Departure〜彼らのスタートライン〜
1.生 還
Chapter1
(1)
「外科第一病棟の患者全員、地下都市への搬送を完了しました!」
駆け込んできた男性看護師の報告を聞いて、白衣の美女が厳しい顔つきでうなずいた。
「ご苦労様! じゃあ後は、最低限必要な器具を持ってスタッフ全員が避難するだけね」
ここは、地球の東京メガロポリスの中心付近にある地球連邦中央病院の第一外科病棟のナースステーションである。ナースステーションには、1人の医師と7名の看護師が集まり、患者の搬送の手配を終えたことを確認しているところだった。
そしてその指揮をとっているのが、連邦中央病院の若きエリート医師、間宮希(のぞみ)だ。
第一外科病棟は、最新鋭の機器を駆使した世界でも最高の手術を施せる施設で、そこに所属する医師も同様にその腕は世界のトップクラスであった。
その中でも中心的存在の彼女は、3年前ニューヨークの連邦北米病院へ研修留学し、外科手術の腕は世界一と言われるフォード教授の技術をマスターした上で、ほんの1ヶ月前こちらに戻ってきたばかりだ。
太陽の異常増進という異例の事態に希の帰国は遅れ、そのままニューヨークにどどまっていたが、ヤマトによって解決した先月、やっと元の古巣に戻ってきたところだった。
それがまた一月も経たぬうちに、地球は再び存亡の危機に立たされた。しかし再びヤマトによって、その敵の野望はかろうじて阻止されようとしていた。
ヤマトは侵略者ディンギル星人を撃退した。しかし、それで全てが解決したわけではなかった。
侵略者達の残した置き土産―アクエリアスの地球への接近―を、どうしても止められないまま、地球に超弩級の雨が降り注ぐまであと24時間を切ってしまった。地球が水没の危機に瀕していることには、まだ変わらなかった。
地球人類は、最後までアクエリアスの回遊阻止に努めるヤマトに一縷の期待を胸にしつつ、浸水が及ばないことを祈りながら、地下都市へと避難を開始した。
地下都市が地球水没時に、どれだけ浸水を防げるかは未知数だった。その上、降り注いだ雨をどのように除去できるのかも目途が立っていない。
しかし敵によってほとんどの宇宙船を撃破されてしまった全地球人類が逃げられる場所は、もう地下しか残されていなかった。
「本当に地下都市に行けば助かるんでしょうか?」
不安げに尋ねる看護師に向かって、希は肩をすくめて苦笑するしかなかった。
「他に逃げるところがない以上、そう信じるしかないわね。でもきっと……ヤマトは必ず地球を救ってくれるわ。私はそう信じてる」
ヤマトクルーとも面識のある希の力強い発言を聞いても、周りの看護師達はまだ不安げな顔を隠せなかった。その時、
「そうです!! 私もそう思います!!」
一人の若い看護師が希を援護するように強い口調ではっきりと宣言した。
(2)
希に同調したのは、同じく第一外科病棟の看護師佐伯綾乃だった。
綾乃は森雪の看護学校当時の同級生で親友でもある。その関係でヤマトクルー達とも親交があった。
そしてなによりも、彼女は、数年前初めて島大介に会った時に一目惚れして以来、ずっと彼に思いを寄せていた。
だが、彼女が思いを告げられないまま、島はテレサとの辛い恋を経験することになった。そして彼はまだその恋を忘れられないでいる。
綾乃は、その島の辛い時を知っているだけに、未だにその思いを伝えることができず、いつまでも『親友の恋人の親友』という間接的な間柄に甘んじていた。
それでも進と雪を間にして、島と会う機会も何度か得られたし、島自身もその関係を楽しんでくれているということで、今の綾乃は満足していた。
そんな綾乃の思いを、帰国したばかりの希が知るはずはなかったが、雪の親友である綾乃の強い指示の言葉は心強かった。
