わたしたちふたり長い間むっつり黙りこんでいました
今日はものすご〜く嫌な事があった。
ユーリは思わず深い溜息をついた。
国に関する事で、グウェンダルと激しくやりあってしまったのだ。
元は国境近くの小さな小競り合いの解決法が原因だったんだけど・・・。
小競り合いの解決法を話し合ってて、小競り合いしてるんじゃ世話無いけど。
思い身体を引きずってようやく部屋に付いたおれに、
金髪の婚約者殿がいつものごとく近寄ってくる。
「どうした、ユーリ!へなちょこ顔がいつもより・・・」
「あ〜もぅっ!!『もっとへなちょこになってる』っていいたいんだろ?!
わるかったなっ!でも今日はおまえのその『へなちょこ〜』も聞きたくないの!」
完全に八つ当たりだって分かってる。
だけどそれをどうにも止められない、おれ。
そんなおれを不審に思ってヴォルフの翠色の瞳が覗き込んできた。
「どうかしたのか?嫌な事でもあったのか?」
「・・・ヴォルフ、背中貸して。」
ベットの上によじ登ると自分の横をぽんぽんと叩き、彼を呼ぶ。
ヴォルフラムはほんの少し小首を傾げたが、それ以上何も言わずに黙っておれの言葉に従った。
お互い背中あわせに、足を投げだして座る。
目も合わせず、言葉も交わさず。
ただあるのは、背中あわせに感じるヴォルフラムの温もりだけ。
でもその温もりだけが、凝り固まったおれの心を解していく。
おれたちふたりは長い間、むっつりと黙っていた。
でもそれは、温かな時間だった。
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