かわいい恋人よ,おまえの母は
「陛下、陛下にお手紙ですよ。」
ギュンターに渡されたのは薄いピンクの一通の手紙。
封筒からは仄かに花のような甘い香りが漂ってくる。
「誰からだろ?」
「この尻軽!また何処ぞの男をたぶらかし・・・」
「ぐぇっっ!!違うよ!ん〜・・んと、あぁ、これツェリさまからだ。」
母の名を聞いて、ヴォルフは首を締め上げていた力を緩める。
「母上から?」
「あはは・・・ツェリさまらしい、というか・・」
「なんと書いてあったんだ?」
苦笑して可愛らしい便箋に踊る文字を読むおれの背後から、
ヴォルフが覗き込むのを阻止する為、手紙を咄嗟に隠した。
「こら!なんで隠すんだ!?」
「今は駄目!!今は!後からちゃんと教えるから!!」
一体なんなんだ?と片眉を上げるヴォルフを尻目におれも溜息を一つ。
隠した手紙の内容はこう。
『親愛なるユーリ陛下へ
せっかく互いの思いを伝え合ったというのに、
なかなかわたくしの息子との中が進展しないと風の噂で聞きました。
それもこれも、あの子が案外鈍いところがあるせいかもしれないと思うの。
なので、ヴォルフ用の夜着をいくつか贈ります。陛下のお好きなものを着せてあげてね!
あなたのツェリより』
「さて・・・今夜はどうしたもんかな〜?」
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