微妙な19のお題
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たくさんの好きと、たくさんの愛を、きみに
『愛は与えた分だけ、返ってくるんだぞ』
クマハチの繭を背中に庇いながらユーリは、
剣を向けたぼくに向かって、確かにそういった。
はじめはユーリの愛についての話を聞いたとき、
根っからの浮気者だと腹も立ったものだが、
そこは腐っても婚約者。
なので、ぼくはその言葉を信じることにした。
「ユーリ、ぼくはお前を愛しているぞ。」
「なんだよ、急に・・・。」
「言える時にいっておかないとな。」
「・・・なんか、下心でもあるの?」
「なっっ!?失礼な奴だな!」
「でもさ、いきなりそんな事言うなんてさ〜・・・」
ぶつぶつと文句をいいながら納得いかない顔のユーリを、
本人には気付かれないように、覗き込んでほくそえむ。
そして彼には聞こえないように、小さな小さな声で呟いた。
「下心?あぁ・・あるかもな。」
ユーリ、ユーリ。
お前が望むんだったら、ぼくはなんだってあげる。
欲しいんだったら、本当になんだってあげる。
この夜空を彩る無数の星でも。
海に眠る数々の貝殻でも。
砂漠の砂の数ほどの、愛の言葉でも。
この体でも。
たった一つの命でも。
だから。
ぼくの君への想いの分だけ、
いつか君が返してくれたら。
そうしたら。
多分ぼくは。
この世界で一番幸福になれるのに。
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