さあ,もう仲直りしようよ,いとしい人

 

「なぁ、おれが悪かったから!!」

「五月蝿い!!」

「もう、機嫌直せよ〜。」

「しるもんかっ!」

・・・こんなやり取りをして、早2時間。

おれはクローゼットに篭城中の婚約者のご機嫌伺いに忙しい。

「・・・どうしたら許してくれる?」

「・・・許してほしいのか?」

だから2時間もこうして頑張っているのでしょう?という言葉は、

余計に火に油を注ぐと知っているので、決して口にはしない。

「うん!当たり前だろ!!」

「・・・だったら、・・・ちゃんとするって、約束するか?」

「ちゃんと?なにを?」

何の事だろうと思わず口にすると、とうとう我慢できなくなったのか、

クローゼットの扉をばんっ!と開け放ち、

真っ赤な顔でヴォルフが飛び出してくる。

「何を、だとっ!?朝と夜の口づけだっ!!昨日もその前のその前も!

お前は忘れてしまっていただろうがっっ!」

「そうだった!ごめん!!」

また引っ込まれてはたまらないから、そのまま引っ張りだして両腕の中に収め、

しっかり捕獲する。

「忘れた分、ちゃんとする!というか、利息ついてるだろうから、一杯返さなきゃな!」

ちょっと意地の悪い笑顔で、この先の起こる出来事を仄めかすと、

真っ赤な顔を更に赤くしてヴォルフがそっぽを向いて呟いた。

「・・・へなちょこのくせにっ!!」

それは肯定の返事。

 

 

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2005/10/29

クローゼットに篭るヴォルフ、大好きです。

 

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