微妙な19のお題
10 > この笑顔でいつまできみをはぐらかせるのでしょうか
ヴォルフを好きだと気付いた時。
それは初め、気の置けない友人の範囲内だと思っていました。
君がおれに傾けてくれる気持ちが、『愛』や『恋』の類だと知りながら、
君が側にいる心地よさを手放さない為に、
君の気持ちに気付かないふりを続けてきました。
でも、気付けば。
おれは君に恋してた。
側にいないと淋しくて。
離れていて君を思い出さない日は無い。
「ユーリ・・」と優しく俺を呼ぶ声。
叱咤しながらおれを支え、天使の笑顔で激励してくれる。
君はもう、おれの家族と同じ。
大切な人。
ヴォルフラム。
どうかもう少しだけ。
俺の中にある、『倫理観』という小さくて大きな壁が、
まだどうにも越せなくて、君の気持ちに応えられないんだ。
いや・・・越さなくってもいい。
せめてその壁に、穴一つ分開くまで。
おれが通れる穴一つ分開くまでどうか、待っていて。
それまでは。
大切な友人として。
そしてこの国に住まわる、おれの大切な家族として。
おれは君の側に。
そして、君をおれの側に。
この笑顔でその時まできみをはぐらかせるでしょうか?
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