無上のこと

 

肩にユーリが頭を預けて、小さな寝息をたてはじめた。

ささやかで、尊い、幸せな時間

幸せな日々は、時にぼくを思考の迷路に落とす。

 

例えばもし。

母上が魔王の座を去るのがあと少し、遅かったなら。

ユーリとぼくは、こうして並んで過ごしていただろうか?

 

たとえばもし。

グレタと打ち解けられなかったとしたら。

揃って弁当を抱えてピクニックをした今日と言う日に、

ぼくらは何をしていただろう?

 

たとえば__もし。

僕と言う存在がこの世界に生まれていなかったら?

もしくはユーリと言う存在がこの世に存在しなかったら?

ぼくは一体誰を愛し、そしてユーリは一体誰の隣で笑っていたんだろう?

思えば思うほど、僕らは自分の及びも付かない力で引っ張られている気がする。

それを思うとき、ぼくはいつも一つだけ、誇りに思える事がある。

例えもし、これからの道行きで傷つき倒れたとしても、

たった一つだけいえる、ぼくの誇り。

 

無上の事。

 

それはユーリに出会えたということ。

星の数ほどの可能性の中から、あなたと出会い、愛し合えたこと。

 

 

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2005/8/1

ちょっぴりポエミーな(笑)お話に仕上がりました。

いえね、企画物でちょっとヴォルフを苛めたので(またか!!)少し補完しておこうかな〜・・なんて(てへっ★)

ヴォルフはユーリが大好きで。

ユーリに連なることなら、嬉しい事も、悲しい事も、辛い事も、きっと乗り越えて受け入れていってくれるんだと、

そう思って書いてみましたVv

だからどんな小さい出来事でも、その根っこになる部分は「ユーリに会えた」という幸せから派生したもの、と。

 

というかどうやら私は、普段は「ぼくの方が年上なんだし、ユーリを守ってやらねばっ!」と

男前なこと考えているのに、ベットの中では途端に可愛くなっちゃう三男が好きみたいですね・・(がふっ/吐血)

 

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