あの人たちはいいなあ
「あの人たちはいいなぁ〜。」
お忍びで降りた町でコンラッドと二人、たまたま結婚式の一団に出会った。
「ユーリは何が羨ましいのかな?」
「ん〜・・花嫁さん、綺麗だなって。」
確かにおれには、本当〜に申し訳ないんだけど目の前を歩く花嫁さんより数倍、いや、
天使より可愛い婚約者がいる。
ただ、難点が一つ。
それはそいつが男だってこと。
踏み越えたいのにその壁が大きくて、おれはどうにも困ってしまっているのだ。
「あ〜ぁ、ヴォルフが女の子だったらなぁ。」
こんなに悩む事はなかったのに。
「ん〜、確かに地球では男同士は特殊なカップルになりますからねぇ。」
よき理解者の顔の名づけ親に、苦笑で返事。
「でも、もしもヴォルフが女の子だったら・・・」
「?」
「そしたらヴォルフと陛下は出会うことさえなかったでしょうね。」
「え?なんで??」
「数十年前は戦乱でしたし、実際シマロンとの関係作りの為、
姻戚関係をという案もあるにはあったし、まぁ男の子でもあの美貌ですからね、
随分と結婚の申しこみも・・って、あれ?陛下?」
名付け親をその場に置き捨てて、自慢の足で城へと猛ダッシュ!!!
一刻も早く手をつけないと、他に持ってかれちゃっても仕方ないってこと、
何で気付かなかったんだ!?おれ!!
おれの天使を、誰にも渡すものか!!
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