「佐伯さん、ありがとう。そうよ、みんな。今は彼らを信じて、最後の最後まで頑張りましょう!」
二人の言葉に励まされ、残りの看護師達も小さく、しかししっかりと頷いた。
「そうですね! ヤマトはいつも必ず僕らを助けてくれたんですから!」
「そうよね!」
意気消沈しそうになっていた皆の心が、再び湧き上がった時、部屋の通信機のブザーが大きく鳴り響いた。
(3)
「はいっ! こちら第一外科です!!」
そばにいた綾乃が、スイッチを入れて画面をONにして答えた。すると、そこには連邦中央病院の院長の顔が大きく映し出された。
50は過ぎているというのに精悍な顔つきの院長は、半年ほど前院長に就任した時、現役を退いたが、それまでは高名な外科医として活躍していた。希も尊敬している人物であった。
院長はぐるりを画面の向こうから見まわしてから言った。
「間宮君はいるかね?」
「はい、間宮です!」
画面の真横に立っていた希が、その画面から見えるように正面に移動した。すると院長は希の姿に軽く頷いて、話し始めた。
「今、ヤマトから連絡が入った。ヤマトに艦内では処置しきれない患者が発生したらしい。地球に戻り次第、早急に手術してもらいたいと、佐渡医師から依頼が入ったのだが……」
そこまで言うと、院長はなぜか口篭もった。
「!!……わかりました。症状は?」
畳み掛けて尋ねる希の勢いを制するように、院長は厳しい顔つきのまま希を見た。
「……その前に確認したいことがある」
「なんでしょうか?」
「今からそちらに患者のデータを送る。まずそれで君の意見を聞きたい」
それに希が頷くと、すぐ傍らのサブモニターに、送られてきたデータが表示され始めた。希はそれを食い入るように見つめながら、症状を確認していく。
「……心配停止後蘇生、その後止血のための緊急手術…… ひどい……内臓を随分派手にやられてますね。出血量も限界ぎりぎり。これでよく命を保てていられるものだわ。さすがヤマト戦士ですね。普通の体力じゃとてももたないでしょう」
希の診断は、院長のそれと一致していたのだろう。院長は大きく頷きながが、説明を付け加えた。
「うむ、佐渡君の緊急手術でとりあえず容態は安定しているらしい。しかし、正直なところ、このデータを見せられたときには、私も助けられるとは明言できなかった。
佐渡君も一時は諦めそうになったらしいが、地球の最新施設と最高のスタッフが揃えばなんとかと、期待を持っているようなのだ」
院長の話を聞きながらも、希は厳しい顔でモニターを見つめている。しかしその瞳の奥は、鋭く光っていた。
「確かに厳しいところがありますね。ですが、何とかできると……思います。いえ、絶対何とかしたいです!」
希が、その美しい顔をきっとさせて画面に向けた。
「うむ、フォード博士に師事し、腕のほどを太鼓判押された君ならば何とかできるのではないかと私も思うのだが……」
院長が再び口篭もった。それに代わるように、希がその言葉を続けた。
「地下都市の中央病院施設では、この手術は不可能……?というわけですね」
「その通りだ。この地上の最新設備を利用して初めて活路が開かれる手術になると、私は思う。
だが、あと24時間で地球は水没してしまう。この病院も無事ではすまないだろう、地下都市の病院とて安全とは限らないがね」
「…………」
希は眉間に小さなしわを寄せた。ぐっと歯をかみ締める。
周りの看護師達も何も言葉が発せられないまま、じっと希と院長のやり取りを見つめていた。
その一人、綾乃も心の中で様々な思いが交錯していた。
(ヤマトで負傷者……それも瀕死の重傷だなんて! 一体、誰なのかしら? まさか島さんじゃあ?)
