休むのだ,休むのだ
連日連夜、執務に夜会、夜会に謁見に執務に夜会・・・。
「だーーーーっ!!!もういやっ!!今日は絶対休むからなっ!」
「甘えるなっ!お前はへなちょこだが一応は魔王だろうっ!」
疲れ果ていつものように目覚められなかったおれの布団を引っつかみながら、
日頃の自分のぐーたらを棚に上げ、ヴォルフがおれを起こそうと躍起になっている。
「頼むよっ、今日一日だけ!!!」
「ふっざけるなっ!!さっさと起きて支度を・・・」
布団を引き剥がそうとするヴォルフとそれを取り返そうとするおれ。
規模の小さな綱引きは、力の差が均衡しており、どうにも勝負がつかない。
『仕方ない、ここは奥の手だ・・・』
おれは引き合っていた布団から手を離すと、代わりにヴォルフの手を掴み、
自分の方に向かって目一杯引き倒す。
倒れ掛かってきたヴォルフの身体にのしかかり、ベットに押さえ込んだ。
「おっ、おいっ!こらっ!!なにをしてっ・・・」
「あーっ!五月蝿い!!お前もおれと一緒に休むのっ!添い寝は婚約者の役目なんだろっ!」
暴れるヴォルフに抱きついて、抱き枕よろしくしがみ付く。
「・・・そんなにきついのか?」
「うん。」
「大体、ぼくはサボりじゃ無いからな!お前に付き合ってやってるだけだぞ!」
「うん。」
「・・・・僕の事は好きか?」
「うん。」
「・・・そうか。」
「・・・・うん。」
ヴォルフの首筋に顔を埋め、すでに朦朧としてきた意識の中で、問いかけに応える。
温かな掌がおれの背に落ちて、優しく撫でるのを感じながら。
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