あぶく
噴水から飛び出した一粒の雫が、水へ還る。
それは、高く強く飛び込んで、小さな空気を道連れに。
飛び込んだ雫は溶け合って、水の中には泡。
雫は水に紛れても、泡は混ざり合わないで、
空へと一人還ってしまう。
「まるでぼくらのようだ。」
ヴォルフラムは小さく呟く。
「まるで、ぼくと・・・ユーリのようだ。」
どんなに強引に、我侭を貫いて、引き寄せたって。
水の中、すり抜け、空に帰る泡のように。
高みへ、空へ、ユーリは逃げていく。
ぼくの手など届かないところへ。
「どうしたらいい?」
どうしたらお前と共にいられる?
「それは・・・」
ぼくが泡でない限り、この想いは叶わないのだろうか?
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