海苔メジナ(ノリメジナ)釣り

海苔メジナを始めるまではオキアミ一辺倒、隣の釣り人が海苔を使っているのを見ても『メジナを海苔で釣るやり方もあるって聞いた事あるなー』程度。その後もオキアミで釣れても足裏サイズ、三浦はやっぱり釣れないのか?
ある日の釣り新聞の海苔メジナの特集記事、写真に掲載されていた海苔は家の近くにあるのと同じ。でも、こんな『草』でメジナが釣れるのか?
どの海苔が良いのか、ハリにはどうやって付けるのか、アワセは?釣り場で数少ない海苔メジナ釣りをしている人のやり方を盗み見たりして、海苔メジナ釣りのイロハから試行錯誤の連続でした。
最初に海苔でメジナを釣ったときのメモが無いのですが、確か30cmほどだったと思います。間違って釣れたのではなく、メジナはきちんと海苔をほおばっていたのを覚えています。
それから急速に海苔メジナ釣りにのめり込み、海苔って何だろう?メジナってなんだ?と疑問も膨らんでいきました。

このページでは今現在の僕の海苔メジナ釣法を記しますので、このページをネタに『僕はこんなやり方でやってる』とか『こんな話を聞いたよ』などなど海苔メジナの話で盛り上がりましょう!。

ここからは海苔メジナに関する僕のやり方・意見を書きますが、釣り方・仕掛けだけでなくメジナや海藻に関する話も不可避です。海苔メジナ釣りの話とごちゃ混ぜになるかもしれませんが、ご勘弁を・・・
それと、釣りは自然相手です、このページで紹介する事例などは『いつも毎回』起こる事象ではありません。僕も海苔で喰わなくてオキアミでメジナ釣ったりしてますし、いろいろです。

さて、前書きが長くなりましたが、まずはじめにメジナの行動などについて述べてあり僕の海苔メジナ釣りの拠り所にしている文献等を紹介します。(題名をクリックすると文献が開きます)

『福岡北部沿岸におけるメジナの生活史』 九州大学農学部(1984年) 口太メジナの幼魚の生態観察ですが、メジナの季節による食性の変化など盛り沢山の内容。
『藻場再生緊急対策事業』 大分県海洋水産研究センター 3月頃の30cm前後のメジナが食べたものの調査結果があります。(ページ22)
『グレ・チヌの生理生態学』 広島大学生物生産学部 海野助教授 黒鯛やメジナについての興味深い話満載!
『さかなの科学』 広島大学生物生産学部 海野助教授 上記と内容が重複している部分もありますが、新しい話も掲載されています。徳島新聞の連載記事
『メジナ幼魚の水温変化による捕食行動解析』 近畿大学水産学科漁業生産システム研究室 友松信彦氏(平成16年度卒論) メジナの幼魚ですが、水温を変化(低下)させた時のメジナのエサの喰い方の観察。ある水温で活発にエサを喰うのがわかります。

千葉大学海洋バイオシステム研究センター銚子実験場 『海藻・海草標本図鑑』 釣り場で見かける状態に近い写真が分りやすい。海藻リンクページにある三重大学の図鑑は種類も豊富、併せて利用すると便利。海藻のお勉強はここから

本題に入ります、海藻(あえて海苔と表現しません)を喰っている魚は、口太メジナ・尾長メジナ・黒鯛・カイズ・アイゴ(バリ)・ブダイ・真鯛・イスズミなどです。このうちメジナと黒鯛・カイズ、イスズミ、アイゴについては僕自身の釣果でも確認できています。
ほんの少しだけ海苔でもメジナ釣れるかな?なんて気になってきましたか・・・?

では早速、海苔メジナ釣りのお話です。
1.海苔は軽い
海苔を使った釣り、僕が心がけている基本事項はただ一つ『
海苔は軽い』、これだけです。
コマセ・仕掛け・仕掛けの操作、全てに共通するのは海苔は軽いということだけです、あとはオキアミ使ったウキフカセ釣りと同じです。

2.海藻と海草
海苔メジナ・ノリメジナと聞きますが、僕は『メジナは”海藻”を食う』と思っています。海藻と海草は違い海草は陸上植物と同じように根や花があります。
海藻は緑藻・紅藻・褐藻に分けられます、分類は細胞内の葉緑体の違いで分類されており、生息地帯は海面から海底に向かって緑藻・紅藻・渇藻となります。
緑藻は、いわゆるノリメジナで使われる船揚場で採れるものです、種類はヒトエグサ・ボウアオノリ・リボンアオサなどが代表選手。紅藻の代表はテングサですね、他にはウシケノリやツカサノリなど。褐藻の代表はワカメや昆布・ホンダワラなど。
このうちホンダワラについてはメジナは食べないようです。

