新春特別企画!

古代君と雪のページのみんなにしつも〜ん2003
(第二回)



 続けて第二回と相成りました。
 今回は、古代君と雪ちゃん以外の方々への質問を中心にまとめました。
 今回は、笑いよりもしんみりした涙を誘うかも……?


それではどうぞ!

 
 

 第一回の後の休日の昼下がり、あいは、今日もまたまた新婚夫婦のお宅におじゃまです。例のタイムマシーンはここにおかせていただいてますので……(というのは、口実で、なんだかんだ理由をつけて新婚家庭を覗きたいってのがメインだったりして!?(^^;))

 「こんにちはっ!!」

 「は〜い、どうぞ〜!」

 「おじゃまします…… また、タイムマシーンをお借りしようと思いまして…… あら? ご主人様は?」

 リビングに入ると、そこにいつもいる古代君の姿がありませんでした。

 「うふっ、今日はお出かけなの」

 「急なお仕事でも?」

 「ええ、司令本部から、開発中の新造戦艦のことでちょっと確認したいことがあるって連絡があってね。でも、たいした時間はかからないから、夕方には戻ってくると思うんだけど」

 「そうなんですか……」

 ちょっとがっくり…… 古代君いないのかぁ〜〜 二人のらぶらぶぅは、今日は見れないのね。

 「あら、残念そうね。あいさん、進さんがいないと寂しい?」

 「あはっ、いえいえ…… 旦那様がいないからって言うより、お二人がそろってないと、私としてはどうも(^^;)」

 「あっ、もうっ! また何か覗き見しようって思ってたんでしょうっ! やだわ〜んっ!」

 「あはは(^^;)(図星です) そ、それじゃあ、そろそろ行きますんで……」

 と、タイムマシーンのある部屋に行こうとすると、雪ちゃんに慌てて引き止められました。

 「あっ、待って!! ねえ、あいさん。今日は私も連れていってくださらない?」

 「へ!?」

 「だって、彼もいないし一人じゃ暇だもの」

 「あ、いえ、でも……万が一、過去のご自分やお知り合い似合うのはちょっとまずいんじゃ……」

 何か歴史を変えるような事態になったら大変ですからねぇ!

 「大丈夫よ、私は隠れて見てるから。誰にも見つからないようにするし、絶対出て行かないし口も出さないわ! それならいいでしょう? ねぇ、お・ね・が・いっ!」

 雪ちゃん、両手を合わせて小首をかしげ、かわいい笑顔でお願いポーズ。

 う〜〜、これが噂の古代君が絶対嫌とは言えないっていうお願いポーズかぁ〜〜 確かにこの笑みは、女の私の心さえもとろけさせます。これにはとても逆らえそうもありません!!


 「わ、わかりました。じゃあ、ご一緒しましょう。でも、絶対出てこないでくださいよ!約束ですよ!」

 「了解! 約束します、艦長!! うふっ!」

 「艦長ってのはやめてください!!(^^;)」

 ということで、極上笑顔に完敗のあいは、雪ちゃんと2人でギューギュー詰めになりながら、タイムマシーンを発進させました。

 まずは2004年の始め、第二の地球探し途中のヤマトへ…… 
ママコさんからの質問です。

 相原君に質問です。晶子さんへは、いつ好きだと言ったのですか? いつのまにか通信中に押し花を見せ合う仲になっていましたが……やっぱり通信班長の特権をいかして、艦長にバレないように私用で通信バンバンしてたんでしょうか?

 相原君……相原君……と。えっ? ああ…… そうですね。こっそり付いてきた一年後の雪ちゃんがヤマトの中を案内してくれます。雪ちゃん、自分と遭遇しないでね!
 おっと、相原君発見です!ちょうどサロンで一人くつろぎ中でした。


 「相原君っ! こんにちは!!」

 「えっ? あっ!? あれぇ〜〜〜 もしかして、あいさん?」

 いきなり当てられたあい、これはびっくりです!

