クリスマスイブには、案の定、沢山の乱入によって、ドタバタドタバタ。
でもなんだか、眞魔国らしいクリスマスになった。
予想通り二人きりではなかったけれど、コンラッドのおかげで、
限りなく普通に近いクリスマスの装いにおれもかなりご機嫌だったし、
なんだかんだで結構お祭り好きのおれの婚約者様のシャンパンの進み具合は異常に早い。
美少年にはNGなんじゃないかと思うような、笑い声を上げて、
いつもキラキラと生気に満ち溢れた瞳は、蕩けるように彷徨っていて、
常に凛として歩く足取りは、今となってはふにゃふにゃとしておぼつかない。
「ゆぅり〜ゆぅり〜!あははっ!きゃははははっ!」
「ヴォルフ・・一体何がそんなに楽しいんだか・・。」
「ゆぅりの〜、かおがぁ〜・・ぷふっ!うにゃぁ〜って、なって、みえるのら〜。」
「・・・本格的に酔ってるな。大丈夫か、ヴォルフ。
もういい年なんだから肝臓は大事にしないと・・・」
「ゆぅり〜・・・ゆぅり〜・・ぼくはねむいぞぉ!だっこしろ〜!」
「あ〜もう!!はいはい!もう、部屋に帰ろうな。」
「いやだ〜、まだのむ・・・・ぐぐ・・ぐぐぴー・・」
酔っ払って会話は支離滅裂で、呂律も廻っていないヴォルフが、
おれの膝に乗ったまま眠ってしまった。
回りの視線は気になったけど、あんまり安心しきった顔で眠っているから起こすのも可哀想で、
結局背格好の変わらない、しかも泥酔した相手を抱えて部屋まで帰る、
という事態になってしまった。
それでも今日は、特別な日だから。
コンラッドにもギュンターにも、頼るまい。
男、渋谷有利、そう決意してお姫様抱っこ・・・はどう頑張っても無理なので、
肩から両腕を引き上げて、おんぶスタイルに何とか変更。
その後王様の個室まで片道10分の道のりを、なんと1時間近くかけてようやく戻ってきた。
背中に貼り付けた大切な荷物をベットに下ろすと妙な達成感で胸が一杯になった。
やった!!やり遂げたぞ!!!・・・・RPGならおれのレベルはかなり上がったハズ!
ベットの端に腰をかけて、ふぅっと一休み。
そこで、はたと思い出した。
ヴォルフとの約束。
秘密のプレゼント、準備しなくちゃなぁ。
窓を開けて、意識を集中する。
ほんの少し「へなちょこ」なおれの意識を下げて「魔王様」に出てきてもらう。
あんまりやって、皆に迷惑は掛けたくないので、ちょこっとだけ。
後は明日、彼に渡すだけだ。
モミの木の下に置く事の出来ない、プレゼントを。
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