いわゆる『海苔』と呼ばれているのはアサクサノリなど紅藻類です。緑藻は『青のり』と呼ばれるもので、アナアオサやスジアオノリは焼きソバやお好み焼きに、ヒトエグサは海苔の佃煮や刺身のつまとして使われているそうです。韓国産の海苔はアルバアマノリだそうです。詳しくは株式会社 磯駒海苔のHPに書かれています。
海苔メジナ釣りの『海苔』は緑藻の仲間です。

3.海苔で釣れるメジナ
口太はもとより尾長も釣れます。口太も木っ端から良型まで海苔に喰ってきます。
『メジナが海苔を食うのは冬だけ』なんて話を聞いたことがありますが7月頃まで十分に海苔で良型が釣れますし、メジナの消化管にも海藻が入っています。僕の推測ですが、冬にノリメジナやるのは釣り人が海苔を採り易いからでは?春先にはオキアミ使えば黒鯛も狙えますから海苔は使わないのでしょう。
『海苔を喰うメジナって磯際や沈み根の近くだけでしょ?』なんて話も聞きますが、梅雨時期の活性が高い時はオキアミでの釣りと同様にサラシの切れ目や潮目などがポイントになります。

4.コマセ
コマセに入れた海苔は沈みにくい。
海苔メジナのコマセ、伝統的なのは『海苔+砂』だけ、軽い海苔が表層を漂わないよう海苔と一緒に採った砂をまぶして投入します。このコマセの長所は梅雨メジナの時期などに木っ端が寄るのを軽減出来ます、欠点はコマセの遠投が出来ない、向かい風で操作し難いなどです。
僕はマルキューの粉物を好んで使ってます、以前はグレパワー+海苔+アミでしたが、最近はのりグレを主に使っています。
粉物ベースのコマセに採ってきた海苔と砂を入れると、コマセ投入時に空中分解したり遠投できなくなります。小さい海苔ならまだしも、ノリメジナのシーズンでは海苔も生育したものが多いですね、この場合海苔は細かく刻みます。また、砂が入っているとどうしてもコマセのまとまりが悪くなります(黒鯛のダンゴ釣りも砂が多いと同じ状況になりますね)。海苔や砂が入ってもコマセがまとまるようグレパワー遠投とアミを追加しています。この組み合わせで大抵の状況に対応できるコマセになります。
アミエビや粉物入れるので梅雨時期は木っ端の『ツン』アタリもあります、後で述べますがハリに付けた海苔は木っ端のツンアタリに弱いのです、これがこのコマセの欠点。
コマセの投入も軽く流され易い海苔の動きを計算に入れて、投入点を決めます。

2005年から海苔と砂だけのコマセで良い釣果に恵まれています、引き続き『海苔+砂』コマセでやってみようと思います。

5.仕掛け
(1)ウキ
地元のベテランさんのお話では棒ウキを使った仕掛けが主流だったそうです。冬の渋いアタリをキャッチするには良いかもしれませんね。僕は円錐ウキを好んで使っています、負荷はB〜5Bなどが多いです。梅雨時期の高活性時にサラシや磯際などのピンポイントを狙う時には重い負荷の仕掛け操作が容易ですし、冬場はメジナも海底付近にいることが多いようで、この場合ガン玉を段打ちにしますので3Bや5Bを使います。
ウキ下を長くとって大き目のハリに海苔をポッテリと付けた場合、潮の流れによっては仕掛けが引き込まれます、こんな場合ウキに余浮力があると仕掛け操作が楽です。

(2)ハリス
以前は細ハリスにしていましたが、ガン玉を打った部分から切れるトラブルが多かったです、せっかく掛けたメジナなのに取り込めませんでした。また、遅アワセが多いノリメジナでは、沈み根やテトラ周辺で食わせた場合太ハリスで一気に勝負つける必要があります、これらの理由から現在では太いハリスを使っています。感覚的には2号程度でも食いが落ちることは無いようです。

