◎ 窓硝子 ◎
窓べに立って空を見る。
冬の寒さに澄んだ空に常より輝きを増した星が我先にと瞬いて。
月の光もさらに黄味を増したよう。
ぼくはその空に吸い込まれないよう、きっちりと締めた窓べに立って、
冷たく冷えた硝子に頬を付けた
ほぅ…っと。
ぼくの頬の温もりとついた吐息が窓に小さな白い印を残す。
_________ぼくはここにいる。
それは確かな存在の証。
ここにはいない「彼」の残した残り香が薄れるかわり、
残された思い出だけが美しさを増すのを止められない。
罵倒し、喧嘩した夜でさえ、彼の温もりを思い出すあまやかな痛みに変わるのだから。
「きっとまたあえる…」
出会えたことすら美しい夢の一部でなければ。
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