++犬食【食後編】++

食い残してしまった罪悪感と
完食できなかった敗北感と
犬食ったという達成感と。
様様な思いが交錯する中、会計お願いと席を立つ。
と、そこへ目に飛び込んだ冷蔵のショーケースの中。
見慣れぬ缶飲料が入っている。
興味を惹かれ、同行者とコレ何だろーねーと談笑。
名称はハングルで書かれているのでサパーリだが、
「Rice」とあるので、米の酒かと同行者。
ああ、そうだろうねぇ・・・と半ば納得しかけたそのとき。
「何、何、どうしたの?」
さっきまでハングル語を話していたオッチャンに
声を掛けられ、心底ビビる。

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流暢すぎる日本語は自発的な学習によるものなのか、
はたまた歴史的要因が絡んでいるのかとふと考えてしまった。
小学校低学年くらいの男の子を連れていたが、
このコは日本語が分からないらしい。
じっと私を凝視しており、緊張や戸惑いを感じているようだ。

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「これはねぇ、お米のジュース!そうだねぇ・・・
甘酒!甘酒に似ているよ!!」
「ナルホド、甘酒ですか。」
確かに甘酒はお米のジュースとも言える。
と、いうことは冷たい甘酒なのか?
「おいしいよ!すごくおいしいよ!!飲んでみなよ。」
激しく薦められる。
この気さくなオッチャンへの好感と、
COLD甘酒とはどんなだという好奇心から購入試飲決定。

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店を出ると自分が軽い興奮状態にいるのが分かった。
異国の地で異国の方と
何と言うことはないコミニュケーションが取れたときの歓び。
そんな気分だった。
また来ようと思う。もうちっと修行を積んでから。
で、そん時は補身湯を完食してやるのさぁ!

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で、次の日例のCOLD甘酒を試したという同行者の話を聞いた。
「一口飲んで、捨てた。」
・・・そうだろうなぁ。予想はしてたよ。
そんな訳で、この犬食の思い出として、私の冷蔵庫には
今も甘酒もどきが鎮座している。
いつか飲む時、思い出すんだろう。
犬の味をさ。
キャイン。

(2002/02/15)