ドライマークの洗える家庭洗濯と

ドライクリーニングの違いは?

 

A:使用する溶剤が違います。

溶剤が違うと言ってもピンとこないかもしれませんが、つまりこういう事です。

家庭での洗濯では洗剤を溶かすのに水を使いますね?

ドライクリーニングでは水ではないものを溶剤として使います。

(そのために専用の機械を設置したり設備を用意しているわけです)

よく家庭でドライクリーニングが出来るという方がいますが、

ドライ溶剤を使用しないドライクリーニングという物は存在し得ないのです。

水を使わないからこそドライなのです。

(毛皮などに利用されるパウダークリーニングは

ドライクリーニングとは別物です)

恐らくはドライマークの衣料が洗える洗剤や洗濯機の登場により家庭でも

ドライクリーニングが出来ると勘違いをされたのでしょうが・・・

厳密に言えば通常、家庭で行われている洗濯とは2種類でしょう。

ランドリーとウェットクリーニングの2種類です。

こちらは水を使いますし専門の設備が無くても知識が在れば、

ある程度何とかなります。

さて、ドライクリーニングの最大の特徴は何と言っても

風合いの変化が非常に少なくて済むと言うことに尽きます。

店頭に品物をお持ちになるお客様にお聞きすると比較的多い意見で

「自分で洗うと色が褪めたり縮んでしまって上手くいかない」

というものがあるのですが、それでは何故こうなるのかに付いて少々説明します。

原因はズバリ『水』です。衣料に使われている色が

水に対して堅牢度が弱いと色泣きや褪色を起こします。

勿論、汗に含まれる皮脂、塩分等が原因の場合も在りますが、

殆ど水が主原因で起こります。

ウールの縮みに付いても『水』が主原因です。

これはウールの性質が「キモ」になってますので、少々説明します。

ウール(獣毛)は動物から取る繊維だけあって、

人の毛髪と同じ様な構造をしています。

人の髪の毛でいうキューティクルと同じ様な『うろこ状』のスケールが在り

(ウールの場合はスケールと言う)

このうろこ状のスケールは水分を含むと『うろこ』が開いてきます。

(ウールが呼吸する繊維と言われる所以です)

本来、ウールの暖かさは人体から発散される水分にウールが反応して

このスケールが開き開いたスケールの間に空気を溜め込んで

断熱をするから暖かいのですが、クリーニングをする場合はこの性質が

着用時の場合と異なり、負の方向に作用します。

水分を含んでスケールが開いた状態の時に、

外的な(摩擦等の物理的な)力が加わると

開いたスケール同士が絡み合ってしまい、『縮み』が発生する訳です。

(ウールシャツに多い、「脇の下部分」に出来る「フェルト状収縮」等)

家庭で洗濯された時に『ウールが縮んだ』というのは全てこのケースです。

その点、ドライクリーニングでは水を使わないことでスケールの持つ性質を

表面に出さないことになるので、『縮みは発生しない』事になります。

 

家庭では上手くいかない水が主原因の色泣きや褪色

収縮(縮み)をする品物をクリーニング店で

ドライクリーニング処理をすると

何故か上手く行くのはこういった訳が在ったんです。