老婆心ながら
「おはようございます、陛下。」
「あぁっ!ユーリ、ユーリっっ!!先立つぼくを許してくれっ!!」
「何を言ってるんだ、ヴォルフ!どんな時でもおれたちずっと一緒だって誓ったろ?!」
いつもどおり、魔王部屋の扉を叩いたコンラートの目の前には、
当代魔王であり彼の名づけ子であるユーリと、その伴侶であり彼の弟であるヴォルフラムが、
昼メロも真っ青な有様で抱き合い、号泣する姿が広がっていた。
「仲がイイのはいいですが、なにやら尋常じゃない様子ですよね。」
泣きじゃくる二人に近寄りながら尋ねてみると、
抱き合ったまま瞳だけをコンラートに向けて二人はコンラートに語りだす。
「いつもどおりに起きて、いつもどおりに着替えようとしたら、珍しくヴォルフが早起きしてきて。
だから今日は三人でジョギングしようと思って支度を始めようとしたら、ヴォルフが・・!!」
「ヴォルフが?」
「ぼくも支度をしようと立ち上がろうとしたら、う、う、動けなくてっ!
あぁ!きっとこれは不治の病なんだっ!あぁ、ユ−リっっ!!!」
「ヴォルフッ!!」
またも瞳をウルウルさせながら見つめあう二人に、コンラートは思わず一つ溜息をつくと、
探偵よろしく動けなくなった要因はじき出した。
「老婆心ながら申し上げますが・・・」
「なに?」
「昨晩の様子をご考慮頂ければ、その『不治の病』の原因も分かるかと・・・」
しばしの沈黙の後。
「さて!ジョギング行こうか、コンラッド!ヴォルフは今日は執務休みな!」
「昼食は一緒に摂るぞ!」
「分かってる。ちょっと、行ってくるな。」
ヴォルフのほっぺたにキスを一つ落とし、頬を寄せ合う二人の様子を見ながら、
愛する育て子たちの成長を、嬉しくもあり淋しくも思うコンラートなのだった。
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