そう考えると、背筋がぞくりとするほどの寒気が走る。しかし、すぐにその思いを自分自身で振り切った。
(でも、雪は航海長の島さんは戦闘の現場に出ることはほとんどないって言ってたし、ああ、でも古代さんでも雪でもありませんように…… 勝手なお願いだけど、どうか……)
綾乃は心の中で手を合わせて祈っていた。
(4)
希は、黙ったまま画面を見つめていた。そして、その沈黙を破って、院長がゆっくりと言葉を発した。
「佐渡君はヤマトが必ず何とかするから、と言うのだ。ヤマトが地球の水没を阻止したら、すぐに患者を連れて戻る。その時に執刀してもらいたいと……」
「なんですって!?」
希は驚いたように、画面の中の院長の方を見た。まだ厳しい表情は変わらないが、何か希望を見出したようなそんな気がした。
看護師達の中にも、「おお……」という小さな感嘆の声が広がった。
「だが、今のところまだ策は立ってはいないそうだ」
一瞬にして再び盛り上がった気運が下がる。さらに院長が話を続けた。
「それに、こちらでも準備がいるだろう。皆が地下都市に避難している中、ここに残るということはリスクが非常に大きい。ぎりぎりまで待つとして、もしもヤマトがアクエリアスの進行阻止に失敗した場合、逃げ遅れる可能性もある……
だから、私も君にこの依頼を絶対受けてくれとは言えない。君の判断に任せる。もちろん、断ってくれても全く構わない」
看護師達は顔を見合わせて、何か小声でひそひそと話し始める。そのざわめきの中、希は院長との会話が始まって以来初めて、笑みを浮かべた。
「ふふふ……院長。私がお断りするとお思いですか?」
すると、院長もふうっと大きく息を吐き、同じように微笑んだ。
「君ならそう言ってくれると思っていたよ。よし、決まりだな。この件は君に依頼しよう。
ただし、タイムリミットは水没二時間前。それまでにヤマトが何らかの策を取ることができなければ諦めて、君も避難してもらいたい」
「わかりました。ヤマトは私達を救うために頑張ってくれているんです。私達も最善を尽くしたいと思います」
希が強い決意とともに、そう宣言した。
「うむ、頼む。スタッフは何人必要だ?」
「医師が私を含めて3名。それから看護師が3名いれば……」
そう言いながら、希は自分の周囲をぐるりと見まわした。命の危険を犯すことに躊躇するのか、うつむき加減に目をそらす看護師が多い中、一人綾乃が間髪をいれずに一歩前に出た。
「私、お手伝いします!」
島はもちろん、雪や進達ヤマトのクルーは、今も極限状態の中で、必死に戦っていはずだ。だからこそ、綾乃はここで待っている自分にできることはなんでもしたかった。それが彼女の島への愛であり、ヤマトへの思いでもあった。
「ありがとう、佐伯さん。お願いするわ」
綾乃が頷くと、綾乃の隣にいた看護師が続けて2人「私も残ります」と宣言した。奇しくも彼女達も雪の元同僚の江本絵梨と河合千佳だった。
すんなりと残る看護師達が決まって、残るは医師である。
「ありがとう…… 後は、医師ですね。佐渡先生にも入っていただくとしてもあと一人……」
希が、その人材を求めるように画面を見ると、院長の横から一人の青年が現れた。
「私が残ります」
「えっ!?」
一同が驚いたように画面に視線を集めた。すると院長は隣の青年を見ながら説明をした。
「私の息子だ。間宮君は知ってると思うが、親の欲目を省いても、外科医としての腕はそれなりに保証できると思うのだが」
院長の息子なる人物は、30代前半の外科医で、連邦大学の医学部で研究者として活躍していた。腕も立つと希も聞いたことがある。
「もちろん、それは助かります」
「よし、これで決まりだな。すぐにそちらに向かわせるから、よろしく頼む」
院長は、息子を一緒に残すことで、彼なりの誠意を見せてくれたと言える。