(3)ガン玉
軽いノリエサを沈めるのに不可欠です、状況によって段打ちにしたりします。ゆっくり沈めるときも段打ちにしています、例えばBを1個打つよりもG2+G3にします。
ハリに近い部分に打つガン玉、どこまで近づけても良いのでしょうか?どこでも関係無いのでしょうか?
僕の場合ハリから少なくとも10cmほど離すようにしています、理由は2つ。メジナがハリについた海苔をどうやって食べているのか分りません、一度水中撮影とかで見てみたいと思っています。だから僕の勝手な推測です、ウキ下にもよりますが、ウキがゆっくりと海中に入っていく場合、メジナは海苔をくわえてから『スポっ』と飲み込んで(吸い込む?)いるのかな?と思います。途中までゆっくり入って急にスーっとウキが入ることがあります、この時はすでに飲み込まれているのだと考えています。また、オキアミと同様に『シュっ』と入るときは口の浅い部分にハリ掛かりしていることが多いようです。
ハリから10cmほど間隔を開けるのは、メジナが海苔をくわえて飲み込んでもガン玉がメジナの口に当たらない長さです。メジナの口先から胃の入り口まで10cmあれば足ります。
2つ目の理由は、海苔が漂うように動きメジナに見つけて欲しいからです。海面ではバシャバシャとなっている海も竿1本程の海底付近では海面ほど動きは無いようです、そこで海苔をヒラヒラさせるにはガン玉とハリの間隔は長い方が効果があると考えています。

(4)ハリ
良型メジナの口は大きく、わざわざグレ4号などの小バリにこだわる必要は無いようです。ハリに付ける海苔の形状やメジナの活性(木っ端が多いとか)で選んでいます。葉状、帯状の海苔はグレ6号(チヌ1号)などに付け易く、一発良型狙いで使えます。食いが悪い時や薄く小さい海苔しか手に入らない場合はグレ4〜5号などのハリにします。小バリに付けた海苔は小さいですから、コマセにも気を使いコマセでメジナの注意を引くようにする必要もあります。また、アワセてもスッポ抜けたり途中で吐き出されたりするケースも増えます。
良く使うハリは『速手グレ』や『ひねくれグレ』などです。

(5)タモ網
余談ですが、ハリス2号などの太仕掛けで掛けてやり取り楽しんで、ブリ上げてメジナをキャッチするのが好きです。足裏くらいのサイズをいちいちタモ使って取り込みなんてのは性に合わないので・・・。タモ網を使う機会はメッキリ少なくなってしまいましたが(苦笑)

6.ノリメジナのアタリ
ノリメジナ釣りでの代表的なウキの挙動です。
『ノリメジナは遅アワセ』とよく聞きます、これはメジナが海苔をくわえてから飲み込むまで時間がかかることを表していると思います。オキアミ同様、ウキがスパーンっと入ったら『遅アワセ』でなく普通にアワセてもしっかりハリ掛かりしています。

左のオキアミと同じようなパターンが多いように感じます、この場合もアワセのタイミングはウキが見えなくなってから。

右の絵はメジナの活性が高く浮いている場合に多く、タナが浅い場合が多いです。どのタイミングでアワセるか難しいですが、活性が高いのですから、いつまでも海苔をくわえていないのでは?
僕はウキがある程度水平移動したらアワセます。
冬でもウキがスパーンっと入ることもありますが、モゾモゾアタリも増えます。
左の絵のパターンは、いちばんじれったいパターンです。ウキが完全に視界から消えるまで30秒以上かかることもあります。
そんな時、中森明菜の『少女A』を歌いましょう『じれったーい、じれったい』って。
アタリが無いときは夕マズメまで、あみんの『待つわ』でも歌ってのんびりしましょう!

冗談はさておき、実はこのウキが沈んで・浮いてを繰り返している時は道糸の遊び量を調整します、もちろん変なテンションを掛けるとメジナは海苔を離しますから要注意。それと、やり取りに備えて足場の良い場所への移動なども行います。
アタリがあってからアワセまで時間のあるノリメジナは釣り人にとって有利な釣りです、僕はまだまだ修行が足りないので、これだけ時間があってもバラシが多いです(涙)
『ノリメジナのウキのアタリと根掛かりの違いがよく分らん』という話を聞きます。どちらもウキの挙動がゆっくりだからですね。
メジナのアタリの場合、ウキのトップだけが見えて、水平方向の動きは小さく鉛直方向の動きが大きいです。

一方、根掛かりの場合はウキのボディがよく見えるようになります。
また、水平方向の動きに伴ってウキが沈みます。
鉛直方向の動きも波の上下動に同期しています。

木っ端メジナに海苔を盗られた状態。左がチモトでハリス側です(ハリはグレ6号)。
周りのオキアミエサにウミタナゴや木っ端メジナが釣れている状況でした。ウキ下を竿1本弱ほどとっていたためかアタリは根掛かりのようでハッキリしませんでした。エサの海苔は割とデップりと付けたのですが仕掛けを回収すると写真のようでした。
もっとエサを盗られてかろうじて海苔の切れ端だけハリに付いて戻ってくることもあります。
写真の場合は、デップりとした付け餌の海苔のハリから垂れた部分を喰って引っ張ったのだと思われます。海苔がハリからずれてチモトが露出し、海苔の下側がありません。

