10万HIT有難うございます★

 

71.ポーカー(ポーカーフェイス)(おにいちゃんとユヴォ)

 

 「なぁ〜ヴォルフ〜・・・仕事終わったらさぁ・・・」

 「なんだ?どこかにいきたいのか?」

 「う〜ん・・・まぁ、部屋でじっとしてるよりは  

 外で楽しくやりたいけど。

 でも、ヴォルフと一緒ならいいなぁとおもって。

 ・・・仕事まだある?」

 「いや。この書類を書いたら終わりだぞ。」

 先日までは『男同士』を言い分に、

 末弟との距離に一線を引いてきたユーリであったが、

 しがらみを吹っ切ったら、今度は箍がはずれたように、

 べったりとあまえる始末だ。

 だが末弟は末弟で、そうやって甘えられるのを、

 快く思っているらしく、されるがままになっている。

 だから・・・・しかたがないのだ。

 あの小さな黒い生き物だって、

 愛しい弟だってこんなに幸せそうではないか。

 だから・・・・だからこそ・・・。

 例え書類などを蹴散らして、二人がたわむれ合っていたり、

 職務時間になっても執務室に戻ってこなかったり、

 そんな風な事情で遅れた書類が、

 ヴォルテールにまで送られてくる事とか、

 そんなことも、耐えねば・・・。

 

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2007/11/27

 ある意味不良陛下(笑)

 おにいちゃんがんばれ!!!

 

 

72.(ユヴォ)

 

 気づけば随分と長く歩いてきて、

 お前との日々が降り積もっていく。

 どんなに苦しい時だって、いつも二人側にいて、

 いつかまた、笑える日が来るさと、

 ただ毎日毎日をひたすらに歩いていたおれたち。

 うまくいったこともあったし、

 失敗したこともあった。

 それで手に入れた、今日だ。

 まだ隣で寝ている相棒の金髪に乗った朝日は、

 朝露の乗った若葉のようで。

 「ほら!相棒!!!新しい朝だぞ!」

 

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2007/11/29

 なんとなく同じ様な話になってるような??

 まぁいいや・・・新刊のいろいろもあるし、

 こんな風な新しい朝が来るといいなぁ。

 

73.ドミノ倒し(結婚したいユヴォ)

 

 一つ一つ積み上げてきたものが、指の先で、

 ほんの少し触れただけでガラガラと崩れていく。

 そのことを理解しながらも、

 愛しく積み上げてきたそれらすべてを、

 無に返しても構わないと、そう思える、

 唯一のこと。

  

 「ヴォルフ、後悔は無いのか?」

 叔父の優しい声が耳を打つ。

 「叔父上・・・ぼくはユーリと共に行きます。

  ビーレフェルトの地を、王のために守ることこそ、

  十貴族の末席に身を置くぼくが、  

 名を受け継ぐ意味だとそう思って今まで生きてきました。

 ですが・・・・」

 ふぅ、と。

 幾度と無く考えて来た、その言葉を、脳裏に浮かべ。

 まっすぐに見つめてくる叔父に、同じ様にまっすぐ届けと。

 「ユーリが欲しがっているのが、ぼく自身である限り、

  ぼくは積み上げてきたすべてを捨てても  

 彼のために生きたいのです。彼のためだけに・・・。」

 見つめた叔父の瞳がほんの少し寂しい色に翳る。

 そのことを申し訳ないと思う反面、

 乗り越えてでも押し通したい気持ちが巡る。

 「私は私自身が積み上げてきたすべても、  

 お前に渡したいと思っていたよ。

 おまえ自身が一つ一つ努力して積み上げてきたことも

 よく理解している。

 だからこそ思うのだよ、これらを崩してしまうのは、

 本当に勿体無いのではないかとね。」

 優しく暖かい手で撫でられる。

 懐かしいその感覚に、思わず甘えてしまいたくなるけれど、

 ぼくは強い核心をもって、叔父上に微笑む。

 「叔父上。ぼくは思うのです。

  積み上げたものが壊れた景色すら、

  ユーリと共に見る景色なら、  

 きっと美しいと。」

 

 

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2007/12/1

 結婚の承諾。

 
陛下の説得ではだめだった叔父上に。

 

74.ベストフレンド(陛下の気持ち)

 

 誰よりも話を聞いて欲しいんだ。

 何かあったらそばに居て、

 ただ笑っていて欲しい。

 一緒に泣いてもいいな。

 お前と一緒に泣いたら、

 きっと悩みも涙と一緒に、

 流れてどっかに行ってしまいそうだから。

 何時の間にか近くなっていた存在。

 だけど、もうすこしだけ、

 甘えていてもいいかな?

