再会−愛の生命−(番外編)

 (1)

 進と雪は、横浜の雪の両親宅、進の両親の墓参りを終えて、東京への帰宅の途についていた。初めてゆっくりと過ごした正月は、二人にとって何よりもうれしい出来事だった。

 「古代君、疲れたでしょ?」

 「そうでもないよ。君のご両親や僕の両親……みんなに会えてよかったよ」

 「ええ、後は、明日からの仕事に備えて、ゆっくり休んでね」

 「ああ……」

 帰り道のさりげない会話でも、雪はなぜか幸せな気分だった。その時、進の通信機の呼び出し音がなった。

 「ん? 雪、ちょっとでてくれないか?」

 車を運転している進は、通信機を雪に渡した。

 「はい、古代です」 雪は、すぐに通信機をオンにしてそう答えた。

 「あれ?雪さん、あ、でも古代っていいいましたよね?」

 それは、ヤマト通信班長の相原からのものだった。

 「あら、相原さん。今、古代君、車の運転中だから…… どうしたの?」

 雪は、オンフックボタンを押して、通信の声が進にも聞こえるようにした。

 「あっ、いや、雪さんでもいいんです。どこか遠くですか?」

 「いいえ、もうすぐ都心に入るわ」

 「ああ、じゃあ、今日、英雄の丘にみんなが集まってるんですよ。古代さんの家にも電話したけど留守電だったんで、それに留守録してたんですけど、来られないもんで、今通信機の方にかけてみたんです。新年会をしようって、ヤマトのみんなが集まってるんです。来てくださいよ!」

 「また、相原の誘いかぁ? 怪しいなあ」

 進は、苦笑いしながらそう言った。この前、南部の別荘にまんまとだまされて行ったことを思い出していたのだった。

 「古代さん! 今日は、本当ですってば!」

 相原は、ちょっと情けないような声を出して、懇願するように言った。

 「ちょっと代われ」 その声は島だった。

 「おい、古代、つべこべ言わずに来いよ!」

 島の声の後ろからも、どっと笑う声がして、進はこれは本当に新年会だとわかった。

 「ああ、島か…… わかったよ! んーと…… あと、30分もすれば行けるから……」

 「おお! 待ってるぞ!」 島は、そう言うと通信を切った。

 「今回は本当にやってるみたいだ、新年会」

 「そうみたいね……ふふふ」

 進と相原、島のやり取りを笑いながら聞いていた雪が言った。ヤマトの仲間は何かというと英雄の丘に集まるのが恒例になっていた。今回も、帰還後、皆が揃って今日までの休みなので、新年会でもということになったのだろう。進たちは、元旦早々から部屋を留守にしていたので、連絡が遅れたようだった。

 「ゆっくり、休むどころじゃなくなったな」

 進は、笑いながら言った。

 「そうね、また、みんな大騒ぎよ」

 二人の乗った車は、そのまま英雄の丘へと向かって行った。

 (2)

 「おい、相原、どうだった?」

 進たちに連絡をとっていた相原のところへ、南部と太田がやって来て聞いた。

 「連絡つきましたよ。ぎりぎりまで、通信機への連絡は遠慮してたんですけど…… 今、どこかから東京に向かってる最中だそうです。30分もすれば来れるって」

 「そうか、よかったな。けど、なんで通信機への連絡を遠慮してたんだ?」

 太田が相原に聞いた。

 「いやぁ…… だって、いろいろ取り込み中だったら困るしねぇ、島さん」

 「俺に振るなよ!相原。ま、いろいろな……。太田」

 「は、はあ……?」 太田は、しばらく考えていたが、理解したようなしなかったような……

 「あっはははは……」 南部は大笑いしていた。

 「古代さんたち、どこへ行ってたんだろう。もしかしたら、雪さんのご両親にご挨拶とか?」

 南部はまた、進たちの行動をチェックし始めた。

 「かもしれませんね」 太田も同意した。

 「来てからのお楽しみだな、はははは……」 島もそう言って笑った。

 英雄の丘では、主だったメンバーが皆揃って、酒宴は既に始まっていた。みな、久々の正月を家族と過ごせて、どの顔も明るかった。

 (3)

