四日目。
なんだか体がだるい。
食べ過ぎたのかな?
朝から動くに気もなれず、葉っぱの上でぼんやりする。
あ〜・・・・・だるい。
「おや?これは、ボボガボンドの幼虫・・・」
『な?!ヤバイ!!見つかった??!!!』
いきなり上から降ってきた声の中に聞き覚えのある単語を聞いて、
驚きながらも逃げようと試みる。
だが、だるさからなかなか体が動かない。
そしてとうとう、捕まってしまった。
『あ〜・・どうなるんだ、俺・・。』
捕まえた相手を見ようと、首を捻るとそこにいたのはヴォルフラムだった。
数日振りに見る、大好きな白い指先が、青虫の俺を摘んでいる。
惚れ惚れするようなエメラルドグリーンの瞳が俺をじっと見つめている。
「珍しいな、これがこんなところにいるなんて・・・。」
あぁ、ヴォルフ・・・。
お前今、美味そうとか思って見てるわけ??
やっぱり今日の晩御飯は、俺の丸焼きかなんかか??
つかその前に、俺ってまだ賞味期限内なのか??
下手に食っちゃうと、腹を壊すらしいよ?ヴォルフ知ってるのかな??
捕まってしまった以上もう、逃げも隠れも出来ないので黙ってこっちからも見つめ返していた。
それにだるくてだるくて、何をする気にもなれないってのが正直なところ。
すると、何故か可笑しそうにくすりと笑って葉っぱの上に戻された。
『な、なんで??喰わないの?』
「よく見たら、へなちょこユーリの困った時の顔に似てる。」
『なっ!?へなちょこゆーな!!・・てか、何でお前虫の俺の表情が読めるわけ??』
「惜しいな、本当なら珍しい食べ物だからユーリに食べさせてやりたいけれど、お前はもう・・・」
そこまで言うと、ヴォルフはなにか思いついたのか、喜色満面になる。
そして俺が乗った葉っぱを枝ごと手折ると、一言こう言った。
「許せ、ユーリのためだ。」
『俺の?』
まさかやっぱりメインディッシュ?!と突っ込みを入れようと視線を上げた俺の視界には、
そっと手折った枝の葉に口付けるヴォルフラムの姿が映る。
その仕草に今現在虫であるのも忘れて、どきっとしてしまった。
『やっぱ・・綺麗だ。』
「今からお前をぼくとユーリの部屋に連れて行ってやる。邪魔するものは誰もいないから、
ゆっくりそこで大人になればいい。」
『大人に?なにいってるんだ、ヴォルフ??』
「ぼくが守ってやる。だから、きっと・・・」
だるさがピークにきて、上手く思考する事が出来ない。
ヴォルフラムの両の掌に包まれて、意識は静かに、フェードアウト。
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