49.わたしの恋人がわたしを食事に招んでくれたの
たぐい稀な魔力を持つユーリが、自力で地球と眞魔国を行き来できるようになったころ。
ユーリは水に濡れてくちゃくちゃになりかけの、一枚の招待状をぼくにくれた。
「なんだこれは?」
「招待状。」
「それは見れば分かるぞ?」
「じゃぁ、詳細は中を読めば分かるんじゃない?」
少し意地悪く笑ったユーリは、『村田に聞くの禁止な!』とだけ言うと、
そのまま部屋を出て行ってしまった。
「なんなんだ?一体・・・」
訝しく思うが、内容が気になるのは事実なので、
濡れた紙を破らないように慎重に開けてみる。
中には幾つかの地球語が並んでいて、ぼくには簡単に読めそうにない。
「なるほど・・・そういうことか。ユーリめ・・。」
大賢者に聞かずに、自力で読解して見せろということか。
おもしろい。
あのへなちょこが仕込んだ罠など、このぼくにかかればなんてことはない!!
そう意気込んで、まずはアニシナから「ユーリ陛下24字」を借り出して翻訳スタート。
・・・して、早1時間。
「ヴォルフラム〜?読めた??」
笑顔でやってきたユーリに、ふふんと鼻で笑い、成果の発表をする。
「このはじめの部分だが・・・これはぼくの名前だな!まずはぼく宛と分かったぞ!」
「・・・そりゃぁお前に渡したんだし・・。というか内容は?」
その言葉にぼくは憤慨した。
「内容などわかるものか!!アニシナに借りた辞書には、
全部で24語しかお前の言葉が収録されていないんだぞ!?
該当する語も無ければ辞書は意味を成さないし、
大賢者に聞くこともまかりならんとおまえがそう言ったんだぞ!?」
そう告げると、ユーリはきょとんとしてぼくを見る。
反論すらせずにしばらく見つめられて、思わずぼくもひるんでしまう。
「な、なんだ!?何か言いたい事は無いのか!??」
「ない。というか、お前って・・・・」
「なんだ?」
「本当に素直で、かわいいなぁ・・・。」
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