進と雪が結婚して、早数年が経ち、二人は、かわいい子供達にも恵まれ、幸せな家庭生活を営んでいた。
子供は男の子が2人。3歳になる守と1歳の航は、それぞれのレベルでいたずら盛りで、古代家は、森家のおじいちゃんおばあちゃんを巻き込んで、それはそれはもう大変な育児戦争の真っ最中だ。
任務の関係で地球にいることの少ないパパは休暇中だけだが、ママの方は年中無休。
おばあちゃんの美里が色々と手伝ってくれるとは言え、保育園に預けている時以外は、常に目が離せない状態が続いている。
特に兄の守の方は、このところ子供なりの知恵も働くようになったからもう大変。ママは、休日も休日でないような、忙しい日々を過ごしていた……
だが、そんな古代家に異変が起きたのは、新しい年が明けてすぐ、ちょうど節分の豆まきをすませた頃だった。
その日、地球に戻っていたパパは、ママを隣にして、息子達を目の前にきちんと座らせた。そして、ひどく厳粛な顔で宣言したのだ。
「秋になったら、お前達に弟か妹が生まれるぞ!」
「ええっ! ほんとっ! やったぁ!」 「おとと?いもと?」
嬉しそうに万歳したのは守。そして航の方は、まだすぐにピンと来なくてきょとんとしている。
「ああ、航にはまだよくわからないかもしれないが、守は航のときにも話したよな。今、お母さんのお腹の中には小さな小さな赤ちゃんが入っているんだよ」
そう言いながら、進はとても愛しそうに雪のお腹のあたりを眺めた。そして、子供達もそれに習ってまじまじとママのお腹を見つめたが……
「全然変わってないよ」
「ないない!」
不思議そうに首を傾げる守と、首を左右にブルンブルンと降る航。
そう、母のお腹はまだ特に変化はないのだ。今までと変わりなくキュンとしまったスマートなウエストをしている。
不思議そうに父を見上げる二人に、進が声をあげて笑った。
「あははは…… まだ豆粒くらいの大きさしかないから、外からはわからないんだ。けど、これからどんどん大きくなっていくんだぞ。守は航の時で覚えてないか?」
「う〜〜ん、覚えてない……」 「ない……」
守もちょうど今の航くらいの時だったからだろう、さすがに幼すぎて覚えていないようだ。
赤ちゃんの存在がはっきりと認識できず、つまらなそうに口を尖らせる二人に、パパのでかい声が飛んだ。
「そこでだっ!」
その大きな声に、子供達はピクンとして座り直した。パパの怒声はなかなか迫力がある。
パパは、言わずと知れた地球防衛軍の鬼艦長として、部下に日々尊敬されつつも、恐れられている。
もちろん、我が息子達には甘めではあるが、いけないことをした時は、どんなに愛しい息子であろうとも、容赦なく怒声も張り手も飛んでくる。
そう、パパは怒るとものすごく恐いのだ。ママのように毎日毎日、あれもこれもと叱らないが、パパが怒ったときはそりゃあもうと〜っても恐ろしい。
それを思い出したかのように、二人は肩をすくめ、真剣な眼差しで父親を見た。
「お前達に注意しておくことがある。よく聞いておくんだぞ」
こくりと頷く二人の顔つきがピーンと張り詰めた。それに満足したように、進が話し始めた。
「今のお母さんはとても大切な体だから、絶対に無理をさせてはいけない。だから、お前達はお母さんを困らせるようなことをしてはいけないんだぞ!