 「あら、相原君も、ご存知なのね(*^^*)」

 「そりゃあ、僕らのことたっぷり書いてもらってるって聞いてますからねっ! でもどうやってここへ?」

 「うふふ、さすが通信班長!情報が早いわね。ちょっと……ひみつっ!(*^^*)」

 「ま、いいですけど、あんまり深く考えないようにします」

 「あはは、どうもです(^^;) それじゃ、さっそく質問していいかしら?」

 「僕に……ですか? い、いいですけど…… なんでしょう?」

 「あ・き・こさんのことっ!」

 「いっ(*・・*) な、なんですか(汗、汗)」

 「ふふふ…… で、もう彼女には相原君の気持ちを伝えたの?」

 「ま、まさかっ…… してませんよ、そんなこと!!」

 「でも、地球との通信のたびに、例の花を押し花にして見せ合ってるって聞いたわよぉ〜〜」

 「げっ、南部さんですね! そう言うことをばらすのは!!」

 「うふ、さあね。ってことは、やっぱり本当なんだ」

 「あ、あれはですね。ただ、新しい地球を見つけるために、僕らもがんばってるよって知らせてるだけで、別にそれ以上の意味は……」

 「そうなんだ、っていうことは、本当にまだ告白してないんだ」

 「するわけないでしょう! 今は任務中なんですからっ…………」

 とそこで、相原君勢いが止まって、ちょっとしんみりとなりました。

 「って言うよりね、言えなかったって言った方が正しいかもしれませんけど……」

 「そう……」

 「地球を旅立ったあの日、艦長や雪さんのおかげで彼女に出会うことができて…… 本当はあの時、好きですって言おうと思ったんですけど…… でも、やめました」

 「どうして?」

 「僕が今しなければならないことは別にあるって思ったから。きちんと任務を果たして新しい地球を見つけて帰ったら、その時は彼女に好きだって言おうと決めたんです」

 「そう…… なんだか、昔の古代君みたいね」

 「あはは…… そうですね。今はあの時の艦長の気持ちもよくわかりますよ。あの頃は端で見ていると、早く告白すればいいのにって思ってましたけど…… 男としてはやっぱりやるべきことを成してからだって、そう思うんです」

 「う〜〜ん、さすがヤマトの戦士ね! 相原君も!」

 「えへへ……当然ですよ!」

 「うふっ、でも、晶子さんと話をするのに、通信とかこっそり私用に使っちゃってる?」

 「な、なんてことを! し、してませんって! ぼ、僕はこれでも通信班長ですよ! そう言うことは絶対にしてません!!」

 「あ、あらっ、ごめんなさい。じゃあ、本当にあの地球との定時通信の一瞬が?」

 「はいっ! 今の僕が一番楽しみにしている瞬間ですよ(*^^*) その時にちょっとした目配せとかに彼女が反応してくれるのが嬉しくて…… 彼女も僕のこと気にしてくれてるって証拠ですよね?」

 「ええ、それはもちろんよ! 地球に無事帰り着いたらきっと……(*^^*)」

 「はいっ! がんばるぞぉ!! おっと、そろそろ通信の準備を始めないと…… じゃあ、あいさんこれで」

 「ええ、またね! 必ず地球は救われるから、がんばってね!」

 第一艦橋に向かって走り出した相原君の背中に手を振って振り返ると、そこには雪ちゃん。

 「かわいいわね、相原君」

 「ですね。まるでン年前のあなた達を見てるみたいですよ」

 「あんっ、もう、やあねっ!(*^^*) さ、次に行きましょう!」

 続いて行ったのが、中央作戦室。ちょうど島君と真田さんが今後の航路のことで打ち合わせ中でした。ちょうどよかった! ゆうこさんからの質問です。

 島君と真田さんに、お守って疲れません?

 「こんにちは、島さん、真田さん!」

 「あれっ? あいさん? どうしてこんなところに?」

 島君、びっくりもせずに私ににこり。この頃になると私の存在ってもう皆さんご存知なのね(苦笑)