 

 多分一番の友達。

 そして、一番の家族。

 そして、本当は。

  

 人生でたった一人、

 自分と足並みを揃えて歩く人。

  

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2007/12/3

 予期せずとして、この話が、

 新刊読了後に来るなんて・・・。

 なんとなく運命を感じます。

 その、いろいろと。

 

75.(幸せな気持ちで)

 

 「今日、ヴォルフの誕生日なんだ。」

 

 

 大切なおまえの誕生日だから、

 今日は風も特別優しく感じるよ。

 

 「風が、甘い匂いしてる。何の花だろ?」

 

 例えば蛹が蝶になったり。

 蕾が花びらをひらいたり。

 固い新芽から柔らかな青葉が覗いたり。

  

 「お前にぴったりの、小春日和だ。」

  

 外に出て、ご飯食べたり、馬に乗ったり、

 キャッチボールしたり、お昼寝したくなる、

 そんな。

 そんな、春の一日。

  

 「80数年前も、こんな天気だったのかなぁ。」

  

 聞いてみたいけど、お兄ちゃんたちに聞いたらきっと、

 おれの知らないことを自慢されそうだから。

  

 「聞かなくていいや。想像しとこ!」

  

 甘く優しい風に吹かれて、

 おれと共に歩くために生まれてくれた、

 大切な人の、生まれた日。

  

 「おれにとっても大事な日だよ、ヴォルフ。」

  

 

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 2007/12/5

 魔族は誕生日気にしないんだけど、

 陛下は半分人間ですから、

 こうして三男の誕生日を喜んでたらいいのにな。  

 

76.彼(或いは彼女)の車(ユヴォ)

 

 18歳の誕生日を越えて、

 おれは車の免許を取る事に成功した。

 7月生まれのおれは、

 夏休み期間を利用して取れたため、

 夏休み以降に生まれた連中にしてみれば

 格好の足が出来たことになるのだろう。

 必要以上に車を出してほしい旨を頼まれてしまった。

 まぁ・・・練習になるからいいけどね。

 「あ、でも、おれの車。乗れるのあと二人だけだから。」

 「は?渋谷の車は軽だろ?

  運転手のお前を外しても、三人はのれるだろー?」

 「文句があるなら、車出さねーよ。」

 おれの、出世払いで返すことになる、初めての車。

 ベタだけど、助手席に最初に乗せたい相手は決まってる。

 愛しい彼があの席に座るまでは、

 ほかの誰もあの席には、絶対乗せてやんない。

  

 

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2007/12/7

 陛下は都会っ子なので車は持たないかもしれませんが。

 (田舎に行けばいくほど車は必需品になります。)

 スペシャルシートは三男に。

 

77.御伽噺(ロイヤルファミリー)

 

 どんな御伽噺でも、

 めでたしめでたしで物語は終わっていく。

 それは物語が語り手からはなれ、

 個々の胸で生き続ける時。

 

 「・・・・で、27代魔王陛下はしぶやゆーりは、

  可愛い娘のグレタと綺麗な伴侶のヴォルフと

  愉快な仲間たちと一緒に、幸せに暮らしました。」

 「めでたしめでたし!!」

 「確かにめでたいが・・・・、それでいいのか??」

 娘の読みきかせを横で眺めていたヴォルフラムは、

 突然そんなことを言い出して、

 おれの手から本を取り上げる。

 「急にどうしたんだよ?