例えば、どこかへ出かけた時に、突然いなくなってお母さんにあっちこっち探させたり、いたずらをして逃げ回ってお母さんを走らせたりしてはだめだ。
それに、お母さんのお腹を蹴ったりするのはもってのほかだ。なんてったって、赤ちゃんが中に入っているんだからな!」
「うんっ!」 「うんっ!!」
力いっぱいに返事する二人に、進の厳しい声が飛ぶ。
「「うん」とはなんだ!? 返事は、「はい」だろ!」
「は、はいっ!!」 「あいっ!!」
返事をする二人は、がちがちになって大声を上げた。それがまたかわいらしくて、雪は思わず笑い出しそうになった。進も同じだったらしく、やっと顔つきを緩め、優しく微笑んだ。
「よし、いい返事だ。いいな、お父さんがいない時、代わりにお母さんとお腹の赤ちゃんを守ってやるのは、守、航、お前達なんだぞ!」
「は〜〜〜〜い!!」
二人は、今度はにこやかにそして元気よく手を上げて返事をした。
「うふふ……お願いね、小さな騎士さんたち」
航の方は少々怪しかったが、守にはパパの演説がいたく効いたらしく、以来二人の悪ガキ達のいたずらは減り、ママのお腹をとても大切そうに見つめるのが、二人の日課になった。
そして時は流れ、春5月…… 五月晴れのぽかぽか陽気のある日のことだった。
仲良し家族の古代一家は、パパの進も休暇中とあって、のんびりと休日を過ごしていた。
ママの方も順調で、つわりも終わって妊娠6ヶ月に入ったところ。ママのお腹も、子供達が見てもわかるくらい、ふっくらと大きくなっていた。
ソファに並んで座って、庭先で土いじりをして遊ぶ子供達を見守っていた。
「あいつら、信じられないくらいいい子なんだってな?」
「ええ、うふふ…… まあ、たまに駄々こねることはあるけど、とにかく私のお腹は大事にしてくれるわ。抱き付いてくる時でも遠慮がちで……
特に守がね。それはそれは気遣ってくれて、ほんとにナイトに守られるお姫様みたいな気分にしてくれるの」
地球に戻ってくるだびに順調に大きくなっていく妻のお腹を愛しそうに見つめながら、進は笑った。
「はは…… あいつ、絶対兄貴に似たよな。あの歳で女に優しいってんだからな、まったく先が思いやられるな」
「あら、いいじゃないの、優しいんだもの。そういうところは、あなたに似なくてよかったわ」
雪がちょっぴり意地悪な視線を送ると、進はとぼけたように首を傾げた。
「あれぇ? 俺がいつ優しくなかった? これでも、優しい旦那だと思ってんだけどなぁ」
「うふふ、今はね。でも出会ったころは……」
「あはっ、そうだったけなぁ〜〜 忘れたなぁ、そんな昔……」
などとすっとぼけている夫を見ながら、雪はくすくすと笑い出した。
「もうっ、勝手なんだから、ふふふ」
「はは……けど」
と一言つぶやいて、進は雪の膨らみ始めたおなかにそっと手をやった。
「だいぶん丸くなってきたな」
お腹の上の手に、雪の手が重ねられる。
「ええ……もう6ヶ月に入ったもの」
「順調でよかったな」
「ええ、私って以外に安産タイプだったのよね。守のときは、ママもずいぶん心配してたけど、意外なほど順調で、航の時も今もそう……」
「そりゃあ〜」
と進のもう一つの手が、雪の背中を回ってお尻の方に降りていき、柔らかな感触を楽しむようにさわっとなで上げた。
「雪のケツがでかいって証拠……イテッ!!」
進が慌てて後ろから手を上げた。雪が軽く腰を浮かせ、後に回した手で進の手をバチンとはたいたのだ。
「もうっ! 進さんのばぁかっ! うふふふ……」
「あはは……」
二人が顔を見合わせて笑った、とその時。
「あっ!動いたっ!!」
進と雪が同時にそう叫んで、再び顔を見合わせてにんまりとした。
「この子も笑ってるのかしら?」
「ああ……」
