒歩で入り、鋼管町内は構内バスを利用することになりますが、今回は専用バスがそのまま乗り入れ、構内を回ってくれるので、全く乗り継ぎなしで目的地まで運んでくれます
3)駐車料金、バス運賃等、全て無料である


このうち、専用バスレーンの設置というのは、その区間が2車線から1車線に減少するわけですから、現場の交通事情を知っている人なら誰が考えても、記録的な大渋滞を引き起こすことは目に見えているというくらい、強引なものです。 しかし、送られてきたガイドブックには、始発の神辺町文化会館から鋼管町まで45分という、あまりに楽観的すぎて、これは何か大きな秘策でもあるのでは?と思わせるような数字が挙げられていましたが・・。

また、今回の実験では、参加モニターは車のダッシュボード上に駐車証明書を置き、バスに乗る際にモニター登録証を提示しなければなりません。 とは言っても実際、バスの方はノーチェックでしたが・・(^^; 後で述べますが、これはちょっと問題ですね。


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2.モニター体験記

では、モニター体験記です。 ほとんど日記よりそのまま引用ですので、既にお読みの方はあしからず(^^;


第1日目:2/29(火)

「大駐車場」
写真1.舗装にしてほしかった大駐車場

「神辺駐車場のバス乗り場」
写真2.神辺駐車場のバス乗り場

「寒いバス停」
写真3.寒風吹きすさぶ構内バス停

さて、いつも家を出るより10分早い8時発(これが最終便なのです)のバスに乗ることにして、15分前に家を出ました。 駐車場までは普通なら朝でも5分そこそこの道のりなのですが、182号線に出た瞬間に「これはヤバい」と直感。 雪の日以外ではどんなに渋滞していてもここまでは来ないぞ、というパチンコ屋前のあたりまで車が並んでいます。 さっそく次のダイサン石油の信号を左折して裏道へ。 幸い、こちらはスイスイと流れ、ほどなく到着。 しかもラッキーなことに、手前の大駐車場(写真1)が既に満車で、バス乗り場(写真2)のすぐそばの予備駐車場へ誘導される(^^) 地図で数えると、大駐車場のキャパは150台余りだったので、けっこう参加者がいたんですね。 で、目の前のバスへ乗り込むが、これがちゃんとした観光バスで、なかなか快適。 途中ですれ違った回送のバスは路線バスだったので、これまたラッキーだったってわけ(^^)


さて、10人余りの乗客を乗せ、定時に発車して486号を快調に走ったバスですが、182号へ左折する交差点の手前で早くも渋滞に捕まります。 見ると、北(加茂方面)からも西(駅家方面)からも長蛇の列。 ここからベタ混みが始まって、専用バスレーンのタイムリミットである8時半にはとても第一陸橋まで辿り着けないペース。 しかし、実験に参加するので出勤はいつになるか分からない旨を職場に申告しているので、みんな余裕で歓談(^^) 私もCDウォークマンを聴きながら、二人分のシートにゆったり座って、読書(^^) 時々横の車の列を見ると、みんなイライラして、携帯をかけまくっている。 この彼我の温度差はスゴいものがあったでしょう。 この制度が本施行されたら、利用する最大のメリットはこれでしょうね。 運転しなくていい、遅れてもいい、ってのがなんと楽なことか(^^)

すっかりお気楽な一行を乗せたバスは、なんと8時45分にやっと第一陸橋に着きました。 すると、バスレーンが時間を延長してまだ設置されています(これで、一般車両のイライラはさらに高まったでしょう)。 そこから白バイの先導(マラソンみたいや!)で、バスレーンを突っ走ります。 要所要所には警官が配置されていて、これだけいたら「ちょっと目を盗んでバスレーンを・・」なんてこともできないでしょう。 かくして、バスレーンの終点までわずか5分。 これで一気に挽回して、鋼管正門前には9時5分に着きました。 普通ならここから一般のバスは入れませんが、続けて鋼管町内も回ってくれる、というのも今回の実験のミソ。 しかし、誰が見積もったのか、寄り道しながら鋼管町をひと回りするのに20分なんて、絶対にムリです。 案の上、全行程の半分の位置にある、私が降りるバス停まで15分もかかってしまった(それまで2ヶ所しか寄らなかったのに)。 結局、到着したのは9時20分。 バスレーンの横で渋滞していた一般車両は、いつ到着できたのでしょうか・・

帰りは、18:15中門発のバスに乗ることにし、18:25くらいからバス停(写真3)で待っていたのですが、これが来ない(^^; 寒風吹きすさぶ中、10分ほど待たされてしまいました。 結局、正門到着は18:50。 この時点で15分の遅れです。 しかし、一般道に出てからはスムーズに進みます。 帰りのバスは御幸・神辺兼用で、先に御幸町を回るので、御幸駐車場には19:15着。 神辺駐車場へは19:20に到着しました。 係員が朝の遅延の件を盛んに謝罪、「明日もよろしくお願いします」と。 バイトの人がほとんどなんだろうけど、大変ですね(^^)