「わかりました、よろしくお願いいたします」
希が深々と頭を下げると、画面の向こうの2人も頷いて画面が消えた。
(5)
通信を終えると、希は再び看護師達を一瞥した。
「避難する人は、気をつけて行ってちょうだい。患者さん達の事よろしくお願いするわね!」
「はい、すみません……間宮先生……」
残ると宣言できなかった看護師達が、申し訳なさそうに返事すると、希は軽く微笑みながら首を左右に振った。
「いいのよ、気にしないで。さあ……」
そして避難する看護師達がナースステーションから出て行くと、希は居残り組の3人とともに手術室へ向かった。
手術室の隣にある準備室に到着すると、さっそく4人は準備に取りかかった。
「人工臓器を用意する必要があるわね。それも念の為心肺を除くすべてが欲しいわ。佐伯さん、培養液を用意して! 河合さん、各臓器のベーシックタイプを用意して頂戴」
「はいっ!」
希の指示を受けて、千佳が冷凍保存しているベーシック臓器を取り出すため、巨大な冷凍庫を開け、綾乃はロッカーから培養液の入ったビンを取り出した。
この時代、人間の臓器はクローン技術の応用から全て再生できるようになっていた。
ベーシックタイプと呼ばれる基本の臓器は常に用意され、そこに個人のDNA情報を取り入れることで、まったく拒絶反応を起こさない本人に最適の臓器を作成することが可能となっていた。
「防衛軍の戦士ならこちらにDNAデータがあるわね。江本さん、データを検索してプリントアウトして頂戴! えっと、クランケ(患者)の氏名は……宇宙戦艦ヤマト副長、島大介……」
ガチャ!!
希の声に重なるように、ビンが落ちて何かとぶつかる音が響いた。綾乃が持っていたビンを手元から滑らせてしまったのだ。幸い、ビンは割れなかったが、コロコロと転がり机から落ちそうになっている。
しかし綾乃は、それを慌てて拾う様子もなく、呆然と立ち尽くしていた。
(島さんが…… 島さんが怪我!? 瀕死の重傷……!? 死ぬかもしれないの!!)
患者が、まさかと思っていたその当人だったと知って、綾乃の心に大きな動揺が走った。体じゅうががたがたと小刻みに震え出した。
振り返った絵梨が、慌てて綾乃のそばに駆け寄って代わりに落ちそうになっているビンを掴んだ。
希は怪訝な顔でその様子を見た。立ち尽くしたまま動かない綾乃に二人の声がかかった。
「綾乃!!」
「佐伯さん! どうしたの!!」
その声で、綾乃はやっと我に帰った。
「あっ、す、すみません!! 私、あの……すぐに用意します」
慌てて、絵梨からビンを受け取ると、綾乃はそのビンのふたを開けようとした。しかし、手が震えてなかなかふたを掴めない。それでも必死に手を動かして、やっとのことで培養液を容器に入れることができた。
希は綾乃が動き出したのを確認すると、それ以上は追及することはなかった。今は、それを問う暇も惜しかったのだ。
「それじゃ、ここはお願いね。私は手術室の準備をするから」
そう言って手術室へ入っていった希を見送ると、絵梨が綾乃の肩をぎゅっと抱きしめた。
綾乃が数年来島に思いを寄せていることは、絵梨達はよく知っているのだ。
「大丈夫よ、綾乃。必ず助かる! 島さんは絶対に助かるわ!」
言葉も出ずにただ頷くだけの綾乃を、絵梨は懸命に励ました。
「あなたがしっかりしないと! 島さんを助けられるのは、間宮先生と私達だけなのよ!!」
「……そうね…… うん、わかった」
綾乃は、ゆっくりと顔を上げると、やっと少し強張っていた頬を緩めた。
絵梨はそれに頷いて言った。
「じゃあ、データ出すから。みんなで頑張りましょう!」
(島さん、島さん!……頑張って! ヤマトお願い!! 地球をそして島さんを救ってっ!! 雪っ!古代さん!! どうかお願いっ!)
