おまえの魅力すべてがありのままに描き出され

 

「なぁ、こっちって写真ないもんな〜。」

二人で他愛の無い話をしていたらユーリが唐突にそんなことを聞いてきた。

「写真?なんだそれは??」

「う〜ん、なんだろ?スイッチを押すだけで、一瞬ですっごい精巧な肖像画とか

風景画とかが書きあがってくる機械・・とでもいえばいいのかな?

絵がすぐ出で来る奴もあるけど、ネガって言うのがある奴は、欲しい絵を、

何枚も何枚も全く同じ状態で複製できたりするんだよ。」

想像も出来ないようなものが一杯の世界の話。

でもそれも、ユーリの愛するもう一つの世界。

「・・・詳しい事を知らせれば、アニシナになら作ってもらえそうな気はするが。

でも、急にどうしたんだ?急にその、写真とやらが欲しくなったという事は、

なにかユーリの残したい風景か景色があるということか?」

「う〜ん、まぁ。」

なんとなく言葉を濁したユーリを諭す。

「だったらぼくや宮廷画家に頼めばいいじゃないか!全く精巧に何枚も、

というのは難しいかもしれないが、お前の望みなら皆精一杯の仕事をするだろうし・・・」

「あぁ〜・・・ま、そうだけど〜・・・」

それでもまだ煮え切らないユーリ。

なぜ?何が気に入らないんだ?と小首を傾げてそう問うと、

耳まで真っ赤になりながらユーリがこう言った。

「あ〜・・だからさ、おれにしか見せないヴォルフの、そういう可愛い表情はさ、

お前は元より絵師に頼んだって無理じゃんかー!!」

 

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2005/9/10

ユーリしか見ることの出来ないヴォルフの表情。

それをとどめたいと思う気持ち、分かるけど・・・・・なんか悔しいのはなぜでしょう(笑) 

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