愛のために目が見えなくなってしまった人々
「ヴォルフ、よく顔見せて。」
「どうした?急にそんな事を言って。」
「さっきからヴォルフ、余所見ばっかりしてるから・・・ちょっと悔しかったんだよ。」
「それは、ぼくはお前の護衛でもあるのだから辺りに気を回すのは当然で・・。」
「分かってる。分かってるけど・・。」
「・・・そうだな、すまない。でもぼくはいつもユーリのことだけを考えてる。」
「ヴォルフ・・おれもだよ。」
「あ〜・・!!突っ込みたい!!いまあすぐあの間に入ってさ、ここが他国で、
しかも同盟を結ぶ為の謁見中で、周りの諸国の皆様が完全に置いてかれて
この場が凄い空気になっているという事実を突きつけてやりたいっ!!」
手を取り合って、うっとりしている魔王陛下とその伴侶の側で、
イライラした調子で大賢者が呟くのを、苦笑いでコンラートが見つめている。
「はははっ、壁を乗り越えて、自他共に認める相思相愛カップルとはいえ、
多少周りが見えなくなってるかな?」
当てられっぱなしの眞魔国の面々と、他国の貴賓の皆様を置いて、
魔王とその美貌の伴侶は二人の世界に浸り続けるのだった。
|