 「いえ、まあ、いろいろと…… まあ、言ってみれば真田さんのおかげで……はい(^^;)」

 「俺の? ああ、まあだいたいのところは想像つくよ。そのうち暇になったら作ってみたいって思ってるアレだな、ははは」

 「はい、その通りで…… あれ、ところで艦長は?」

 「ああ、さっきまで打ち合わせしていていたんだが、体がなまりそうだって出てったぞ。訓練所にでも行ったのかな? それとも、医務室か?」

 「医務室?」

 「あははは…… 雪は今日医務室にいるはずだからね。あいつ、なんだかんだとえらそうなこと言ってるが、一日一回は雪の顔見ないと落ち着かないみたいだからな」

 「ふっ…… いい加減素直になれば楽なのにと思うんだがな、あいつもあいつなりに思うところがあるだろうが……」

 「ですね(^^;) やっぱり、古代艦長はねぇ。副長お二人も大変ですよね?」

 「ん? まあね、別にいつものことだからね……」

 島君の言葉に、真田さんも苦笑。二人で顔を見合わせます。

 「でも、疲れません? なんていうか、その……俺達はお守じゃないぞ!とか?」

 「お守!? わっははは…… それはいいっ!! わははは……」

 「確かに一理あるなぁ。はははは……」

 「はは(^^;) でしょ?」

 「けどなぁ、別に疲れるってこともないけどな」

 「外から見たらそんな風に見えるんだろうか?」

 「そ、そうらしいですねぇ」

 「だが、俺達はそんなつもりは全然ないんだ。あいつは、いい男だ。俺達はあいつを信じているし、あいつと一緒ならなんでもできるような気がする。たぶん、それはヤマトのほかの連中も同じだと思うよ」

 「そうだな、俺もそう思う。年下だが、慕っているって言ってもいいかもしれんな」

 「でも、真田さんはお兄さんの守さんに頼まれたのもあってじゃないんですか? 兄貴代わりに守ってやらないと、とか?」

 「う〜ん、最初はそんな気持ちもあったが、今は古代進という男に惚れてるんだろうな。理屈じゃないよ。あいつには人を惹きつける魅力がある」

 「俺もそう思う。訓練学校からの付き合いで、腐れ縁みたいなところもあるが、とにかく俺はあいつと一緒にこのヤマトに乗っているのが、もう最高に好きなんだ。
 別にお守してるとか、そういう気持ちは全然ないよ。俺達はいつも仲間で、あいつはあいつのできることをやってくれる。そして、俺はあいつができないところをやる。そういうことじゃないかな」

 「そうだな。島や俺にはできないことが、あいつにはできる。その逆もまたしかり……ってところかな」

 「さすがですね。でも古代艦長って、今回の航海ではちょっと悩んでません?」

 「ああ、雪のことかい? 今までの『代理』ってのが取れて、艦長になったことがあいつにとってはものすごく重荷なんだろうな。だから、私情を捨てる。雪と俺はただの艦長と生活班長だなんてがんばってるんだろ? けど、俺から言わせれば、あれはただのやせ我慢だよっ」

 「はっはっは…… 確かにな。そのうちネをあげて、いつもの奴に戻るさ。雪はそれをちゃんとわかってて、黙って待っているみたいだからな。ああ、そういう点では、雪の方があいつの『お守』に大変なんじゃないのか?」

 「それはそうだな、なにせ、これから一生面倒見なきゃならないんだからな。ははは……」

 「確かにそう言われてみればそうですね(笑)
 さて、それじゃあそろそろ帰ります。これからも三位一体で頑張ってくださいね!」


 「ああ、ありがとう!」

 ということで、爽やかな笑顔に送られて、あいは部屋を後にしました。これを聞いていた雪ちゃん、ただただおかしそうに笑っていました。

 「いいんですか? 雪ちゃん。一生お守ですって!」

 「うふふ……まあねっ!(*^_-*)」

 雪ちゃん、古代君のお守一生するっていうのに、とっても嬉しそう! そうよね、だって、なんてったって愛してるんですものね! それは……理屈じゃない!!のよねっ!
 さて、ご機嫌の雪ちゃんとあいを乗せたタイムマシーンはさらに過去へ。次に飛んでいった先は、2202年12月。暗黒彗星帝国との戦いに飛び立ったヤマトの艦内です。

 「ここ……」

 「ええ、雪ちゃんが乗り損ねたヤマトの中です」

 「そう……」

 ちょっと辛そうに視線を落とす雪ちゃん。確かにこの時は二人ともとっても辛い思いしてたんですよね……

 「やっぱり、来ない方がよかったんじゃ?」

 「ううん、大丈夫よ。今はもう、整理つけてるから……」

 「でも、しつこいようですが、絶対に姿見せないでくださいよ。古代君なんて、万が一出会ってしまったら大変なことになるんですから!」

 「わかってます! で、誰に会いに?」

 「真田澪さん、サーシャちゃんです」

 「えっ…………」

 けなげに大丈夫と言ってみても、やはりあのサーシャちゃんに会うとなると、複雑な表情を浮かべる雪ちゃんです。だって、もうすぐサーシャちゃんは……
 でも、質問をすべく、あいはサーシャちゃんを探しました。
 すると、側面展望台に金色の髪をなびかせて一人たたずむサーシャちゃんを発見しました。


 続いてママコさんからの質問です。

 サーシャ(真田澪)ちゃんへ、進叔父様のどこが好きになったのですか? 後、実の父の守さんと育ての親の真田さんとどちらのパパの方が好きですか?

