ある年の11月の末のこと、進は休暇で地球の自宅にいた。そんなある夜、守は進と星を見ながら話をしていた。
「ねえ、お父さん? お父さんはサンタさんに会ったことあるんでしょ?」
「ん?どうして?」
「だって、年中宇宙(そら)を飛んでるもの…… サンタさんが飛んでるところも見たことあるはずだよ!」
「そうだな…… 時々、あれがそうかな?って思うこともあるんだけど、すぐ見えなくなってしまうんだ。サンタさんって速いのかな?」
「お父さんの艦(ふね)より速いの?」
「どうなんだろう? 地球に着くとゆっくりになるのかな?」
「そうだよっ! だって、みんなの家をひとつひとつまわってくれるんだよ。そんなに速く走っちゃったら止まれないよ!」
「ははは…… そうだなぁ」
「今度サンタさんを見たら絶対お父さんの艦(ふね)に来てもらってよね!」
「それで?」
「僕達にいつもプレゼントくれるお礼を言って欲しいんだ。サンタさん、ありがとうって」
「そうか、わかった。守はやさしいな。で、今年は何を頼んだんだい?」
「内緒……」
「内緒? それは困ったな、お父さんがサンタさんに会ったら貰ったもののお礼を言えないじゃないか」
「あ、そっか…… でも……」
「あなた、ちょっと……」
「なんだい? 雪」
「守の今年のプレゼントはね…… 品物じゃないのよ…… あなたが、クリスマスに一緒に過ごせますようにって…… 守はまだあなたと一緒にクリスマスを過ごしたことないでしょう?」
「あ…… そうか、すまない。お正月は何度かいたけど、そうだったかなあ」
「私もたまにはクリスマスを家族みんなで楽しみたいわ。やっぱり淋しいのよ…… 進さん……」
「おいおい…… 雪までなんだよ。困ったな…… うーん、それじゃあ、今年は正月休暇に当たってたけど、クリスマス頃の休暇に代わって貰えるか聞いてみるかな……」
「大丈夫! あなたがその気なら私がちゃんと調整してあげるわ! お正月を休みにしたい人はたくさんいるんだから」
「ははは…… 長官秘書殿、公私混同はいけませんぞ!」
「いいのよ! たまにはそんな特権くらい使わせてもらわなくちゃ。日々ハードワークに耐えてるんですもの。うふふ……」
「しょってるなぁ…… ははは」
「お父さん? お母さん? どうしたの?」
「今年はサンタさんをお父さんの艦(ふね)には呼べないみたいだよ、守」
「え? どうして??」
「今年は、お父さんは守と一緒に地球でサンタさんを待とうと思ってね」
「ほんと!!! やったぁ〜! でもどうして急に僕のサンタさんへのお願いわかったの?」
「サンタさんが、昨日ママに電話してきたんだって…… お父さんのスケジュールを変えてやってくださいって…… 今、お父さんもお母さんに聞いたんだ。お母さんはサンタさんとお話したんだぞ! いいだろう?」
「ほんとう? お母さん?」
「ええ、本当よ。サンタさんってとってもやさしそうな声をしてたわ。クリスマスには少し早いけど、もうサンタさんはお仕事されてるのね?」
「だって、サンタさんは、クリスマスのために一年中プレゼントを作ったり、子供たちも願い事を聞いてまわってるんだよ。絵本にそう書いてたもん!」
「そっかぁ…… 守はなんでも知ってるんだな」
「えへへ……」
「雪? 守はいつまでサンタを信じられるかな?」
「できるだけ長く信じていて欲しいわ…… 子供はどれだけ長くサンタを信じられたかで幸せな子供時代を過ごせたかどうかが決まるんですって…… だから」
「そう言えば、僕も小学校の二年生くらいまで信じてたなぁ、サンタのこと」
「あたしも…… 友達がサンタはお父さんとお母さんだって言っても最初は信じなかったのよね。うふふ…… 私達と同じくらい、幸せな子供時代をあげたいわね、守たちには……」
「きっとできるよ。僕達が幸せだから……」
−お わ り−
このJava Script は……危ないとこ逝き隊からいただいてきました。
Win98 IE5.5(& IE4互換)/NN4.7/NN6 で動作確認済。
Win98以外の環境(Macなど)では非動作の可能性があります。
(イラスト素材:Queen’s Free World)