◎ それはキラリと輝いて ◎
「今日は仕事が立て込んでいたのか?ずいぶん遅かったな。」
湯浴みを終え、ユーリを待っていたぼくにユーリは一瞬眉根を寄せた。
そのことを、なんだと問い詰めたかったのに、
昼間のことがぼくの喉の奥にいまだにつっかえていたらしい。
ぼくはそれ以上は何もいえず、
ユーリの視線から逃れるようにベットへとあがった。
「早く湯でも使って、休む支度をしたらどうだ?疲れているだろう?」
「あぁ・・まぁね。」
きていた上着をばさりと脱いで、ベットに放るユーリを見るともなしに見て、
その浴場へ向かうその背中に、妙な寂しさを感じた。
消えてしまった背中に、ため息をひとつ。
視線を落とした先には、先ほどの上着。
『このまま置いたら・・皺になってしまうだろうに。』
指先でそれをそっと手繰り寄せると、
仄かにまだユーリの温もりがそこにあって。
無意識にそれを胸の中に抱き込んだ。
ユーリ本人に望めば拒絶されてしまうだろうこの行為も、
抵抗しない洋服ならこんなに簡単に叶ってしまう。
「ユーリ・・おまえは・・・ぼくを・・・」
嗚咽と共に吸い込んだ、ユーリの香り。
堪えた筈の涙がひとつ、きらりと光って落ちていった。
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