7.γ線 (陛下→三男、ぞっこん陛下)
「・・・で、あるからして、ガンマ線というものは〜・・・」
「・・・あっ!だからなんだ!!!」
「・・・・・渋谷。廊下に立っとれ。」
シャープペンを意味無くカチカチと鳴らしていたとき、
聞き流していた授業の内容の一部が、耳の中に転がり込んできた。
それが今の自分にぴたりと当てはまっていたものだから、
思わず叫んでしまったのだけど、もちろん先生様には理解されず、
教室を追い出される羽目になってしまった。
さざめくようなクラスメートの笑い声に背中を押され、
現状としては恥ずかしい状態なんだけど、
おれの頬が熱いのはそのせいではなくて・・・。
『ガンマ線というのは数センチの金属すら貫くもので・・』
「そうか・・それでか。」
脳裏には蜂蜜色の髪を揺らして笑う、婚約者の姿が映る。
『ぼくはお前の外見に惑わされたわけじゃないぞ!』
『ぼくはお前を眞王にも匹敵する魔王だと思ってる。』
『ユーリ・・・愛してる。』
まっすぐおれに向けられる賛辞とその根底に流れる彼の愛情。
それは気づけばγ線のようにおれの分厚い倫理観を貫いて、
彼とおれの間をぐっと縮めた。
「早くヴォルフに会いたいな。」
第27代魔王王配殿下、フォンビーレフェルト卿ヴォルフラムに。
追い出された教室のドアの前で、窓から見える青空を眺める。
*********************************
2007/7/15
一途な想いは鉄の倫理をも打ち砕く、と信じております。
|