やはり、音楽を聴き、読書しながらの通勤は快適そのもの。 私にとっては、この通勤時間の有効活用というのが、いちばん大きいですね。 あとは、事故に遭う確率が低い、ってことかな。

さて、明日以降は一般車両のドライバーがどんな知恵を使って、あのひどい渋滞を回避するか、が試されるわけですね(^^)


第2日目:3/1(水)

「待合所」
写真4.神辺駐車場の待合所

「やっと来た」
写真5.やっと来たか・・

今日もやはり15分前に家を出て、駐車場へ。 しかし、道はガラ空きで、5分で到着。 やはり大遅刻が響いたのか、昨日よりも参加者は少ないらしく、今日は乗り場から遠い大駐車場でした(とは言っても、ほぼ満車でしたが)。 ところが、乗り場まで歩いていくと、バスが来ていない。 待合所(写真4)のテント内でストーブにあたりながらしばし待つ間にも、何度か係員が謝りに来られる。 結局、10分遅れの8時10分スタートとなりました。 今日は昨日の豪華観光バスではなく、普通の路線バス(写真5)だったのが、ちょっと残念(^^) 走り出すと、今日は見事なくらい渋滞がなく、バスレーン開始地点まで10分、蔵王まで7分(今日は先導の白バイが2台、ますますマラソンだ)、といった具合にスイスイと進み、鋼管正門前に8時35分には到着。 そこから構内に入り、職場まではやはり昨日と同じ15分で、8時50分には到着しました。 これくらいなら、マイカーの代替手段として十分機能しますね。

しかし、やはりモラルのないドライバーというのはいるもので、バスレーンに入ってから、バスの後ろから数台の車がピタリと着いてきていました。 信号ごと(実際はもっと多い)に「一般車両は右車線へ」と書いた表示板を持っている警官が立っているわけですから、分からないわけがありません。 初日は観光バスだったので後ろが見えませんでしたから、もしかしたら初日からこういう輩はいたのかも知れません(渋滞は初日の方がはるかにひどかったわけですから)。 ちょうどデジカメを持っていたので、撮影してここに掲載してやろうかとも思いましたが、後々面倒なことになるのもイヤなのでやめました。 ああいう手合いは何を言われようと反省などせず、逆に注意した方を頭ごなしに恫喝するだけですから、相手にするだけ無駄というものですね。 しかし、先頭切って堂々と着いてきた車は、私が常々モラルのない嫌なドライバーが多いと思っているタイプの車だった、というのが面白かったですね。 これでますます嫌いになっちまったぞ(^^;

帰りは、昨日の記述をそのまま、時刻だけ15分早めたものだと思ってください。 それくらい何事もなく終わりました。 ただ、昨日と違うところは、帰りは観光バスだったということです。 やはり、路線バスとでは、疲れ方が違います(^^) 本格的に実施するときは、ぜひ観光バスにしてほしいものですが・・、無理でしょうね(^^; というわけで、初日とは全く違う結果になったわけですが、一般車両の対応があまりに鮮やかすぎて、これで関係各方面が「この計画でも行ける」と勘違いしてしまったんではないかと心配になります。 今回は3日間の限定だったので、遠回りするなり時間をズラすなりで対応した人が多かったのでしょうが、これが毎日になるとまた話は変わってくるでしょうからね。 あまり事態は改善されずに「やっぱりもう少し考えないと」と思わせたほうがよかったんじゃないですかね。 この分だと、朝はバスレーンが常設、という日も遠くないかも・・(^^;


第3日目:3/2(木)

法事で休み。 申し訳ない・・(^^;


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3.モニターを終えた感想

というわけで、最終日もどういう結果になるか確かめたかったんですが、都合で欠席となりました。 報道された内容を見ると、2日目と同じく、成功裡に終わったようです。 これで、口では無理だとかなんだとか言ってても、いざ実行してしまえばなんとかなる、という実証が取れたという形になったわけですが、上にも書いたように、これはあくまで3日間で終わる実験だったからだ、というのを忘れてはいけません。 いわば、マイカーは非常対応をしたわけで・・

出勤時刻をズラす等の対応も短期だからできるわけで、恒常的にとなると、フレックス制を導入していない(うちのような)企業では難しいでしょう。 また、初日のような不測の事態による遅延の場合にも、首都圏の鉄道のように「遅延証明書」を発行して、それを提示すれば遅刻もお咎めなしというコンセンサスがないと、なかなか安心して利用できません。

