++華々しき鼻血++

小中学生の頃、副詞というものが理解し難かったです。
名詞・動詞・形容詞・形容動詞・助詞・助動詞に比べて
圧倒的に授業時間が少なかったためと考えています。
他の品詞は例文に次ぐ例文で懇切丁寧な説明をされましたが
副詞にはそんな時間を掛けてくれなかった記憶があります。
実際、華のある言葉ではなさそうです。
「副」詞と言うぐらいだし。
例えるならカレーライスにおける福神漬け。
お赤飯におけるごま塩。

しかし、今回のゴーリーは
そんな副詞に華を持たせた作品。

-----------------------------------------------------
書名/華々しき鼻血
著者/エドワード・ゴーリー
訳者/柴田元幸
初版/2001年11月
発行/河出書房新社
-----------------------------------------------------
ゴーリーと言えば、独特の韻を踏んだ原文と
それを訳す訳者のセンスの良さが特徴になっていますが
なんですか。今回は邦題からしてブッ放してますが。
しかも、まるで日本語訳のために付けられたような原題。
加えてピンク好きの私にはこの装丁が辛抱たまりません。

さて、中身はと言えばこれまたゴーリーお得意の
アルファベット順の構成。
何でも、「迷ったら、アルファベットをやる。
素材をまとめる上でこんなにいい手はない。」
とゴーリーは言ったそうだ。(解説による)
つまり、ネタ切れによる手抜き、ですか。

さて、もう一つの特徴である韻ですが原文を見ると、
「She wandered among the trees Aimlessly.」
「The creature regarded them Balefully.」
・・・そりゃあ、英文で副詞使用といったら
須らく文末に「-ly」だろうて。
ますますもってネタ切れ手抜きか。

しかも、日本語での副詞の性質上、どうしても
訳されると主人公の副詞の印象が薄くて仕方ありません。

もっとも、出てくる副詞はみんな
相変わらずのゴーリーテイストですが。
そん中でもサイコーにイイのは
Lewdly
「He exposed himself Lewdly.」
(わいせつに わがみを さらす。)
なんて華々すぃー!!

-----------------------------------------------------
しかし、この本、一番華々しいのは
購入した折のレシートに
「ビジュツオンガク」と刻印されたことに相違ない。

そっかー、これ音楽書かー。ビックリだ。