白い花のお花飾り

 

今日はとってもいい天気。

グレタのお父様たちも早めに仕事を終わらせて、遊んでくれるんだって。

とっても綺麗なお花畑があるからそこまで遠乗りにいこうねって約束したの。

お世話係のお姉さんにその話をしたら、お茶とお菓子を持たせてくれたよ。

あとはお父様たちを待つだけなんだ〜、わくわく。

 

ユーリとヴォルフのお仕事が終わったから、お馬に乗って遠乗りに出発!

だけど、出発前から問題発生。

本当はグレタはユーリと一緒のお馬に乗りたかったんだけど、

ヴォルフが『ユーリはへなちょこでようやくどくりょくで馬に乗れる程度の実力』で、

『振り落とされでもしてグレタが怪我したら堪らないから』って、怒るの。

だからグレタはバスケットを持って、ヴォルフのお馬に乗ったよ。

ちょっとユーリが淋しそうだったけど、ヴォルフはとっても嬉しそう。

でもやっぱり、淋しそうな顔のユーリを見ているのはちょっと淋しい。

だからグレタ、こっそりヴォルフに聞いたの。

「ねぇ、帰りはユーリの方に乗ってもいい??」って。

そうしたらヴォルフは怒るかな〜って思ったら、ヴォルフは凄く淋しそうな顔をしたの。

そうしてグレタに「ユーリと乗りたかったんだもんな。」って言って、

「振り落とさないようにグレタからアオに言ってやってくれ」って、そっと頭を撫でてくれた。

ヴォルフもユーリも、グレタに優しい。

二人はとっても仲が良くて、いつも一緒にいるけれど、

『いくじにたいする、いけんのそうい』とかで喧嘩する時もあるし、

今日みたいにグレタの取り合いみたくなって、どっちかが悲しそうな顔をする時もある。

本当なら「ケンカしないでなかよくして!」ってとめなきゃいけないんだろうけど、

そんな二人を見ていると、実はグレタ、ちょっと嬉しいんだ。

だって、ユーリもね、ヴォルフもね、グレタのこと、好きでいてくれるんだな〜って分かるから。

淋しそうな顔、させてるのに、嬉しいって思うなんて変なのかな?

でも・・・・嬉しい気持ちになる。

 

「ほら、着いたぞ!!」

少し前を黒い馬で走っていたユーリがそう言った。

目の前には真っ白い花が、たくさんたくさん咲いていた。

どこまでもどこまでも、ずっとずっと、真っ白い花。

そこは、綺麗な綺麗な花畑。

 

花畑の中にお父様たちと並んで座る。

初め、お花を踏んづけちゃうのはかわいそうかな?って思ったけど、

ユーリが「こういう花は踏まれても、伸び上がってくる力があるから大丈夫」って言ったから、

強くてきれいなお花をしんじて、三人で座った。

甘い甘い香りが、辺りにいっぱいで、ヴォルフは気持ち良さそうに足を投げ出して、

背伸びをしてる。

ユーリはそのままごろんと寝転がった。

ヴォルフがユーリに「膝枕しようか?」って聞いて、ユーリが「今は大丈夫」って答える。

グレタは、まわりのお花がとっても綺麗だったから、

アニシナに教わったお花かざりを作ってみようかなって思ってお花を編んでみた。

お花を手にとって、ずっと手元を見ていると、聞こえてくる温かい声。

お花が綺麗だな〜、空が青いな〜。ほら、グレタ!

エンギワル鳥飛んでるぞ、あいつ鳴かないとなかなか綺麗な鳥だな〜ってユーリの声。

馬に乗りっぱなしで疲れたろう?お茶でも飲むか? ほら、グレタ!

青色蝶々が止まっている。珍しいな、こんなところで見れるなんてってヴォルフの声。  

二人の声に包まれて、やっぱりグレタは幸せなんだって、そう思った。

ヴォルフは、純血魔族。

ユーリは、魔族と人間のハーフ。

グレタは、純血の人間。

血も繋がらない、三人。

だけどもぅ、本当の、家族なんだよね。

 

お花飾りはふたつ出来た。

一つ目は「なにを作ってるの?」って覗きこんだユーリの首に掛けた。

「なんか、一昔前のかいがいりょこうきゃくみたいだな」

ってよく分からないことを言いながら、でも嬉しいよって言ってくれて、

グレタもとっても嬉しかったの。

二つ目は少し小さくて、ヴォルフの頭にちょこんと乗った、花冠になった。

「ぼくにも?・・・ありがとう、グレタ。」

にっこり笑うヴォルフの金の髪に白い花がとっても綺麗で、

ユーリが良く言う『天使』みたいだなって思った。

だからユーリを振り向いて「ヴォルフ、綺麗だね〜。」っていったら、

いきなりユーリがグレタに目隠しをして「ちょっとだけ、ごめん。」っていったの。

・・・実をいうと見えなくっても、なにをしてるかグレタちゃ〜んと分かっているんだけど。

だって、いつも目隠しを外されると大体ヴォルフが耳まで真っ赤になっていて、

ユーリは苦笑いしているから、何をしてるか知りたくて。

だからいろんな人に聞いてみたの。

ぴっかりくんに聞いたらね、『これ』はとても素敵なことなんだっていうの。

お父様たちがらぶらぶで、おたがいのことが大好きで大好きでたまらないからなんだよって。

でもね、コンラートに聞いたら、多分見られるとはずかしいんでしょうねって言ってた。

なんで?らぶらぶなのはいいことなのになぁ〜って思って、

今度はギュンターに聞いたら、何も言わずに倒れてしまって、

ギーゼラとダカスコスに手当てしてもらってた。

だったら何でも知ってるグウェンに聞こうと思って、聞いてみたら突然泣き出してしまうし、

アニシナに聞いたら、『そんな瑣末事に悩むのは時間の無駄です!』って言う。

・・・おとなって、むずかしいな。

 

でもね、グレタは子供だけど、これだけはちゃんと分かってる。

 

ユーリにはてのひらが2つあって。

1つにはヴォルフのてのひらが、もう1つにはグレタのてのひらが重なる。

ヴォルフにも、てのひらが2つあって。

1つにはユーリのてのひらが重なっていて、あいた方にはグレタのてのひら。

そしてグレタの2つのてのひらは、大好きな二人のお父様のてのひらでふさがっている。

お花飾りのお花みたいに。

お花飾りのお花たちが、茎を絡ませて綺麗な輪っかになるように。

ユーリとヴォルフとグレタで、優しい丸をつくってる。

それはとても嬉しい事だって、いつだって伝えたいって思う。

嬉しいっていう気持ち。

ありがとうっていう気持ち。

大好きっていう気持ち。

だからお花の一つ一つに、気持ちをうんと込めて、お花かざりを作ったの。

 

二人のお父様が、大好きだから。

グレタを大好きだって言ってくれる、眞魔国の皆が大好きだから。

 

 

 

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2005/3/1

まるマオンリーサイト記念で、なんと4時間余りで突貫工事で書きました〜!

よく読み返していないから、辻褄合わないところとか合ったらごめんなさい・・・。

本当はグレタも二人のお父様から、ほっぺにちゅー☆してもらうっていうエピソード(??)が

入る予定だったんですが、お父様たちをイチャイチャさせてるうちに忘れちゃったらしいです、あはは(失笑)