◎ お花畑で会いましょう ◎

 

卒業式出席だけで解放された、その午後。

嬉しさではしゃぐ両足に力を込めて、自転車を漕ぎ出す。

軽くなるペダルをご機嫌で走らせていたが、

河川敷でふと足が止まった。

それは、おれのホームグラウンド。

煌く水面に沿った河川敷の坂を埋め尽くすのは、一面の菜の花。

「もうすっかり春だなぁ・・・」

どこから現れたのか、愛らしい蝶が沢山舞い飛ぶ。

吹く風さえも、菜の花の香りを含んで春満載だ。

「すげー花畑!向こうの皆にも見せてあげたいな。」

菜の花は咲く期間は短いけれど、まだ楽しみはある。

揺れる菜の花と入れ替わるように、大根菜の花が咲くからだ。

形状は菜花と大差ないけれど、花びらの色は真っ白でまるで雪のよう。

河川敷一面が真っ白に変わるのも本当に綺麗だから、

きっと皆喜んでくれるだろう。

「あれはアレで綺麗なもんだしね。」

そうしてそれさえも終わればまた、深緑の緑で埋め尽くされる。

深緑が夏を呼び、空高く、一面に青い青い空。

そうしておれの暑い夏の到来。

「緑と青って相性いいのな。」

それから、青空にゆれる、黄色と白い花も。

それは、かの国においてきた大切な人を思い出す要因にしかならず。

「結局どこにいても、お前を思い出すんだから。」

当然だ、と大好きなアルトの声が耳の奥に響いた。

 

 

 

 

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2007/4/1

エイプリルフールは用意できなかったので、春と初夏の雰囲気で。

結局三男カラーでムフフな陛下。