さあ,もう仲直りしようよ,いとしい人
「なぁ、おれが悪かったから!!」
「五月蝿い!!」
「もう、機嫌直せよ〜。」
「しるもんかっ!」
・・・こんなやり取りをして、早2時間。
おれはクローゼットに篭城中の婚約者のご機嫌伺いに忙しい。
「・・・どうしたら許してくれる?」
「・・・許してほしいのか?」
だから2時間もこうして頑張っているのでしょう?という言葉は、
余計に火に油を注ぐと知っているので、決して口にはしない。
「うん!当たり前だろ!!」
「・・・だったら、・・・ちゃんとするって、約束するか?」
「ちゃんと?なにを?」
何の事だろうと思わず口にすると、とうとう我慢できなくなったのか、
クローゼットの扉をばんっ!と開け放ち、
真っ赤な顔でヴォルフが飛び出してくる。
「何を、だとっ!?朝と夜の口づけだっ!!昨日もその前のその前も!
お前は忘れてしまっていただろうがっっ!」
「そうだった!ごめん!!」
また引っ込まれてはたまらないから、そのまま引っ張りだして両腕の中に収め、
しっかり捕獲する。
「忘れた分、ちゃんとする!というか、利息ついてるだろうから、一杯返さなきゃな!」
ちょっと意地の悪い笑顔で、この先の起こる出来事を仄めかすと、
真っ赤な顔を更に赤くしてヴォルフがそっぽを向いて呟いた。
「・・・へなちょこのくせにっ!!」
それは肯定の返事。
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