◎の・ぞ・き・み?

---ぷろろーぐ---

 時は、夏。まだまだ新婚ほやほやの進くんと雪ちゃんは、半年間だけの一戸建て暮らしを始めていた。進の先輩が、半年間の出張に奥さんも同行させる事になり、買ったばかりの新居をそのまま空けておくわけにはいかないというわけで、進たち夫婦に、たまに空気の入れ替えや掃除を条件にただで貸すということになった。

 いつか子供ができたら、やっぱり土の上で遊ばせたいと思っていた雪は、おお乗り気で、自分たちのマンションの方を仮住まいにして、一戸建てに引っ越してしまった。そう言う事に関しては進は、雪の言うがままで、雪の言いなりに引っ越してきたが、二人とも、広い居住空間と庭の木々に、すっかりその家が気に入っていた。

 そんなある日、進は昨日宇宙勤務から帰還して、今朝は雪と遅い朝食(ブランチ)を食べていた。どうして遅い朝食かって? そんなのは、聞くだけ野暮というもの。昨日は、遅くまで起きていた二人、朝はさすがに起きるのが辛かったよう・・・ まだ、眠そうに目をこすってるみたい、進くん。

 「目覚ましにシャワーでもあびようか、雪。」

 「え? ええ、いいけど・・・ 一緒に?」

 「とうぜんだろ!!」

 そそくさと雪をひっぱって進は、シャワールームへ・・・ いったい、この二人、昼間っから何するつもりなんだろう。

 (1)

 その頃、中央広場で待ち合わせた男達3人が、駅に向かって歩いていた。

 「古代さん、いい一戸建てに住んでるから遊びに来いって誘ってくれたけど、ほんとにアポなしで行ってもいいんですか?」

 手土産のケーキを持った徳川太助が心配そうに、南部に聞いた。

 「いいんだって・・・昨日帰還したばっかりだから、きっと家にいるって。ちゃんときれいにしてるか見るには、やっぱり抜き打ちでいかないとな。なあ、相原。」

 「そうそう、古代さん達の愛の巣を調査するためには、やっぱり突然訪問ですよねぇ・・・ ああそれに、僕たちの参考になるかなぁ・・・」

 相原もうれしそうに言った。この相原君も、婚約の話がほぼ決まり、いとしの晶子さんとの結婚式に向けて、心も体も軽くてうきうきしていた。

 この3人、なにやら、進と雪の新婚の家を訪問するつもりらしい。それも、進たちには連絡せずに・・・ これは大変! おーい、すすむくーん! また、ネタを提供しないように気をつけるんだよ! って、もう遅いような気もするんだけど。

 (2)

 最寄の駅を降りて、3人は歩き出した。夏の日差しが、ぎらぎらと3人の頭に注ぐ。

 「遠いんですか? 僕あんまり歩きたくないなぁ・・・」

 少し歩いただけで、太助はもう既に根を上げていた。

 「駅から歩いて5分っていう話だから大丈夫だよ。すぐ着くさ。それに、お前は、少し炎天下を歩いたほうがいいぞ!」

 南部は、太助に向かって笑いながら言った。そうこうしているうちに、目的の番地に近づき、な瀟洒な住宅街に到着した。少しその中を歩いていると、芝生のきれいな白い壁の新しい家が目に付いた。

 「あっ! あれですよ、きっと。」 相原がその家を指して言った。

 本当の表札の上に、木製のプレートが掛けられていて、そこには、『WELCOME 古代』と書かれていた。

 「あっ、ほんとだ。」

 3人は、ほっとして、門を入り玄関の前までやってきた。太助が玄関ベルを押そうとしたとき、南部がそれを止めた。

 「徳川、ちょっと待てよ。少し、庭の方にまわってみよう。」

 「ええ!! そんなことして、古代さんに見つかったら怒られますよぉ!」

 太助はびっくりして、南部を止めようとした。

 「大丈夫だって、俺たちは、古代さん達には貸しがあるんだから。なあ、相原。」

 「そうそう、相原探偵が、ちょと探ってみましょう。」

 玄関から、右に庭が広がっていた。その庭沿いに3人はそっと歩き出した。少し壁伝いに歩くと、部屋から庭に降りられるようになっているのが見えた。窓は大きく開かれれて、少し吹き出した風に白いレースのカーテンがひらひら揺れている。おそらく、そこは、リビングに違いなかった。

