――2201年2月14日 輸送船団護衛艦内 休憩中の古代進と相原義一の会話――

 「古代さん、今日2月14日ですねぇ」

 「それがどうした?」

 「バレンタインデーでしょう? せっかくの日なのに残念ですね」

 「あ、そうか…… 帰るのは、あさってだもんな。仕方ないさ」

 「そういえば、去年の雪さんのチョコ、笑わせてもらいましたよねぇ」

 「あれかぁ? でも、あれ、雪が俺だけには、自分で作ったのをくれたんだぞ」

 「へええ、じゃあ、あのいびつだったのはそのせいですか?」

 「あはっはっは、まあ、そういうこと、雪は料理に関してはまだまだへたっぴいだからなぁ」

 「またぁ、そんなこと言って叱られますよ、雪さんに」

 「うん…… そう言えば、あの時の数字、なんの意味があったんだろうなぁ?」

 「数字?」

 「ああ、確か、ええっと…… 後で、真田さんからもう一度聞いてメモして、そのまままた忘れてたなぁ。どっか、この手帳の…… あ、あった『1921 1109 2515』」

 「へぇぇ……(ちょっと考えて) なぁんだ、簡単じゃないですかぁ」

 「お前、わかるのか?」

 「この相原、伊達に通信班長してませんよ。そういう系統はお任せを!! そんな単純なの……」

 「そうかぁ???」

 「ねえ、古代さん、地球に帰ったら、きれいなカードにこう書いて雪さんに渡してあげたら、きっと喜びますよ。去年の返事だってね」

 「ん? どうだって? 『09 12152205 251521』 なんだこれ? 雪のとまた違うじゃないか?」

 「いいですからっ! 古代さん、わかりませんか?」

 「わからん!! 教えろよっ!」

 「自分で考えてください!!」
――2201年2月16日 地球のとある公園にて 古代進と森雪の会話――

 「古代君、おかえりなさい。はい、これ……」

 「ん? なんだい? あっ、チョコレート……」

 「2日遅れだけど、バレンタインのチョコよ」

 「ありがとう、雪。バレンタインデーには宇宙にいたから、今年は貰えないかと思っていたよ」

 「うふふ…… ちゃあんと、作っておいたわっ! ママと大騒ぎしながら……」

 「あははは、想像したらおかしいなぁ!」

 「もうっ! 笑わないで…… ほんとに作るの大変だったんだから…… 去年の約束通り、去年のよりはうまくできたでしょう?」

 「うん、きれいなハート型してる。あっはっはっ……」

 「もうっ!!!!! また笑うぅぅぅー!!」

 「ああ、ごめんごめん。去年の奴を思い出してね」

 「いじわるっ!」

 「あっ、そうだ。雪、これ」

 「まあ、きれいなカード…… なあに?」

 「チョコのお礼に…… 去年の雪のメッセージの返事だよ」

 「えっ? 去年の? ………… あっ…… 古代君……うれしい……」

 「わかった?」

 「もちろんよ!! 私のメッセージもわかってたの? いつから?」

 「え? ああ、いやぁ、その…… あ……実は…… まだよくわからなくて」

 「え? じゃあ、これは?」

 「相原がな…… これ渡せば喜ぶって……」

 「まあ、あきれた!」

 「お、おい!! 怒るなよっ! もう、教えてくれたっていいだろう? その意味を」

 「………… 古代君、アルファベット順番に全部言える?」

 「言えるよ、それくらい……」

 「じゃあ、それをここに全部書き出して、それに数字を順番に振ってみて…… わかったら、わたしのこと追いかけてきてもいいから、じゃあねっ!」

 雪が歩き出して、約10分後、息せき切ってかけてきた古代君。

 「ゆ、ゆきっ!! わかった、わかったよっ!!! はぁはぁ……」

 「どんなふうにわかった?」

 「ほらっ!」

 進の出したカードには、 『01 09 1909 2005 1821』

 「古代君…… ありがとう……」 ちょっぴり顔を赤くした雪の顔に満面の笑み。

 「い、いや…… 全然そんな風に見てなかったから、ごめん…… 考えてみれば簡単なことなのに……」

 「わかってくれたのならいいの…… ね、これ、古代君、声出して読んでみて!」

 「ば、ばかっ。そんなもの、人前で読めるかよっ!」

 「ん! もうっ!! 古代君ってばぁ!!」 

 真っ赤になって逃げる進を、ふくれっつらで追いかける雪…… 2日遅れの二人のバレンタインデー、去年の謎も雪の気持ちも進に伝わって、それなりに幸せな恋人達なのだった。 

おしまい!!

回答編:『1921 1109 2515』は、SU KI YO
     『09 12152205 251521』は、I LOVE YOU
     『01 09 1909 2005 1821』は、A I SI TE RU

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