++不幸な子供++

世界の名作「小公女」を存じない方は少ないと思います。 
主人公の少女セアラは裕福な家庭に生まれ、 
ダイヤモンド鉱山を夢見る父親の都合で 
寄宿舎に入ることになるものの 
恐ろしいくらいの特別待遇。 
何一つ不自由なく幸せに暮らしていたところへ、 
父親の訃報。 
すると一転、貧困・イジメ・シゴキと 
不幸が雪だるま方式で襲い掛かります。 
しかし、最後は一発大逆転。 
ツライ境遇から抜け出せた上に、 
その後のセアラは末永く幸せに暮らせたであろうことを 
匂わせて物語は幕を閉じます。 
この、主人公の幸福度と物語の時間の経過を 
グラフにするとこんな感じでしょうか。 
セアラ不幸グラフ
所謂、安定的な話型の1つです。

今回紹介するのは、エドワード・ゴーリーが 
この話型を踏襲した絵本です。

書名/不幸な子供 著者/エドワード・ゴーリー 訳者/柴田元幸 初版/2001年09月 発行/河出書房新社
主人公はシャーロット・ソフィアという女の子です。 やはり、裕福な家庭に生まれ、 やはり、父親が死に、 やはり、寄宿舎に預けられ、 やはり、イジメられシゴカれ、 やはり、父親が死んだと思われていたら実は生きていて、 やはり、最後はゴーリーらしくてもう、サイコー。 ちなみにこれを、件のグラフで表すとこんな感じ。 シャーロット不幸グラフ 不幸の限界をなお突き抜けています。
しかし、この本、一番不幸なのは 献辞として「V.R.ラングを偲んで」と書かれてしまった ラングさんに相違ない。 こんな話で偲ばれるラングさんの人間性が 疑われることを後世に残されたのですから。