二人の視線が再び雪のお腹に降りていく。その視線には、大切な大切な赤ん坊への父と母の思いが込められている。
雪は、再びそのお腹をなでながら言った。
「でもね、この子、守や航の時に比べたら動きが優しいのよ。別にね、動きが少ないとか鈍いっていうんじゃなくって、なんとなく優しい感じ」
「へぇ〜」
そんなこともわかるのか、と進は純粋に不思議に思う。母にしかわからないものなのだろう。
「だからね、きっと……女の子だと思うの」
そう言って、雪は優しい笑顔を夫に向けた。
「そっか、よかったじゃないか、欲しかったんだろ?女の子」
昨年のクリスマスの夜、女の子が欲しいわと色っぽく迫ってきた妻を思い出す。そう、あの時にこの子は授かったのだ。
「ええ……でも男の子だったとしても全然構わないのよ」
「そうだな、元気でうまれてくれればそれでいいよ。それに……」
そこで進は言葉を止めて、笑いを堪えるように口をギュッと閉じて雪を見た。
「なぁに?」
「強い奥さんに対抗するには、味方は何人いてもいいからなっ」
「んっ、もうっ、またぁ〜〜〜!!」
「あっははは……」
夫の胸を軽く叩きながら抗議する妻を、進は軽く抱きしめた。
両親の楽しげな笑い声を聞きつけたのか、外遊びに飽きたのか、守と航が家の中に上がって、ちょこちょこと駆け寄ってきた。
「なんのお話してるの?」
守が首を傾げて尋ねた。隣には航もちょこんと立っている。
進は体をかがめて、ふたりの高さに視線を合わせると、
「ん? お母さんのお腹の中の赤ちゃんのことをな」
と答えた。
「ふうん……」
守と航がじっと母親のお腹を見つめる。最近はお腹に赤ちゃんがいるということを、その大きなお腹から具体的に認識できるようになって、二人ともその誕生をとても楽しみにしているのだ。
そんな二人に雪がそっと囁く。
「今ね、お腹の赤ちゃん、元気にくるくる動いてたのよ。また動くと思うから、守も航も触ってみる?」
「うんっ!」
小さな手が二つ、雪の膨らんだお腹の上におずおずと載せられた。
進はその様子をにこにこ笑いながら眺めている。
しばらくじっとしていると、すぐに子供達の手に反応が感じらて、とたんに二人がはじけたように叫んだ。
「あっ、動いたっ!」 「うごいたぁっ!」
「わかったか?」
「うんっ!! ぐにゅぐにゅ〜って! なんかちょっと気持ち悪い〜」
進の問いに、守が目をぱちくりさせて答えた。胎動を手で感じるのは、生まれて初めての体験だったのだ。
「うふふ、気持ち悪いはないでしょう? お兄ちゃん達に挨拶してるのよ、きっと」
「そっか!」
とニコリとする守の隣で、航が「ご挨拶」をした。
「こんにちは、あかしゃん!」
母のお腹に向かってぺこりと頭を下げて、挨拶する姿に、両親は大受けだった。
その笑いの中、守がなにか不思議そうな顔をして考え込んでいたが、真面目な顔で雪に向かって質問をした。
「ねぇ、お母さん?」
「ん、なぁに?」
「このお腹の中にいる赤ちゃんって、どうやってお母さんのお腹に入ったの?」
「えっ!?」
進と雪が同時に反応した。雪は思わず顔が赤面しそうになるのを必死に抑えた。
だがまだ守の質問は続いた。
「それに、お母さんのお腹に中にいるのに、どうしてお父さんとお母さんの子供なの?」
「あ、それは……あの、ね……」
確かに素朴な疑問であり、その疑問が浮かぶ気持ちはわからなくもない。
だが……いきなり4才前の息子に性教育をするわけにもいかず、雪は返す言葉に困ってしまった。
どうしよう、という顔で夫をちらりと見ると、夫もなにやら考えている様子だ。
「ふうっ……」
雪がため息を一つ付いて、なんとか誤魔化そうと口を開こうとした時、進が先に話始めた。
「それはお父さんが教えてあげよう!」
驚いて夫の顔を見ると、進はウインクをしながらニコリと笑った。何か名案でも浮かんだのだろうと、雪は任せることにした。