 しばらくすると、階段を駆け上がる音がして、進と雪がやってきた。

 「おっ、ご両人が来たぞ!」

 島は、二人の姿を確認するとみんなに知らせた。

 「こんばんは、みなさん」 雪がにこにこして言った。

 「やあ、遅くなってすまない。しかし、この大きなテントはなんだ?」

 進は、弾む息を押さえながら言った。

 「これですか? 南部さんが持ってきてくれたんですよ。南部重工特製、全天候型簡易ドーム。昔からありましたでしょ。空気を入れて、こう膨らまして…… それの、持ち運びOK軽量型なんですって。ボタン一つであっという間に透明ドームの出来あがりですよ!」

 相原が説明した。英雄の丘の前の広場には、透明の大きな風船があるような感じになっていた。外は、真冬の寒さでも、中は暖房もきいてて快適な温度になっていた。透明なので、外も見える。

 「南部のとこって、なんでも作ってるんだな」

 進が感心すると、南部が言った。

 「はい! 南部重工は、武器からアウトドアグッズまで、なんでも揃っております!」

 「あっははは…… お前、お父さんの跡を継ぐ気になったのか?」

 南部が、宣伝まがいのことをいうので、進は笑いながらそう言った。

 「まさかぁ…… 親父のところにころがってたんで、ちょっと借りてきただけですよ。この冬空に屋外で宴会なんてそうでなきゃできないでしょ。 ま、親父もちょっとは使えるもの作ってるなって思いましたよ」