 「澪ちゃん!」

 「あっ…… あなたは……」

 ちょっとびっくりした様子のサーシャちゃん。でも……

 「あいって言います。実は……」

 「わかったわ(*^^*)」

 「えっ?」

 「なんとなく見えるの、私には…… 過去の世界の人っていうか、ううん、言ってみれば異次元の人かな?」

 「あはっ、まあ、そんなところです」

 「それで?今日はなぁに?」

 かくかくしかじかとあいはこのイベントのお話をして、質問も投げかけてみました。

 「うふふ…… そうなんだぁ。楽しそう!!(*^^*)」

 サーシャちゃんはあっという間に、乗り気になってあいの質問に答えてくれました。

 「えっと、二人のお父様のどっちが好きかって方からね!
 それは簡単よ! 絶対に比べられないわ! だって、どちらも心から愛してるもの。
 一緒に暮らせなくても私のことを、いつも心から心配して愛してくれてるお父様も、いつもそばにいて私を気遣ってくれる真田のお父様も、大大大好きなんですもの!」

 「そうよね! 二人とも立派な方ですもの。選べなくて当然ね!」

 「ええ、だから、これはどっちってえらべませ〜〜ん!! うふふ」

 「えっと、それから進叔父様のどこが好きかっていう方なんだけど…… そうねぇ〜〜
 私ね、実は、進叔父様のことは、イカルスにいる頃からお父様に写真を見せてもらって知ってたのよ。
 お父様の弟で私のもう一人の肉親だって聞いて、小さい頃からずっと会ってみたくて、どんな人だろうっていろんな想像してたわ。
 写真で見た感じは、お父様とは違う雰囲気なんだけど、お父様の弟だから、やっぱりお父様に似てるんだろうな?とか。お父様より私に年が近いから、話があうかな?とか……
 それに、今までのヤマトの記録も読んで叔父様の活躍も知ってたし、きっと出会う前から憧れてたと思うの」

 「ふうん、そうなんだ」

 「でもね、会ってみたら、なんだか私とほとんど年が変わらないみたいで、普通のお兄さんって感じでしょう。びっくりしちゃった。
 その上、大切な恋人を地球に残してきて落ち込んじゃってるし、でも、お父様が亡くなって私が悲しんでると思って、自分のことをそっちにのけで一生懸命慰めてくれたの。
 そんな叔父様の様子に、ちょっとときめいちゃったって感じかな?」

 「そう……」

 「うふふ…… でもわかってるのよ。叔父様は叔父様だし、それよりも何よりも、叔父様の心には、雪さんって人のことしかないってことは……
 他の人に聞いたんだけど、叔父様が最後に手を離してしまったんですってね。だから余計に落ち込んでるみたい。でも、みんなの手前それを顔に出せなくて、だけど、一人ものすごく苦しんでる。
 だから、私……そんな叔父様を少しでも力づけてあげたい。叔父様に少しでも笑顔を見せてもらいたいの……」

 切なげな顔で一生懸命に訴えるサーシャちゃんの姿に、あいは力なく微笑むしかありませんでした。

 「サーシャちゃんったら」

 「えへへ…… 私ね、なんとなく感じてるの。雪さんは、きっと地球で生きてるって! 叔父様の帰りを待ってるって……
 だから、必ず地球を救って、叔父様を雪さんの元に帰してあげなくちゃって……そう思ってる。
 そして、そのためには…… うふふ、ねぇ、あいさん、私知ってるのよ」

 「えっ?」

 「私が……もうすぐどうなるかってこと…… だいたい……ね」

 サーシャちゃんの微笑顔、透き通るくらいきれいです…… あいはもう涙が出そうで出そうで……

 「サーシャちゃん……」

 「うふっ、大丈夫よ、あいさん! 私は生まれてきてここにいるってことをとても嬉しく思ってる。生まれてきたから、二人のお父様にも進叔父様にも、ヤマトの大勢の仲間にも会えることができたの。だから私は幸せよ。
 でもね、一つだけ欲を言えば…… 雪さんに……一度会ってみたかったな。あ、正確には会ったことがあるらしいんだけど、私赤ちゃんだったから、全然覚えてないし……
 進叔父様が何よりも大切に思っている人…… 誰に聞いても、とってもすばらしい人だって…… 会って一度でいいからお話してみたかった……ってね。
 うふふ……なんだか変よね。あいさんを見てると、その後ろに雪さんも立っていそうな気がしてならないの」

 「あ…………」

 その通り、雪ちゃんはそこにいるんです! でも、言っちゃいけないんですよね。辛いです。
 とその時!!