「ほんと!」
「ああ、そこに座れ」
守は、言われた通りじゅうたんの上に座ると、期待を込めて父親を見上げた。航もわけはわかっていないだろうが、兄に習ってその隣にちょこんと座った。
進もソファから降りて、じゅうたんの上にあぐらをかくと、二人に向かって話し始めた。
「お父さんはお母さんのことをとっても大好きで、お母さんはお父さんがとっても大好きで、それでお父さんとお母さんは結婚したんだ」
「うん、知ってる! お父さんとお母さんはとっても仲良しだもん」
守はニコニコと答えた。
パパとママの仲良しなのは、子供達にとってはとても嬉しいことだ。
だが、もう少し大きくなると……仲が良すぎることが少々迷惑になることもあることを、この時の守はまだ知らない。
「そうだな。そして、な。お父さんのことが大好きで大好きでたまらない気持ちで一杯になったお母さんのお腹の中には、その思いが小さな塊になって、赤ちゃんのもとができるんだ」
雪は微笑む。「赤ちゃんのもと」という言葉がとてもかわいらしいと思う。
さらに進の説明が続いた。
「おんなじように、お母さんのことが大好きで大好きでたまらなくなったお父さんのお腹の中にも、赤ちゃんのもとができるんだ」
「ふうん……」
「その赤ちゃんのもとをお父さんは体の中から取り出して、お母さんにあげるんだよ。そして、お母さんはそれをパクリと食べちゃうんだ」
「パクンって口から?」
「ん? ま、まあ、そうだな」
口は口でも……とは思ったが、さすがに進もそこまでは言うつもりもない。そのまま守の思うままに任せた。
「でだな、そうしてお母さんのお腹の中で、お父さんとお母さんの赤ちゃんのもとが揃って、それがお腹の中で成長して赤ちゃんになるんだよ」
「じゃあ、僕んときも航んときも、お父さんが赤ちゃんのもとをお母さんにあげたの?」
とても楽しそうに守が尋ねると、進も笑顔で頷いた。
「ああ、そうだよ。お母さんの中の赤ちゃんのもとだけでも赤ちゃんになれないし、お父さんの持ってる赤ちゃんのもとだけでも赤ちゃんにはなれないんだ。二人分のが揃って初めて、赤ちゃんていうのは育つんだよ」
「そうなんだぁ〜 ねぇ、どうやってお父さんがお母さんにそれをあげるのか見てみたいなぁ」
一難去ってまた一難、と雪は一瞬顔色を変えたが、進は平然と答えた。
「はは…… それはダメだ」
「どうして?」
残念そうな顔をする守に、進はやけに真面目な顔でこう言ったのだ。
「それはな。これがとっても大切な儀式だからなんだよ。誰かに見られたら失敗してしまうんだ。
だから、だぁれも見ていないところで、お父さんとお母さんが二人だけの時に、そぉっと渡すんだよ」
雪は思わず夫を尊敬の眼差しで見た。なかなか上手に説明するものだと、感心したのだ。
「ふうん、じゃあ、僕も航もこの赤ちゃんも、お父さんとお母さんが大好きで大好きでたまらないから産まれたんだよね?」
その問いに、進も雪も心からニッコリと微笑んだ。
「ええ、そうよ」
「もちろんだよ。大好きな気持ちがないと、赤ちゃんのもとは作れないんだからな」
進が息子達の頭をぐりぐりとなでながらそう答えてやると、守も満足そうにニッコリとした。
「うんっ!よかった! 早く赤ちゃんに会えるといいね! 楽しみだな、僕」
「ああ、秋には会えるからな、楽しみにしてろよ」
「うんっ!!」「うんっ!!」
守に習って、航も大きな声で返事をした。
そこからは、ママの出番だ。
「さあ、おやつにしましょうか? 二人とも手を洗ってらっしゃい」
「は〜〜い!!」
古代家の楽しいおやつタイムが始まった。
その夜、子供達を寝かせた夫婦は、二人のベッドの中でぴったりとくっついていた。
夫の胸に顔を摺り寄せながら、雪は昼間のことを思い出していた。