  これ、この間皆で旅に出たときの話で・・・。」

 「確かにあれから特に問題も起こらず、

  平穏な日々だが・・・。」

 だが、一括りに幸せといっても色んな形があるだろうに。

 そういって膨れたヴォルフが、加えて一言。

 「大体、泣いたり笑ったり、

  嬉しかったり悔しかったり、

  そんな気持ちを愛する人と共有するのが、

  本当の幸せなのであって、

  ただ平穏なだけでは、幸せとは呼べないだろうに!」

 


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2007/12/9

 ごもっともな三男(笑)

 ロイヤルファミリーはきっと三男いうところの

 「本当の幸せ」を生きて、

 民草はそれを永遠に

 「めでたしめでたし」と語り継ぐんでしょうね。

 

 

 

78.うた(三男とグレタ)

 

 夕焼けの中、手を繋いで歩く。

 ぼくの手の平と、グレタの手の平。

 ほんの少し大きくなった気がする娘のそれを、

 ユーリがよくするように、前後に小さく揺らして歩く。

 ゆらゆら揺れるそれは、

 まるで楽団のタクトのように規則的で、

 いつしかそれに合わせて足取りさえも、節を取る。

 「お〜てて〜、つ〜ないで〜♪」

 「?グレタ?それは・・・」

 「ユーリが歌ってたんだよ〜。こうしてねぇ、

  今のヴォルフみたいに、手を振ってねぇ・・・」

 嬉しそうに足取りをあげて歌うグレタ。

 その横顔に、愛しい彼の影を見て、ぼくも笑う。

  

 

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2007/12/11

 ユーリとグレタ、という組み合わせも良いのですが、

 実はヴォルフとグレタという組み合わせが

 とっても好きな管理人です。

 この話はお仕事忙しいお父さんを待って、夕焼けの街にお買い物に出た、

 お母さんと娘のイメージというか・・・・(笑)

 

 

79.たとえばこんな愛し方(一風変わったユヴォ)

 

 ユーリとの婚約を破棄し、

 ぼくはビーレフェルトに戻った。

 まわりには「長すぎた春は実のらずおわったか」と

 揶揄されたが、ぼくらの心は酷く穏やかだった。

 婚約者や配偶者という立場にこだわっていたのは、

 ぼくがとても不安だったからなんだと

 気づいたのはいつだったろう。

 ユーリはぼくをどこまでも信じてくれたし、

 ぼくも同じようにユーリを信じ、愛した。

 それがいつしか、恋人のそれとは違う、

 もっと深く広く、 それでいて確かなものだと

 気づいたのはいつだったろう?

 それに気づいたとき、

 もはやぼくら二人は

 二人で一人と呼べるほどの近さだった。

 それは確信にも似た、何かで。

 そうしてそれを知ったとき、ぼくらはぼくらの意思で、

 肩書きで縛っていた関係を解き、

 ぼくはビーレフェルトの当主になった。

 

 「本当にこれでよかったのかい?」

 ユーリと婚約を解消したことで、血盟城を離れ、

 ビーレフェルトへと戻ったぼくに、

 大賢者が暇を見つけて会いに来た。

 なんでも、大賢者としては、

 ぼくらが別れたのは予想外の展開だったらしい。

 「あぁ、これは二人で決めたことだ。後悔はない。」

 きっぱりと言い放ったぼくを、

 不思議そうに見つめる大賢者。

 「渋谷のこと、嫌いになったから離れた、

  ワケじゃないんだよね?」

  メガネの奥で光る大きな瞳は、

 ほんの少しユーリのそれと似ていた。

 「離れても愛は消えない。

  いや、むしろ大きくなる一方だな。」

 「以前の君を知ってるから思うんだけど、

  あれだけ渋谷を想って、 何の時でも追従してきた君が、

  こんなにあっさりと彼の元を離れるなんて。」

 「皆そういう。

  でも、今のぼくらに最も大切なことはただただ二人、

  側に居ることではないんだ。」

 ぼくらが出来ることを。

 この国のため、この世界のため。

 ひいては愛する娘や家族のために。

 そうしてユーリと二人、選んだこの道なのだから。

 我が城のメイドが入れたお茶を、大賢者に勧めながら、

 ぼくは片手で彼女へ退出を命じ、室内は二人きりになった。

 「寂しくないわけ?」

 「寂しくはないぞ?ここはもとよりぼくの城だし、  

 なによりぼくには娘がいる。

 暇を見つけてはグレタが会いに来てくれるから、

 ユー・・・陛下のへなちょこぶりに

 振り回されないこと以外は、

 血盟城に居た頃とあまり変わりも無いのだがな。」

 ぼくのその言葉に驚いたのか、

 飲みかけたお茶を吹きそうになった大賢者の動きを、

 反射的に避けながらぼくは続けた。

 「何か驚くようなことでも?」

 「え?グレタちゃんはこっちにも来てるの?