周辺道路へ交通量が分散する、というのも、幹線道路の渋滞緩和という点からはいいでしょうが、逆に周辺の道路では渋滞がひどくなりますから、全体としてはあまり変わらないのかも。 まあ、このあたりは実験の前後の期間、各所で交通量の計測をしているのを見かけますから、しっかりデータは取っているのだと思いますが・・。 あと、生活道路である裏道の交通量が増えると、事故等のトラブルも多くなりますね。

また、迂回路というのは通常のルートより距離が伸びるのが普通なので、ヘタをすると走行時間が逆に増え、環境面ではかえって悪い結果になるかも知れません。

まあ、結局バスに乗る人が増えなければ問題は根本的には解決しないわけで、そういう意味ではパーク・アンド・バス・ライド方式の成否も、料金設定にかかっているのかも知れません(あとは、前述の社会のコンセンサスね)。 既に実施している金沢市の場合が、駐車場となるショッピングセンターの商品券5000円と、通常定期の4割引きでしたか。 商品券はどうせ使うだろうからいいとして、運賃4割引だと神辺からは8000円ちょっと。 車を使う場合、20日出勤とすると、うちの車ではガソリンが69リッターほど必要で、昨日給油したスタンドが92円/リッターでしたから、6350円ほど。 う〜ん、やっぱり、運賃面でマイカー通勤よりちょっとでも安くないと、わざわざ利用しようという気にはならないですね。 確かにバスだと通勤時間が快適(試験勉強などには最適)なんですが、その分帰りにちょっと寄り道、というのもできないわけですし。 やはり、金銭面での説得材料がほしいところですよね(^^)

また、地方ではどうしても車に乗っている人間が偉い、という風潮があります(そんなことはない、という人は、一度首都圏で生活してみれば分かります)から、いつも歩行者を蹴散らしてデカい顔で走らせている車を降りて、ということにはなかなかなりません。 ですから、企業が全面的にバックアップし、利用者には何らかのメリットを与える(もちろん逆もあり)等の対策を講じないと、なかなか効果が上がる規模にまでは拡大しないでしょうね。 さらに進めて、従業員のうち、利用者が一定比率に満たない企業には、自治体から何らかのペナルティを課せられる、というくらいでもいいかも知れません。


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4.気付いた問題


(1)鋼管町内へバスが乗り入れることに起因する問題

今回の実験では鋼管町内までバスが乗り入れたわけですが、モニター募集時にも、実際の乗車時にも、構内勤務者であることの証明は求められませんでした。 構内に入るときには、バスの中の人間はいちいち入門証のチェックなどされませんから、これはセキュリティ・ホールになりますね。 全く関係のない部外者がノーチェックで堂々と出入りできることになってしまいます。

もちろん、本運用時にはユーザー登録時のチェックはされるのでしょうが、退職者の情報がどの時点で反映されるかによっては、空白の期間ができてしまう可能性があります。 退職手続きの中にユーザー登録証の返還を盛り込む必要がありますね。


(2)駐車場の警備の問題

今回の実験では、随所に非常に多くの警備員、係員が動員されており、また駐車場も専用駐車場であったため、まず心配はなかったでしょう(私も実際に警備の状況を見て安心したわけで、初日は降ろせるものは全部降ろして行きました(^^;)が、本運用となると人員は減るでしょうし、駐車場も一般客との兼用になることが考えられます。 利用者の車両は登録証を外から見える位置に提示しているわけで、つまり夜まで帰ってこないと宣言しているようなものですから、車上狙いにとっては格好の獲物になりますね。

また、初日は19:30の時点で既にバス停や待合所、仮設トイレ付近の照明が消えており、大駐車場への道も暗かったので、女性にはちょっと恐いかな、という感じでした。 2日目は要望があったのか、ちゃんと照明が点いていたので安心でしたが、やはり人がいないと不安ですよね。 このあたりは光熱費や人件費をケチらずに、雇用確保のつもりで奮発してほしいものです。


(3)バスレーンの交通整理の問題

モラルレスドライバー対策とでも言いますか、体験記でも書いた規則破りのドライバーに対する処罰を厳正に行う必要があります。 あれだけたくさんの警官が配備されている中でも堂々とバスレーン走行ができるとなると、多くのドライバーがそれに追従することになり、危険が増します。 規則破りの車同士が事故を起こすのは自業自得で別に問題ないですが、善良な他の車を巻き込んだり、渋滞の引き金になってはたまりませんから、どんどん取り締ってもらわないと困ります。 そういう意味では、白バイは先導するより、バスの後ろを追走した方がより効果的だと思います(^^)


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5.最後に

まあ、いろいろと問題もあった実験ですが、準備・実施には多大な労力と資金が必要だったでしょうから、ぜひこの結果を無駄にせず、何らかの形で生かしてほしいものだと思います。 寒い中で3日間もがんばっていただいた関係者の労力に報いるためにもね。 これを読んでいるあなたも、こういう機会があったら、次回はぜひ参加してみませんか? 外から文句を言っているだけでは、何も改善されませんよ(^^)


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