眞魔国にだって日本ほどではないが美しい四季がある。
4000年前には確かに見たその光景を僕は今懐かしくも、新鮮な気分で眺めている。
今は冬。
窓を打つ雪の白さに、舞い積もる雪の音に耳を傾けながら、
それを遮る無遠慮な2つの声。
「ん〜、今日も寒いな!なぁ、ヴォルフ。」
「雪が降っているからな。ん、ユーリ手が冷たいぞ。」
「あぁ、さっきまで書類書き頑張ってたからな〜。」
温めてあげようと友人である魔王陛下の手をとって、
はぁ〜と柔らかな息を掛ける金髪の天使さんの姿。
そしてその姿を見て幸せそうに顔を綻ばす、友人の姿。
やれやれご馳走様と視線を逸らそうとした瞬間・・・友人がふと動いた。
「ヴォルフ、あったかい!」
「こ、こらっ!やっっ・・ユー、リっ!!」
いきなり渋谷はフォンビーレフェルト卿の襟口から冷えた手を突っ込んだのだ。
「ん〜!ヴォルフ、どきどきしてる!」
「あたりまえだっ!あっ・・ひゃぁ・・っ!」
あの〜・・・ココに第三者がいるんですけど?
そんなことお構いなしの魔王陛下は逃げ腰の婚約者殿を膝に乗せ、ご満悦。
そして結局は魔王に甘い婚約者殿は、されるがままになっているし。
眞魔国にだって四季はある。
でもそれは、季節として流れていくもので。
「でも当代魔王陛下とその婚約者さまの頭の中はず〜っと春、だよね。」
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