注)根掛かりした仕掛けを回収した場合にもこのような状態で海苔が戻ってくることがあります。

 

7.メジナの消化管
メジナはどれくらい海藻を食べているのでしょうか?2004年12月に釣ったメジナの消化物の写真です。

写真左上はメジナの尻尾、その右が胃や腸など消化管。
写真下に並べてあるのが入っていた海藻など、胃に近い部分が左、肛門に近い部分に入っていたものを右に配置してあります。
胃に近い部分に緑藻、腸には紅藻、そして肛門に近い部分には緑藻が入っていました。
コマセやオキアミと海藻の消化時間が分らないのですが、すくなくともそれなりの量の海藻を食べていると言えるでしょう。
注:ピンボケですみません
上の写真のメジナとは別のメジナです。左が胃で右が腸です。
胃には僕のコマセの海苔と押しムギ・粉物が入っていました。腸は紅藻が一杯詰まっていました。
僕のコマセに寄って長いこと食べていたのでしょうね。

この上下2つのメジナの海藻は比較的原型を保っていましたが、1月に釣ったメジナの腸からはドロドロに溶けた緑藻が出てきました。


8.海苔の保存
付けエサ用に採った海苔を保存する場合、採った海苔をビニール袋に入れて冷蔵庫に入れると2〜3日後に大惨事になりますので要注意!奥様や彼女から総スカン喰らいます。
そのまま入れちゃダメ、次の手順で冷凍保存しましょう。

STEP1:家に帰ったら水道水で水洗い。
この時、水流が強いと海苔が粉々になるので注意してください。また、小石や貝殻の破片も一緒に取り除きます。
STEP2:天日干し。100円shopで売っているような園芸用の網の上に洗った海苔を並べて干します。
STEP3:パリパリに乾いたら(多少湿っていても大丈夫)ビニール袋に入れて口を縛る、更にジッパーバッグに入れて冷凍庫で保存します。

これで匂いはしなく、いつでも付けエサとして使えます。
使うときは釣り場で海水に着ければ『増えるワカメ』と同じように元に戻ります。

9.海苔の採取

付けエサ用の海苔は写真の大きさほどのを使っています。もっと小さく柔らかい海苔を使う人もいらっしゃいますし好き好きでしょうか。
厚みがあり固いものは食いが悪いようです。
柔らかい海苔が生えている場所は触るとフカフカしています。
この中から柔らかそうなものを採取します。
お気に入りの船揚スロープ。
潮の干潮時刻を調べておきます。
梅雨明け頃にはタイドプールで写真
のシオグサが採れます。これでも
メジナ釣れます。
写真はハリに付けた状態。緑色の
髪の毛の様ですが遠投しても大丈夫

 

10.Check your NORI-MEJINA fishing
今までのお話で海苔メジナ釣りの全体像が見えてきたかと思います。ここからは、実際の海苔メジナ釣りで役に立ちそうなお話をしようと思います。

(1)海苔はハリに着いているか
慣れるまでは海苔や海藻をハリに付けるのに手間取るかもしれません、果たしてハリにしっかりと付けることが出来ましたか?。
確認する方法として、ハリに海苔や海藻を付けて通常どおり仕掛けを投入します。仕掛けが馴染んだら一旦仕掛けを回収します、その時ハリに付けた海苔や海藻の状態をチェックします。ハリからはずれたりしていませんか?
海苔や海藻の状態にもよりますが、慣れてくると遠投してもハリからズレなくなります。ハリへの付け方が甘いと木っ端などに簡単に盗られてしまいます。

(2)仕掛けは何秒で馴染むか?
冬になると磯際や海底付近などを狙うことが多くなります。狙ったハナレ岩や沈み根へ仕掛けを運んでも仕掛けは馴染んでいますか?
ぼくの仕掛け(ハリス2号、ガン玉G2+G3)でウキ下2ヒロ弱で約20秒、竿1本弱で約50秒で仕掛けが馴染みます。ですから沈み根の竿1本弱程度を狙うには仕掛け投入から約50秒経過してから釣りになるわけです。
確認の仕方は通常の仕掛け+ウキの浮力より重くなるようなガン玉をハリに近い部分に打ちます。投入した仕掛けが馴染むとウキが沈み気味になるので分ります。