窓の外は賑やかな喧騒

だけどここは……

わたしとあなたの

二人だけの世界







静かに暮れたクリスマスの日

夜の帳が下りた頃

あなたと二人きりの静かなディナー



傾けたワイングラスの綺麗なガラス音が響き

見つめ合う二人の間には

食事の後を占うように

少しばかりみだらな視線がからむ



Holy Night……

聖なる夜には

少しばかりふさわしくないかもしれないけれど

これもわたしたちにとっては

至極大切で神聖なこと

あなたと愛を分かち合う時……



ワイン飲みすぎたかしら?

ちょっと酔ったみたい……

そうつぶやくわたしの体には

アルコールが緩やかに隅々まで巡り

頬を胸をお腹を

足の先までを

火照らせる



うっとりと見つめるわたしの視線を

あなたは優しく受け止めてくれて……

歩ける?

あなたが問う

そのあなたの視線も

わたしの体に負けないほど

火照りを見せて……




だめ……もう歩けないわ

わたしは首を小さく振る

本当は歩けるけれど

わざと歩けない振りをする

だって今夜は

あなたに……

抱き上げてもらいたい

そして抱きしめてもらいたいから……



あなたは立ち上がって

わたしの横に来る

それから……

わたしをそっと抱き上げて

ベッドへと向う



わたしは

あなたの肩に腕を絡め

僅かに唇を開いて

あなたを誘う



それに答えるように

あなたの唇が近づいてくる

甘いワインの香りが

あなたの吐息から伝わり

わたしの唇を包んだ



むさぼるように

たっぷりと

味わうように

あなたの唇が

わたしの唇を奪い続け

わたしも……

答え続ける



濃密な粘着音が

静かな部屋に響いて

わたしたちの世界が始まる……



窓の外はクリスマスの街

賑やかな音楽と

大勢の人々の笑い声と楽しげな会話

カラフルなクリスマスネオン

そんな様々な音と光が広がっているはず……



けれどそのどれもが

わたしたち二人には

見えはしないし

聞こえもしない

ただ今ここにあるのは

目の前のあなたとわたし……

愛し合う二人……



もつれあいながら

ベッドに倒れこみ

あなたはわたしの体を

激しく愛撫した

キスを繰り返しながら

互いに互いの衣をはがしあい

気がつけば二人とも

生まれたままの姿になって

火照った体を擦り付けあっている



燃えて

燃えて……

激しく燃えて……

それでも愛しい気持ちが

溢れ出てくる

その思いを胸に

再びあなたに強くしがみつく



一つに繋がったまま

揺れて

震えて

硬直する……

二人一緒に

幸せの頂きに届くと

それからゆっくりと舞い降りてくる



満たされて

見つめあい

抱きしめあう

わたしたちの聖なる儀式



愛の……Holy Night



おわり

 

トップページに戻る          Xmas Roomへ戻る

(背景:Four Seasons)