「うふふ、お昼の守の質問にはびっくりしちゃったわ…… でも、あなたが上手に話してくれてほんと助かったわ」
「ああ、あれかい? ははは、とっさに思いついたんだけど、なんとか納得したみたいだったな」
進が苦笑する。なんとなく誤魔化すのも嫌だったし、かと言って正しく説明するのには、さすがにまだ早すぎる気もしたし……といったところだった。
「ふふふ…… でも『赤ちゃんのもと』ねぇ」
また雪が思い出して笑う。そんな妻の髪の毛を優しくなぞりながら、進は囁いた。
「間違っちゃいないだろ?」
「うふふ、まぁね」
と答えながら、雪は夫の顔をじっと見上げた。
「なんだよ、まじまじと見て?」
「なんだか……あなたもお父さんらしくなってきたなって思って……」
「はんっ! 今更何言ってやがる! まあ、そりゃあ、あんまり子育てには協力できてないけど、これでも2児の父だからな」
進が鼻を鳴らしてそう威張るのが、雪には可笑しくて、そして頼もしかった。
親というのは、なるべくしてなるものではない、子供が生まれその子を育てながら、自分も親として育っていくのだと言う。
まさに自分も彼もそうなのだと思った。
進が言う通り、彼はもう2児の父、そしてもうすぐ3児の父になるのだから。そして、自分も……
「ふふ……ええそうね、素敵よ、パパ! だ〜い好きっ」
夫の胸に体を預け、両手をその首に回して抱きしめた。大好きな夫の太い腕が自分を抱きしめてくれる幸せに、雪は浸っていた。
と……頭の上から聞こえる進の声のトーンが変わった。
「へへっ…… ああ、なんか赤ちゃんのもとが溜まってきたような…… ママにあげたいなぁ」
その言葉の通り、夫に密着した雪の体に、なにやら固いものがあたる。ということは……
進の望むことが十分わかっていながら、雪はわざとそれをはぐらかせた。
「あらん、もういいわよ。だってほら、貰ってお腹の中でこんなに大きくなってるもの……」
「いいから、いいから……」
しかし進の方もそんな妻の言い草など全く意に介せず、さっさと望む作業に入っていった。
もちろん妻がそんな夫の作業に、さして抵抗しないこともよく知っている。
「あんっ、ふふふ…… 赤ちゃんがびっくりしないようにやさしくしてよね、うふん……」
「りょ〜〜〜〜かいっ!」
かくて古代家の夜は更ける。
今夜もパパは『赤ちゃんのもと』を、ママに届けるべく無駄な?努力をするのであった。
いや、無駄ではない…… 奥さんが大好きで大好きでたまらないことを、教えることができるのだから……ねっ!
<おまけ>
それから数年後こと、体の仕組みについて、子供の本や映像ディスクで知った探求好きの守君が、『赤ちゃんのもと』が口から入ったら、お腹の中で溶かされて体の栄養にされてしまうんじゃないかと、進に詰め寄ったのだ。
「だって、ぜ〜んぶ溶けてどろどろになって栄養をすいとられて、そのかすはウンチになるって言ってたよ。だったら、赤ちゃんのもとも、栄養になっちゃうか、ウンチと一緒にでていっちゃうよ」
「いや、それは…… 途中で違う道に入ってだな……」
「違う道ってどこ? どこにそんな道があるの? それに、お父さんの赤ちゃんのもとって、どっから出てくるの?」
「いっ!? いや、それは……だな。ああ、とにかくもう寝る時間だぞ! そのことはまたお父さんが宇宙から帰ってきたらゆっくり聞かせてやるから。さあ、寝ろ、寝ろ!」
「でもぉ〜〜」
疑問を十分に解決できなくて欲求不満気味の、マセガキ守君に次の日もせめられ、とうとう進パパは腹を据え、守君と航君に事の次第を説明したそうな。
雪ママが借りてきたわかりやすくて楽しく描かれた絵本を手がかりに……
ただし…… 愛ちゃんには、とても説明できそうになくて、大きくなったらママから話して、とお願いしましたとさ。 |