ここではマニメ「許婚VS婚約者」のネタバレがあります。

前回の放送前の予想話ではなく、こっちは妄想補完編です

切ない「ユ←ヴォ」展開で見る、許婚VS婚約者です。

それでも大丈夫な方は、スクロールGO!

 

許婚VS婚約者 ちょっと切ない補完編

 

 

ユーリの尻軽に悩まされるのはいつもの事。

だけど、お見合いなんてそんな大それた事をされるのは初めてで。

悔しくて悲しくて、そして_____これがお前の本当の気持ちなのか?と

心底胸を抉られる様な痛みを感じた。

ユーリを問い詰めたくはなかった。

聞かされる言葉が、あまりにも容易く想像できるから。

そしてその応えが、決してぼくの望むものではない事が分かっているから。

 

「おひさしぶりです、ヴォルフラムお兄様。」

「エリザべート?」

彼女の話に耳を傾ければ、遠く記憶の向こうで、ぼくのおこした小さな出来事が思い出される。

確かにあの日、ぼくは彼女の頬を打った。

だけどあれは確かに間違いで。

それは、ぼくとユーリの関係を思い出された。

エリザベートが激しくぼくへの愛を謳う度に、それは今のぼくの姿と重なる。

想いは届かない。

決して届かないと分かっているから。

だから______喉が張り裂けるほど、叫ぶ。

あなたへの愛を、ほんのひとかけらだけでもあなたの足元へ届かないものかと。

怒りのあまりにエリザベートが払い落とした、食器たち。

それはまるであの日のぼくらと同じように。

ユーリは躊躇いなく、ナイフを、そしてスプーンを手に取った。

そうそれは______あの日と同じように。

彼に他意などない。

ただ、落ちたから拾っただけ。

それでも、その二つをエリザベートに向けた彼を見たとき、正直心が踊った。

『ヴォルフラムはおれのもの』

ユーリはその行為の意味を知らない。

けれど、拾った以外の他意はなくてもその行為は、

皆に「ぼくへのユーリの愛」を知らしめるから・・・嘘でも、嬉しかった。

母や、伯父や、兄たちや、ギュンターや、エリザベートや、そして、ぼくにも。

『ヴォルフラムはおれのもの』

その言葉をぼくがどんなに欲しているか、ユーリは知らない。

いや・・・それはちょっと違うかもしれない。

ユーリは知らないのではなくて、気付いてはいるのに知らない振りをしているだけだ。

『おれたち男同士だから。』

その言葉を盾に、ユーリはぼくがそれ以上を踏み込むのを許さない。

だからぼくがどんなにあの言葉を欲していたって、気にもとめやしないのだ。

 

 

「だったら何で頬を打ったんだよ?」

「・・・忘れた。」

「忘れたって・・」

言えるわけがない。

エリザベートの頬を打ったのは『偶然』の出来事だったとは。

それを口にして、ぼくがエリザベートを退ければそれは、

ぼくがユーリの側にいることを許された「今」をも失ってしまうことだから。

「なぁ、あの子、本気でお前の事好きみたいだし。気持ちにこたえてやったら?」

ユーリ、その言葉を全てお前に返そう。

信じ、貫き続ける愛を美しく思い、またそれは実るべきだというのなら、

まずぼくの愛をお前の中に実らせて欲しいのに。

エリザベートの愛を認めるのなら、ぼくの想いも認めてほしい。

それを認められないというのなら、エリザベートの想いを諾々と受け入れることが出来ない、

ぼくの気持ちも理解できるはずだろうに。

無神経なユーリの言葉に語調が思わずきつくなる。

「冗談は許さないぞ。」

初めて出会った時以来向けたことの無い、本当の怒りを含んだ瞳をユーリに向ける。

その瞳に怯みながらそれでも言葉をつむぐのを止めないユーリの口を塞ぎたくなる。

やめてくれ、もう。

これ以上悲しい気持ちになるのはもうたくさんだ。

なのに、それでもなお、エリザベートを受け入れろと言うユーリに、

ようやく吐き出せた一言。

「・・・・・負けたら許さないからな。」

でもその一言に託した胸の内は、彼に届くだろうか?

 

今はまだ、愛でなくてかまわないから。

この国を守るためだけの偽り関係でも、かまわないから。

隣に立つ意味までも、ぼくから奪っていかないで。

そうして生きている意味さえも、ぼくから奪っていかないで。

この勝負に勝って、もう一度。

あの騒々しくも優しい温もりに溢れた日々を、ぼくに返して欲しいんだ。

 

ねぇ?気づいて・・・・ぼくは・・・・おまえを・・・・

__________愛しているんだ、心から。

 

 

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2006/4/26

この話好きで何度も何度も見ていたら、だんだんと「これって実は切ない話じゃないの?」と

思えるようになってしまったので、地上波記念に一本書いてみました。

せつなっくってすいません・・・。

まっすぐなまっすぐなヴォルフラムの切なさがそうさせるんですよぅ〜(おい!)


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