 「あそこから、声かけようか・・・ びっくりするぜ、古代さん。」

 南部がニヤッと笑って、さらに数歩前へ進むと、突然中から声がした。

 (3)

 『ああ!雪ぃ・・・ いいよ! うーん・・・ ああ』

 ぎょっとして、3人は立ち止まってしまった。その声はまさしく進のものだ。

 『進さん、これはどおお?』

 『ああ・・・ い、いい! うっ! はぁ・・・ もうだめ・・ ああ』

 「いい!?」「もうだめ・・・!?」

 南部と相原は進の言葉を小さな声で繰り返しながら、顔を見合わせた。

 「何やってんだ?」 「やっぱり・・・ あの・・・」

 二人は、頭の中に大きく浮かんでくる妄想を抑えられなかった。太助に至っては、もう言葉を発する事すらできなくなって、ただ呆然自失状態!!

 『雪いつの間にこんなにうまくなったんだい?』

 『ふふふ・・・ そうかしら。私才能ある?』

 『あるよぉ・・・ すごくある・・・ もいっかいやって、ううっ、そこそこ、ああ・・・ いい!たまらない!雪ちゃん好きだよう・・・』

 『・・・進さんったら、うふふ・・・ 気持ち良かった?』

 『ああ、とろけちゃいそうだよ・・・』
 
 外からその声をじっと聞いていた3人だったが、顔面蒼白、無言のまま、揃ってくるっときびすを返すと、一目散に進たちの家から外へ出た。

 (4)

 3人は、駅まで無言で歩いていった。駅について、冷房の効いた待合室に入ると、やっと相原が口をきいた。

 「ふええ・・・ やっぱり、新婚さんの家にアポ無しっていうのは、無謀でしたね。でも、まさかこんな昼日中から・・・ あんなだとは・・・ はぁ・・・疲れた」

 「いやぁ・・・ 雪さんって、すごく大胆なんだなぁ。やっぱり、人妻になるとあんなに変わるものなんだろか? ふうっ」

 南部は、いつもの楚々とした雪の姿から今日のことが想像できなくて、びっくりしていた。太助はまだ、呆然としている。

 「おい、相原、徳川には刺激が強すぎたみたいだぞ。大丈夫か、徳川。」

 「はっ、はい! その・・・エネルギー伝達順調! 航行に支障はありません! はっ・・・ いえ、あの・・・」

 「だめだ、こりゃ!」 南部と相原は顔を見合わせた。

 「あの、僕、なんか晶子さんに会いたくなったなぁ・・・ じゃあ、今日はこれで。」

 相原はそわそわとしだした。南部も同じようだ。

 「あっ、俺も、この前パーティで会った彼女に電話して見ようかな。うん!」

 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!僕はどうしたらいいんですか? それにこのケーキ・・・」

 「お前にやるよ。家に帰って食ってろ!」

 「そんなぁーーー」 太助の泣き言も聞こえないかのように、相原、南部は立ち去ってしまった。

 はてさて、この3人がその後どうしたかは、読者の方々のご想像におまかせしよう!!

 (4)

 ところで、進くんと雪ちゃん、いったい何してたんだろね?えっ?もちろん、アレですか?
そうそう、アレね・・・ ん? アレソレコレ・・・ みんな、変な事考えてない?

 ここは、やっぱり読者の希望としては、確認しない事には、帰れない・・・ですね?

 では、では、あの3人をほっといて、みんなで、もいっかい、進くんの愛の巣を覗き見してみることにしようか?

 あっ! そんな失礼な事はしたくないっていう、品行方正、読者の鏡の方々は、ここで・・・帰ろう!! うん! それがいい! どーぞ・・・

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 ん? あらあ・・・ まだ、帰らないでいらっしゃる方がこんなに・・・ですか・・・ では行きますよ!

進くんと雪ちゃんのお部屋のドアをガチャリ!