あの人たちはいいなあ

 

「あの人たちはいいなぁ〜。」

お忍びで降りた町でコンラッドと二人、たまたま結婚式の一団に出会った。

「ユーリは何が羨ましいのかな?」

「ん〜・・花嫁さん、綺麗だなって。」

確かにおれには、本当〜に申し訳ないんだけど目の前を歩く花嫁さんより数倍、いや、

天使より可愛い婚約者がいる。

ただ、難点が一つ。

それはそいつが男だってこと。

踏み越えたいのにその壁が大きくて、おれはどうにも困ってしまっているのだ。

「あ〜ぁ、ヴォルフが女の子だったらなぁ。」

こんなに悩む事はなかったのに。

「ん〜、確かに地球では男同士は特殊なカップルになりますからねぇ。」

よき理解者の顔の名づけ親に、苦笑で返事。

「でも、もしもヴォルフが女の子だったら・・・」

「?」

「そしたらヴォルフと陛下は出会うことさえなかったでしょうね。」

「え?なんで??」

「数十年前は戦乱でしたし、実際シマロンとの関係作りの為、

 姻戚関係をという案もあるにはあったし、まぁ男の子でもあの美貌ですからね、

 随分と結婚の申しこみも・・って、あれ?陛下?」

名付け親をその場に置き捨てて、自慢の足で城へと猛ダッシュ!!!

一刻も早く手をつけないと、他に持ってかれちゃっても仕方ないってこと、

何で気付かなかったんだ!?おれ!!

おれの天使を、誰にも渡すものか!!

*******************************
2005/7/31

本当は「少年と蜜蜂」よりこれが早くなきゃいけなかったんですが(苦笑)!!

コンラートを連れて街に出て、こんな話を聞いてしまって、自分の幸せな現状と、

もっと言うならとってもキケンな現状に(笑)気付いちゃって大慌ての陛下、をチョイス☆

与えられるものの大きさに甘えて、現状の危うさに気付いてなかった陛下は、

結果「少年と蜜蜂」のような状態になるわけです・・・ね(笑)

 

.