ためいき>

 

ふぅ、と。

ヴォルフラムは、深い深い溜息をひとつ吐いた。

『溜息をつくと一緒に幸せが逃げるんだって、知ってる?』

前にユーリがそんな話をしていたのを思い出す。

だけど今、実に面白くないのだから仕方ない。

今日はユーリと二人、執務は休みのはずだった。

だから二人で遠乗りにでも行こうと思っていたのに、

出かける直前に走りこんできたギュンターに止められてしまったのだ。

なにか難しい草案のようで、随分と時間を食っている上、

先ほどから兄上まで借り出してきて、あーでもないこーでもないと、

三人でごちゃごちゃやりあっている。

対するぼくはというとユーリの向かい側に座り、

二人に挟まれ四苦八苦している姿を眺めているというわけで。

・・・実に面白くない。

「ふぅ。」

もう一度深い溜息。

すると向かい側のユーリが、大きな目を見開いてぼくをみていた。

「?なんだ?どうかしたのか?」

「いや・・・ちょっと、こっち寄って?」

手招きでテーブルに上半身を乗り上げたユーリをまねて、

ぼくもテーブルに上半身を預け、身体をユーリに寄せた。

 

ちゅっ・・

 

「・・っっ!?」

「溜息ついてる唇が、あんまり可愛かったもんだから・・・つい、ね。」

 

前にユーリが言っていた。

『溜息をつくと一緒に幸せが逃げるんだって、知ってる?』

だけど、これは地球だけの話だな。

だって、ぼくの溜息はちゃんと幸せを運んできたから。

 

 

******************************
2005/7/27

お仕事しててもヴォルフのことは目に入る陛下です(笑)

ヴォルフは、怒っても、笑っても、泣いても、いじけても、もうなにをやっても可愛い!!!

キスした陛下の隣では、年長組が凍り付いている事でしょうね(笑)

 

.