 「はははは…… お前にかかったら、親父さんも形無しだな」

 島も、そう言って笑った。

 「アッ、雪サンガ来タ! サア、ドーゾドーゾ」

 そこへ、アナライザーが雪の姿に、早速反応して来たかと思うと、あっという間に手をひっぱって自分の席の方に連れて行った。

 「あら、アナライザー、えっ? ちょっと、ちょっと、どうしたの? 離してちょうだい!」

 「おい、こら。アナライザー!」

 雪の声も、進の声も聞こえないふりをして、アナライザーはあっという間に雪を連れ去ってしまった。

 「あははは…… 古代さん、もう、アナライザーに雪さん取られちゃったんですかぁ」

 相原が笑って言った。

 「ふうっ、あの、強引さには見習うべきものがあるな」 進は、あきれてそう言った。

 「確かに!」 南部も笑っていた。

 「古代、どうだ、ゆっくり休めたか? まあ、飲め」

 そこへ、真田がやって来て、酒を差し出すとそう言った。

 「ありがとうございます、真田さん…… はい、兄さんもサーシャもスターシャさんのところに連れて行ってきましたよ」

 「そうか…… 行ってきたのか? あの、守と新しく建てたっていう墓に」

 「ええ、とても見晴らしのいいところで、きっと喜んでると思いますよ」

 「うん、そうだな。俺も一度行ってみたいと思っていたんだ。今度行って来るよ。で、雪の方は大丈夫だったのか?」

 「はい、大丈夫です。何も心配することはありませんから」

 「そうか、よかったな、古代」

 真田は安心したようにそう言った。皆が他の話題に入ると、進は、隣にいる相原に耳打ちした。

 「相原が妙な噂を聞かしてくれたおかげで、ずいぶん、心配したけどな」

 「えっ? なんですか? それ? 僕は何も知りませんよ」

 そう言ってうそぶく相原に、進は言った。

 「ヤマトのサロンで島に言ってただろ。あの時、俺はあそこにいたんだぞ」

 「えー!! まさか…… じゃ、聞いてたんですか?全部?」

 「あんな話が始まったんじゃ、出るに出れなかったんだからな」

 「げっ……」 相原は、ばつの悪そうな顔をした。

 「すみません、古代さん」

 「ははは…… いいんだ、帰ってから後で聞く方が困ったかもしれないからな」

 進が怒っていないことを知って、相原はほっとして、今度は言い返した。

 「それより、古代さん、あのドックでは見せてもらいましたよ。あっつあっつのところをね」

 相原は、ニタっと笑った。

 「ん? なんのことだ? うん、まあ、酒でも飲んだらどうだ?」 進は、とぼけて酒を勧めた。

 「ごまかしたってだめですよ。古代さん」 南部も相原の加勢にでた。

 「そうそう、いやぁ。熱かったですよねぇ…… あそこだけ」

 太田もそう言うと、そこに徳川がやって来て、言った。

 「あの時、僕が出てきたら、古代さんが、出口手前で立ち止まってたんですよ」

 「おい、こら、徳川! お前まで……」 進はだんだん焦り出した。

 「へぇ……それで?」 南部が続きを催促した。

 「だから、僕が出口まで引っ張って行ってあげたんですよ。それなのに、出口で雪さんを見たら、古代さん、もう僕の存在なんかすっかり忘れて、ごくろうの一言もなく、さっさと降りて行ってしまったんですから……」

 「あっはははは……」

 徳川が、腕を組んで困ったような顔でいうので、一同が揃って大笑いした。

 「あれ、島はどこ言ったっけ……」

 進はどうも形勢が不利とみて、話を変えようと必死だった。見ると、島は雪のところに行っていた。島は、雪に何かを耳打ちしたようで、雪は真っ赤になって、島の腕をつついていた。

 「島の野郎、雪に何を言ってるんだ?」

 進は、そう言うと、うまく逃げ出せたとばかり、立ちあがって二人の方へ歩いて行った。

 (4)

