謁見もパーティも無事に済んで、とりあえずうとうとと眠り始めたグレタをヴォルフに預けて
もう一度玉座に戻る。
そうして、無事に会の終わりを宣言した後のこと。
俺は衝撃的な内容を名付け親から知らされていた。
「えぇ!?そ、それ本当なの???」
「えぇ・・グレタとお披露目のダンスを披露されたあと、迷わずヴォルフのほうに向かって行かれたので、
てっきり誰かに聞いて知っているのかと・・・。」
「そんな・・俺、全然そんなこと知らなかった、から・・・」
まさか、眞魔国ではダンスパーティの一曲目は婚姻関係にあるものか婚約をした者だけの、
・・・所謂、永遠の愛を誓った者だけの時間だったなんて。
だからあの時、近づいていった俺にヴォルフがとても驚いた顔をしたんだ。
お披露目は他の皆とは踊らないのでダンスパーティの初めの曲とは見なさないとして、
そこは可愛い娘に譲ったのかもしれない。
そうすると実質の一曲目はギュンターが開会を宣言した後の曲からってことになる。
その、大切な一曲目の相手として俺が今度はヴォルフを誘うのだと彼はそう思ったんだろう。
お披露目、だから。
今まで、濁してばっかりでまともに表舞台に立った事がなかった彼。
俺の婚約者として胸を張って、表舞台に立つのを、どんなに心待ちにしていたんだろう。
でも、俺が踊れそうもない事が分かって、酷く淋しそうだった。
グレタに誘われても踊らなかったのは、一曲目だけは他の誰でもなく、俺と踊る為だったのに。
他の誰でもなく、俺と。
「ヴォルフっ、どこ!?」
俺は夢中でヴォルフを探した。
|