おはよう…

イラスト by めいしゃんさん



朝が来た



昨日の夜は

僕もそして君も

相手を思う心を素直にさらけ出して

夢中で愛し合い睦み合い

満ち足りて眠った



そして……

一緒に迎えた今日の朝は

どうしてだろうか

なぜかとっても特別に思えるほど

幸福な朝だ



まぶしい太陽の光に起こされて

先に目が覚めた僕は

きらきらとした日差しを浴びながら

隣で眠る君の寝顔に

そっと話しかけた



おはよう……雪

君と一緒にひとつ部屋で迎える朝は

まだそれほど多くはないけれど

こんなにも僕の心を

満たしてくれるものだとは

思わなかったよ



おはよう……

おはよう……お寝坊さん

ほら、見てごらん

もうおひさまがすっかり空に上がってるよ

君の薄桃色の綺麗な顔と肌に

明るい日差しが射してるよ

キラキラと輝いて

とっても素敵だよ



けれど

僕がかけたおはようの声は

ぐっすり眠っている君の耳には届いていない

その証拠に

君はまだ

誰よりも美しく艶(あで)やかな微笑みをたたえながら……

目を覚まさない



実は、僕

わざと君に聞こえない小さな小さな声で

おはようって言ったんだ

だって僕は

まだ君を起こしたくないんだ

どうしてって?

それは……

僕が……

朝日に輝く君の寝顔を

まだまだ見ていたかったからなんだ



だから今

僕はたった一人で君の寝顔を見続けるっていう

なんともいえない幸福感に浸っているんだ

僕だけが見ることができる

特別なもの……

それは満ち足りた朝に眠る

君の寝顔



おはよう……

おはよう……

おはよう……

辛いときも悲しいときも

朝になればその一言で

僕は君から元気をもらう

二人が今日も

ともに朝を迎えたことを伝えあえる

大切な言葉だから

短いけれど……とっても幸せな言葉なんだ



だからもう少し

君を起こさないように

おはようと

言い続けさせておくれよな……



おはよう……

おはよう……

おはよう……雪


 


めいしゃんさんから、とって素敵なイラストのプレゼントをいただきました。
拙作の『いつも……』をイメージして書いてくださったそうです。

ということで、そのイメージのまま、まだ二人が暮らし始めて間もない頃の古代君のモノローグを書いてみました。

『永遠に』の後間もない時期ではありますが、二人で迎えた静かな朝は、古代君にとっては何物にも変えがたい幸せなひととき……なんだろうなって思っています。


あい
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