 アナライザーは雪を佐渡のところへ連れてくると、自分も隣に座って、いつもの調子で話し出した。

 「雪サン、ボクハ アナタガイナイ間、心配デ心配デ 何モ手ガツキマセンデシタ。大丈夫ダッタンデスカ? オ怪我ハ? ドコモ悪クシテナイデスカ?」

 「ありがとう、アナライザー。少し、肩に怪我はしたけど、もう大丈夫よ。なんにも心配する事ないんだから」

 雪は、アナライザーににっこりと笑ってそう言った。

 「アナライザーは、いつも調子がいいのう。雪の前じゃともうそれだからな。あっははは……」

 佐渡も相変わらず、酒を片手に上機嫌だったが、雪の方を見るとそっとささやいた。

 「雪、ここだけの話じゃが、本当になんともはなかったのか? なんだか噂もあったようだが…… 古代とはうまく話できたのか?」

 「佐渡先生、ご心配かけてすみません。でも、本当に大丈夫ですわ。古代君とも……」

 雪が笑顔でそういうので、佐渡も安心した。

 「そうか、そうか。これで、酒がまた一段とうまくなるわい」

 そこに、島がやってきた。

 「よっ! 雪。元気だったか?」

 「島君、ええ、もちろんよ」

 「31日のドックでは、見せてくれたよなぁ…… 雪?」

 「えっ? 何のことかしら?」

 「いつまでああしてたんだい?」

 「知らないわ!」 雪は頬を赤らめて言った。

 「はははは…… だけどあの時、古代を早く降ろすって大変だったんだぞ。古代は、最後まで残るってきかないし……」

 「ふふふ…… 古代君らしいわね」

 「そうさ! 最後は真田さんに『早く行け!』って言われてやっとね」

 「ありがとう、島くん」

 島の気遣いに、雪は本当に感謝していた。島は、いつもふたりを見守っていてくれる。そんな気がしていた。

 島は、雪の顔を見ると、急にいたずらしたくなって、にやっと笑うと、雪の耳元に口を持って行ってささやいた。

 「ところで、なあ、雪? あの年越しの夜は、どうだった?」

 「えっ? …………」

 雪は、突然の島の質問に驚いて、島の顔を見ると、あの日の事を思い出して、真っ赤な顔になってしまった。

 「島君たら…… 何言うかと思ったら……」

 そう言いながら、雪は島の右腕をつついた。雪の表情があまりにも顕著なので、島は笑ってしまった。

 「あはっはっ…… で、何してたの? ん? もしかして、一晩中?眠る間もなく?」

 「島く・ん!」

 「図星だな…… ははは……古代も、やるときはやるんだ。あははは」

 「もうっ!」

 「おい! 島! 何言ってるんだ?」

 進が、島と雪の姿を見てやってきた。

 「雪に聞いてみな」 島は、ニヤニヤしながら、二人を交互に見るとそう言った。

 「雪?」 進は、雪の方を見て尋ねた。

 「知らないっ……」 雪は、まだ赤くなった顔が戻らなくて、進から顔をそむけた。

 「おいっ! 島!」

 進は、島に食ってかかるような格好をしたが、顔は決して真顔ではなかった。

 「おお、恐い!」 島は肩をすくめて、笑いながら言った。「年越しはどうして過ごしたって聞いたら、なんだか真っ赤になっちゃったんだよ。ねぇ、雪ちゃん?」

 「ばっ、ばかなこと聞くな……」 進まで、赤くなって口ごもってしまった。

 「あーん、島君、そんな言いかたしなかったじゃないのぉ……」

 「あれ? そうだったかい? ははは……」

 島は、雪に向かってとぼけると、振り返って進に言った。

 「ス・ス・ムくーん、いくらなんでも、ちゃんと寝かしてやれよ。はははは……」

 「うっ、うるさい……!」

 そのやり取りをじっと聞いていた佐渡が大笑いした。

 「いいのう。若いっていうのは。あっははは……」

 「ボクハ チットモ オモシロクアリマセン! チキショウ! ゼンゼン オモシロクナイ! アアボクハ 『男ハヤルトキハヤル』ガ モットーデスガ イマダケハ ドウシテモ オモシロクナイ!」

 アナライザーだけが、ぷんぷん怒っていた。

 (5)

