ピロートーク

 

「今日、こんな事があったよ。」

風呂上りの温かな体を、冷えた魔王ベットに滑り込ませながらおれはそう切り出した。

「また突拍子もないことでも提案して兄上を困らせてきたか?

全くお前という奴は本当に・・・」

先に布団にもぐりこんだ温かな体は、優しい手触りの夜着に包まれ、

ゆっくり少しづつ動いて、最後にはぴったりとおれの体に寄り添った。

「まぁね、突拍子もないってことは少しは自覚してるんだけどね。」

「それが分かっていながら改善の余地が無いとは、お前は本当にへなちょこだな!」

生まれも育ちも、基本的な常識すらも違う世界で生まれ、育ったおれたちは、

身を寄せ合っていても、意見が真っ向から対立する事もしばしばだ。

人が見れば驚くくらいの剣幕ではじき出すお互いの言葉。

最後には罵りあいに近い形になってしまうことだってある。

でも、黙っていたって心は見えない。

それが痛みを、傷を、残すとわかっていたって伝えなきゃいけないことだって一杯ある。

おれたちはそれを無意識に理解しているだけなんだと、最近ようやくおれにもわかってきた。

「お前の意見をききたいんだよ。

合ってるとか間違ってるとか結論は急ぎたくないんだけどさ。」

「分かっている。で、今日の懸案はなんなんだ?」

「それがさ〜・・・」

月明かりの下、多分喧々轟々の話し合いが続くだろう。

もしかしたら薄明るい日の光と朝靄が、

眠りすら忘れたおれ達に水を射すまで続くのかもしれない。

 

でも、おれはそれを嬉しく思うよ。

だって。

だってさ。

それは新しい『今日』という日が生まれる瞬間を、

君という大切な人と共に迎えられる幸せ。

 

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2005/12/31

初日の出と掛けまして〜・・てな感じで、朝日が邪魔しにくるまでのピロートークです。

本当はもっとずっと甘くて優しい仕上がりになるはずだったのに、

・・・・多分「婚約破棄物語」が多分に影響してるんだとおもうんですけどね(苦笑)

でもあのお話を私は好意的にとることにしました!!その辺はまたネタバレコーナーで!!