風の歌
歌ってあげたい。
おれの耳に響く風の歌。
地球にも空があって、雲があって、山も、川もあって。
それは自然満載の眞魔国と比べれば、多少くすんでいるかもしれないけれど。
走る車と町のネオンと雑踏と。
それもおれの生きた風景。
見せる事の出来ないそんな地球の景色に、
君が興味と不安を綯い交ぜにした思いを持っていることを知っているから。
ガタンゴトン・・ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・・
遠くて電車が走ってゆく。
夕焼け色に染まった堤防を、汚れた野球の道具を詰めたバックを担ぎ、
おれは歩く。
頬を撫でる風。
歌ってあげよう、君の心行くまで。
次に君の元へ帰ったら、きっと。
「だから、ちゃんと待ってろよ。ヴォルフラム。」
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