どんな歌をおまえにうたってあげたらいいだろう
魘され、額に汗しながら眠るユーリを。
起こすべきか、宥めるべきか、ぼくは諮詢した。
何を悩んでる?
何がそんなに苦しいんだ?
本当は苦しいのに、それを隠して無理して笑うところのあるユーリに、
数日ぼくはそう問いただしたくて仕方なかった。
けれどそう問いただしたところで、
『悩み?そんなのないよ!』と誤魔化されるだけだ。
・・・いや、もしかしたらユーリ自身が気付いていないのかもしれない。
なにか心の深いところで、なにか。
「う・・う、ん・・・」
眉根を寄せて呻く、ユーリ。
せめて夢の中だけは、穏やかな時間を過ごさせてやりたいのに。
「ユーリ、ぼくは側にいる。」
それがぼくの役目。
それがぼくの喜び。
それが・・・ユーリに出来る、ぼくのすべて。
そっと額の汗を拭ってやると、その背をそっと抱く。
そして小さなリズムをもって、その背をあやしながら、
思い出した子守唄を歌う。
はるか昔に、誰かが、ぼくの耳元に囁いた、子守唄を。
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