 島や佐渡の笑い声につられるように、他の皆も集まってきた。そして、丁度、進と雪をかこむようにして輪が出来た。

 「何、面白い話してたんですか?」 南部が島に尋ねた。

 「えっ? いやぁ…… 古代も『やるときはやるもんだ』って話だよ、南部。ははは」

 「はあ……」

 そう言いながら、南部は進と雪のふたりを見た。ふたりの様子から、南部は大体の事の察しがついたようだった。

 「古代さん、いい年越しできてよかったですねぇ」 南部の顔は笑っている。

 「ん? うん、まあな……」 進は、なんとかそれだけ答えた。

 「ところで、古代さん、正月から、どこへいってたんですか?」

 相原がまた、情報収集ぐせを出して聞いた。

 「もしかして、雪さんのご両親にご挨拶でも?」 南部が付け足した。

 「えっ? 挨拶って?」 進は、南部に聞き返した。

 「またまたぁ、古代さん」 南部は進のわき腹をひじでつつきながら言った。

 「南部さん、そんなんじゃないわよ!」 雪がちょっと微笑んで、進に代わってフォローした。

 「雪の家には行ってきたよ。それから、俺の両親の墓参りさ」

 進と雪がいつもどおり、仲良く出かけたことを知った相原が言った。

 「いいなぁ、またまた、お二人はいつもラブラブなんですねぇ……」

 相原が本当にうらやましそうに言うので、みんなも大笑いした。

 「お前は誰も相手になってくれないもんな」 島につっこまれて、相原は言い返した。

 「今に、すっごい美人連れてきますから、覚えておいてくださいよ!」

 「あっははは…… 期待しないで待ってるよ」

 相原の言葉に、みんなは大笑いした。実際、相原に美しい恋人ができるなどとは、今ここにいる仲間たちは予想もしていなかった。

 「そういえば、古代さん達の家はなんともなかったですか?結構、中心部はやられたって言う話でしたけど」

 太田が、ふと思いついて尋ねた。

 「ああ、俺んところはなんともなかったんだが、雪のところはだめだったみたいだ」

 進は、なんの気なしにそう答えた。それに、敏感に反応したのは南部だった。

 「えっ? じゃあ、雪さん今どこにいるんですか?」

 「えっ?」 いきなり、そう振られて雪はびっくりして、進の顔をみた。

 「えっ…… あ、いや……」 進も、雪に見つめられてどう言っていいかわからず困ってしまった。

 「あー!古代さん達、あやしい!」 相原は、二人のその表情から感づいたようだった。

 「なんだ? あやしいって?」 島と太田が、相原に尋ねた。

 「もしかして、雪さん、古代さんとこにいるんじゃないですかぁー?」 相原は核心をついた。

 「おおっ!」「ヒューヒュー!」「そっかぁ……」

 皆が口々にふたりをはやし立てた。雪は、またすっかり赤くなってしまった。

 「うっ、うるさいっ! 俺はいつも、宇宙で仕事してるんだから、留守番だ、留守番!」

 進は、苦しい言い訳をした。

 「はぁ…… 僕も雪さんに留守番してもらいたいですよ」 太田はそう言って笑った。

 「お前んとこなんか、食いもんの器で、雪さんの座る場所もないんじゃないか?」

 島に突っ込まれて太田は頭をかきながら笑った。

 「ははは…… そのとおりです」

 「じゃあ、古代が帰ってきている間は留守番いらないな。雪、その間は俺んとこに来ていいからな」

 島が、雪にウインクして言った。雪は、その言葉にくすくす笑った。

 「ええ、そうね。いいかもしれないわ」

 「うっ……」

 進は、言い返せなくて言葉に詰まっていた。

 「あっははは……」 皆がまた大笑いした。

 (6)

 進と雪は、すっかりみんなの酒の肴にされてしまっていた。みな、それぞれが二人のところにやって来ては、何やかやとからかって行くのだった。

 進は、表向きは、照れ隠しに怒ってみたりしていたが、心の中では皆に感謝していた。だれも、雪の噂の事を口にはしなかった。知らない者もいるかもしれないが、地球に帰って、他の仲間と話せば、きっと今一番の話題ではないかと思うのだが、誰もそのことを興味津々に聞いてくることはなかった。

 皆が進を、雪を、大事にして見守ってくれているようで、進はとてもうれしかった。それは、雪も同じであった。

 「ヤマトのみんなは、暖かいなあ」

 「ええ……」

 丁度、二人の周囲に誰もいなくなった。二人は、少し離れた椅子で、宴会の喧騒を見ていた。どの顔も明るく輝いて笑いあっていた。進と雪もお互いを見つめて、微笑みあい、騒ぎを離れて、テントの外にでた。沖田艦長像の裏側に回ると、海に浮かぶ船の明かりがあちこちにちらちらと輝いて、美しかった。

 「寒くないかい? 雪」

 「ええ、大丈夫よ」

 雪は、そう言って、進に寄り添った。進は、雪の肩を抱くと、雪の髪の毛のにおいをかいだ。甘い香りがほのかに香ってきて、進はとても心地よかった。

 「雪……」

 進は、そう言うと、ちょっと周囲を見まわしてから、雪にくちづけした。進は、雪のやわらかな唇の感触にしばらくひたっていた。

 その時、ピカッと何かが光ったかと思うと、カシャ、ジーという音がして、二人は驚いて顔を上げた。そこには、ポラロイドカメラを持った相原と南部がいた。

 「ははは! やったー、決定的瞬間の撮影に成功だぜ!」

 「また、お前らか! こら! その写真返せ!」

 進は、二人を追いかけ始めた。

 「あとで、差し上げますから、今日の記念に! でも、ちょっと待っててくださいね…… もちろん、みんなに見せてからぁ!」

 相原が必死にテントの方へ逃げながら叫んでいた。相原がテントに駆け込むと、あっという間に人だかりになった。

 「やめろぉ! こら!!」

 この後、進と雪が皆にまた冷やかされた事は想像に難くない。

 2203年1月3日の夜、英雄の丘の上では、にぎやかな声が遅くまで響いていた。

『再会−愛の生命−(番外編)』  おわり

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