「よし!では、聞かせてやろう!!」
俺とコンラートの二人に『お願い!』されて、
嬉しそうにヴォルフラムは朗読をはじめた。
だが『ひなまちゅりを讃える詩』、そういってヴォルフの口から放たれた歌詞に、
おれもコンラートも、思わずぶっ飛んだ。
「ちょ、ちょっとまて〜っっ!!!」
な、何だその歌詞は!?
つか、いったいだれがこんな事を教えたんだ??
ヴォルフに聞いてみても、朗読を途中で止められた事に拗ねていて、
教えてくれない。
大体地球のことを知っている時点で該当者はそう多くないし、
このなかなか他人に懐かない気位の高い猫みたいなおれの婚約者を手懐けて・・・。
・・・・。
ムラケンだな。
「そんなくっだらないことを吹き込むのはムラケンだな。」
「あぁ、やっぱり大賢者ですか。」
コンラッドも納得の顔。
大体82年も生きてきた割りには、人を疑うということを知らないヴォルフ。
先代魔王である母親と、実はかなりのブラコンである二人の兄に、
舐めるように可愛がられてきた、眞魔国の秘宝。
真っ直ぐで一生懸命で、意地っ張りなところはあるけど、あまりにも素直だから、
からかいがいがあるのは分かる!わかるけどっ!!!
「いつも言ってるだろ、ヴォルフ?ムラケンには気をつけろって!」
大体ヴォルフが変な事を吹き込まれて、被害をこうむるのはいつだっておれなんだ。
先月はヴァレンタインで「地球ではこの日にチョコで愛を表現する」と教えられて、
何故か溶かしたチョコを絵の具代わりに、おれの肖像画を描いて持ってきてみたり。
「地球の新婚さんのしきたり」とかいって、執務から解放されたおれを部屋で待ち受け、
フリフリのエプロンをつけて、片手にお玉も持って、
「おかえり、ユーリ。ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・」をやらかしてくれた。
ヴォルフにしてみれば、俺の育った国の常識に合わせてくれようと必死なわけで、
そういう気持ちを知っているから、無下に怒ったりもしたくはないんだけど・・・。
「でも・・でもさ!!!頼むから、もうちょっと警戒してくれよーーーっ!!」
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「ムラケンには気をつけて!」とユーリが常々ヴォルフに言っているという所に、
ぴこ〜んと萌え電波を感知(笑)
というか、常々ムラケンに騙されているらしい素直なヴォルフに乾杯☆
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