お似合い同志
「光は闇に、闇は光に恋焦がれて、互いのその身に映し、生まれてきた。」
この国の宗祖である二人の物語はその言葉から始まる。
そのことは自分の教育係であったもので、
現在は・・・・ぼくの愛する人の補佐官であり教育係である、
ギュンターに嫌というほど聞かされてきた。
またそれと同じくらい、まわりからは、
「ヴォルフラム様はお母上であるツェリ様の生き写しだが、
同時に我らが敬愛する眞王陛下の見姿をも、得ておられる。」
とも言われてきた。
世界を救ったかの王と似ているということを、
誇りに思わない日はないけれど、
それでもそれは最近のぼくをどこが鬱々とした気分にさせるんだ。
「せめて・・・ぼくが双黒であればよかったのに。」
そうしてユーリ、お前は光を宿して金色に。
魔王は闇を、その傍らを歩くものが光を、司るというのなら、
ぼくらが『お似合いのお二人』と正しく呼ばれるには、そう、あるべきなのに。
「いきなりどうしたんだよ?」
ぼくの呟きに目を丸くしてユーリはそう問いかける。
「・・・別に。ただそうあれば良いとそう思っただけだ。」
他愛の無い悩みだ。
いや、悩みとも呼べないくらい些細なことだ。
自分でもおかしなことだと分かってる。
でも・・・。
「黒髪のヴォルフかぁ〜?似合わない・・・ことも無いだろうけど、でも・・・」
ユーリのバットだこのある手が、俯いたぼくの髪に挿し入れられる。
優しい指使いと見つめてくる深い闇色の瞳に、ぼくの心は跳ねる。
「おれ、金髪のお前好きだよ。甘くて優しい蜂蜜色って、お前にぴったりだもん。」
嬉しそうに笑って、その両腕に抱きとめられる。
重なり合う鼓動と吐息、それからぬくもりに体の力が抜けた。
悩むことなんて何も無いじゃないか。
恋焦がれてお互いの色を身に宿した始祖に嫉妬してないで、
ぼくらはあるがままで恋をすればいい。
まるごとのユーリとぼくにしかできない、まるごとの恋を。
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