  娘・・・って事は君を父親として?」

 「親の別れを理不尽に子供に押し付ける必要はないだろう。

  まぁぼくとユー・・陛下とは、

  正式には婚姻にはいたらなかったわけだが。」

 決めるのはあの子だ、そういうと

 まだ納得がいかないというように、 大賢者が呟く。

 「血のつながりも、

  それどころか形式的なつながりすらないのに?」

 「無くてもあの子がぼくを

  父と呼んでくれる誇りは変わらない。

  ユーリがこの地を離れ、異界に行くこともあるのだから、

  あの子の気が済むまでそう呼んでくれればいいと

  ぼくは思っている。

  それに例えぼくを父と呼ばなくなったとしても、

  ぼくはグレタを愛している。

  それに変わりは無いのだから。」

 婚約者という立場がなくなって、

 世間的に失ったものは沢山あった。

 だけど心は。

 何一つ変わることなく。

 それはぼくとユーリが繋いできた絆を強く感じさせて、

 余計に堅固になっていく気さえしていた。

 ぼくのその思いを聞いた大賢者はしばらく逡巡して、

 ぽつりと呟いた。

 「じゃぁ、さ?」

 注ぎ足したお茶を一気に飲み干して、大賢者は言う。

 「渋谷のこと、好きなままの君でいいから、

  僕と結婚しないかい?」

 「断る。」

 「気が変わるまで待っててあげてもいーよ?」

 そういいながら空いたカップを差し出すから、

 ぼくはおかわりの催促である、その合図のみにこたえる。

 「それは無駄なことだぞ、大賢者。」

 片手を腰に当て、注ぎ終えたポットを机において、

 彼の目を見て、ぼくは言った。

 「ぼくはもう・・・・誰も選ばない。

  ユーリのほかには、もう。」

 受け取ったカップの中で踊る、

 琥珀色の水面を覗き込んだ大賢者は

 飲み口を指先で撫でながら、しばらくそうしていたが、

 肩をすくめ、一つ深い呼吸を落として、

 困ったように笑いながら、こういった。

 「それ、渋谷も同じこと、言ってたよ。」

 「あぁ・・・二人で決めたといったろう?

  これがぼくらなりの答えだ。」

 

 

 

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2007/12/13

 一緒に側に居るという未来でなく、

 同じものを見つめ同じものを目指すために

 別れるという、愛。

 ちなみに村プではありません。

 村田さんはカマを掛けているだけです。

 陛下には「五月蝿い婚約者居なくなったから可愛い子紹介しようか?」と。

 答えは二人とも一緒ですが。

 

 

80.夏の海(焼もち陛下)

 

 

 地球に比べて清涼な空気の眞魔国では、

 きっとオゾン層も壊れていないはず。

 だけど、吹く潮風と季節で一番強い日差しが、

 おれの愛して止まない白い肌を、

 容赦なく赤く腫らせた。

 「ヴォルフの浮気もの〜!」

 「なにをっ?!いつぼくが・・・わっ!」

 無理やり引っ込めたパラソルの下。

 引きずりこんだヴォルフの、

 赤く腫れた頬に冷やしたタオルを押し付けながら

 口には出さなかったけれど、

 胸の奥で小さくつぶやく。

 『こんなに真っ赤に腫れて・・・。  

 おまえに手を掛けていいのはおれだけなのに。』

 それは小さな焼もちで。

 太陽に口付けされた、真っ赤な頬に、

 おれの証を刻み付けて。

  

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2007/12/18

 やきもちへいか。

 
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