◎ それはキラリと輝いて ◎

「今日は仕事が立て込んでいたのか?ずいぶん遅かったな。」

湯浴みを終え、ユーリを待っていたぼくにユーリは一瞬眉根を寄せた。

そのことを、なんだと問い詰めたかったのに、

昼間のことがぼくの喉の奥にいまだにつっかえていたらしい。

ぼくはそれ以上は何もいえず、

ユーリの視線から逃れるようにベットへとあがった。

「早く湯でも使って、休む支度をしたらどうだ?疲れているだろう?」

「あぁ・・まぁね。」

きていた上着をばさりと脱いで、ベットに放るユーリを見るともなしに見て、

その浴場へ向かうその背中に、妙な寂しさを感じた。

消えてしまった背中に、ため息をひとつ。

視線を落とした先には、先ほどの上着。

『このまま置いたら・・皺になってしまうだろうに。』

指先でそれをそっと手繰り寄せると、

仄かにまだユーリの温もりがそこにあって。

無意識にそれを胸の中に抱き込んだ。

ユーリ本人に望めば拒絶されてしまうだろうこの行為も、

抵抗しない洋服ならこんなに簡単に叶ってしまう。

「ユーリ・・おまえは・・・ぼくを・・・」

嗚咽と共に吸い込んだ、ユーリの香り。

堪えた筈の涙がひとつ、きらりと光って落ちていった。

 

*******************************
2005/11/11

今日はポッキーの日、らしいですね。

まぁ、内容には一切関係ありませんが。

.