つばめの帰郷
ばさばさばさばさ・・・
夕焼けの空を埋めるように、鳥の群れ。
夕暮れの丘で、ヴォルフと二人空を見上げた。
「すっごい、鳥の群れ!!」
「あれは渡り鳥だな。自分の生まれた場所へ帰り、新しい命を産み落としに行くのだろう。」
鳥の影を目で追う。
あたりから羽音が消えると、ヴォルフが小さく呟いた。
「・・え・・たいか?」
「え?何??きこえねぇ・・」
「お前も、帰りたいか?」
夕日の赤を含んだ、不安げな瞳。
こちらの世界に送られて随分な時間が経っているから、もうすぐ地球に送られてしまうかもしれない。
そのことをヴォルフが本当は凄く淋しいと思っている事をおれは知っている。
でも。
渡り鳥が教えられなくても本能で帰郷するように、
おれもおれの意思ではどちらの世界も選べない事もヴォルフもおれもよくわかってる。
「もし、おれが渡り鳥だとして生まれた場所に帰っても、ちゃんと帰ってくるよ?」
淋しげな瞳は、俺の胸を刺すから、そっと後ろから抱きしめる。
「だって、ヴォルフの側がおれの居場所だから。」
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