綾乃は、歯を食いしばっていないとどうにかなってしまいそうな心と体を、必死に奮い立たせながら作業を進めていった。
(6)
時間は刻々と過ぎ、ヤマトからの連絡が入らぬまま、まもなくアクエリアス地球再接近まであと8時間と迫った時、待望の連絡がヤマトから入った。
ヤマトを利用して、アクエリアスからの水柱を四散させる計画が立ったという。ヤマトは自沈するが、地球は救われるし、クルー達は迎えの艦冬月で地球へ帰還するとのことだった。
希をはじめ、居残ったスタッフ達は、まずは安堵の息をはいた。
「これで、腰を据えて患者の帰還を待てるわね」
希は、満足げに笑みを浮かべた。他のスタッフ達も俄然やる気を見せて明るい表情を浮かべる中、一人綾乃だけは顔色が優れない。その事情を知る絵梨と千佳の二人が心配げにその姿を見ていた。
その時、通信機が大きな音を鳴らした。通信は、ヤマトから直接入ってきたようだ。
一番近くにいた絵梨が駆け寄って受信ボタンを押し画像をONにした。すると、そこには彼女らの元同僚、森雪が映っていた。
希も画面を見上げる。画面の向こうの姿は、戦いのためか、ひどくやつれているように見える。希は、雪も相当疲れているのだろうと思った。
しかし雪はそんなそぶりは全く見せずに、いつもの凛とした顔つきで、話し始めた。
「宇宙戦艦ヤマト生活班長、森雪です」
「雪!」
雪の姿を見つけた綾乃が、画面に向かって叫んだが、雪はそれを一瞥しただけで、すぐに希に視線を向けた。
「間宮先生! 島副長の手術の準備はいかがでしょうか?」
「順調に進んでいるわ。心配しないで! 後5時間もあればいつでも手術できると思います」
「そうですか。ありがとうございます。私達はこれから駆逐艦冬月に移動後、ヤマトの最期の任務を見届けた後に帰還します。地球到着予定時刻は18時。今から9時間後の予定です」
「了解。ターミナルに救急車が迎えに行くように手配します。ところで、患者の今の容態はどうかしら?」
「今のところ小康状態を保っています。特に注意すべき点はないと思いますが、とりあえず現在のデータを送信します」
「お願いするわ」
すぐにサブモニターに、島の状態を示すデータが送られてきた。希がそれをチェックしている間に、綾乃が画面に近寄ると小声で話しかけた。
「雪…… 本当に……本当に島さんは大丈夫なの?」
今にも泣き出しそうな説ない瞳で見る綾乃の顔を画面ごしに見ながら、雪はこっくりと頷いた。
自分も何度もそんな思いをした雪には、綾乃の気持ちは痛いほどよくわかった。
「綾乃…… ええ、大丈夫。島君は今、お薬が効いてて静かに眠ってるわ。だから心配しないで。必ずこのまま地球に無事に送り届けるから。
あとは間宮先生に全てお任せしましょう。だからあなたも気をしっかり持って頑張って!」
「ええ……ええ、そうね、わかったわ」
綾乃が少し安心したように、笑顔で何度も小さく頷いた。今島のそばにいる雪の力強い励ましは、綾乃には一番嬉しかった。
データを読みながら、希はその会話を聞いていたらしく、二人の話が途切れた時に間に入ってきた。
「雪さん! 必ず島さんは救ってみせるわ。だからあなたも辛いでしょうが、ヤマトの最期の仕事をしっかりと見届けて来て!」
希の言葉は、雪にも綾乃にも心強いものとなる。雪は安心したように微笑んだ。
「はい、ありがとうございます。それではどうぞよろしくお願いします」
用件を伝えた雪は、通信を切った。そして希が再び檄を飛ばした。
「じゃあ、ラストスパートよ! 早急に準備を終えて、手術に備えて仮眠を取りましょう」
この声で、スタッフが一斉にきびきびと動きだした。島大介を救うための戦いは、ここでも既に始まっている。
彼を思う綾乃もその一人として、不安に陥りそうになる気持ちを必死に奮い立たせ、希のそして雪の言葉を信じてベストを尽くそうと心に強く誓った。
Chapter1 終了
注:こちらに登場するあいのオリキャラ間宮希、佐伯綾乃等の人物像についてご存知ない方は、あいのオリキャラ一覧にてご確認ください。
(背景:Angelic)