 「サーシャちゃん!」

 「雪さん!! だめっ!」 「えっ!?」

 雪ちゃんはたまらず飛び出してきてしまいました。サーシャちゃんのこんな話聞いてたら、どうしても黙って見ていられなかったみたい。わかります、その気持ち!
 結局、他には誰もいないことを確認して、未来の雪ちゃんはこっそりサーシャちゃんと会ってほんの少しですがお話をしました。

 さすがにあいもこの会話は遠慮させていただきましたが、サーシャちゃんの嬉しそうな顔と雪ちゃんの涙があいの心を深く打ちました。
 でも、いつまでもこうしてられないので、あいはそっと雪ちゃんに声をかけました。


 「そろそろ行かないと……」

 「ええ、あいさん、ありがとう……」

 「さようなら!あいさん、雪さん、ありがとう! 雪さん、叔父様とずっとずっと幸せにねっ!」

 涙を必死に堪えて大きくうなづく雪ちゃん。あいもすっかりもらい泣きして、涙ながらに二人でタイムマシーンに乗りました。
 さて、雪ちゃんの涙がおさまった頃、さらに過去へと遡ります。
 次の時代は2201年の末、つまり白色彗星との戦いの直後です。行き先は……都心のマンションです。ここは……? ああまた、雪ちゃんを泣かせてしまいそうなそんな予感がします。


 「あらっ!? あそこって?」

 「はい、雪さんのご両親のお宅です」

 「えっ!?」

 「だから、さっきも言いましたけど、絶対姿見せないでくださいよ! 本当の気持ちも言ってもらえなくなりますからね」

 「え、ええ……わかってるわ。でも、何を尋ねるの……?」

 「それはですね……」

 続いてママコさんからの質問です。

 結婚式をドタキャンして宇宙へ行ってしまった古代君をその時正直どう思いましたか?

 「…………」

 雪ちゃんちょっとしんみりとしてしまいました。きっと、あの頃のことを思い出してるんでしょうね。

 「じゃあ、行ってきますね!」

 そんな雪ちゃんには、少し離れた場所で待っていてもらって、さっそくあいは森家を訪問しました。

 「こんにちは!」

 「いらっしゃいませ……? あ、あらっ! あいさん?……でしょう?」

 玄関に出てこられた美里お母様、私の顔を見ると、目を輝かせてそうおっしゃいました。

 「は、はぁ〜 やっぱりお母様もご存知でしたか?(^^;)」

 「それはもちろんよっ! おうわさはかねがね…… それで、なんですか、私ってものすごい強烈なキャラにされてるって聞いてるんですけど〜〜」

 ギクギクッ!! なぜ、それを知ってる!!!! あいの額からじんわりと冷や汗が……

 「うっ!? ど、どうしてそれを…… あ、いえ…… そんなことぜ〜〜んぜん!ないですわ!! 雪さんのお母さんは若くておきれいでやさしい方ですもの(汗、汗) あはっ、あははは……」

 これはもう、わらってごまかすしかありません!! すると、美里ママは意外とあっさりと笑顔を見せてくださいました。もう、お母様はなんでもお見通しなんでしょう。やっぱり、恐るべし美里ママ!!

 「そ〜〜お〜〜? うふふ、まあいいわ。じゃあ、今日は私達にインタビューなの? それは楽しみだわ! さあ、どうぞ。中に主人もおりますし……」

 「は、はいっ! ありがとうございますm(__)m」

 美里ママに続いて、森家のリビングに入ると、晃司パパが新聞を読んでおられました。

 「やあ、いらっしゃい。あいさん。娘達がいつもお世話になっているそうで……」

 「いえ、お世話になっているのはこっちのほうで(^^;)」

 ポリポリ……

 「まあ、ゆっくりしていってください」

 と、席を勧められ、それから美里ママの手作りのお菓子などをいただきながら、世間話をしておりましたが、肝心の質問をしなければと、あいは話の矛先を変えました。

 「ところで…… 古代君とお嬢様、無事に帰還されて本当によかったですね」

 すると、お二人は顔を見合わせてから、こちらに向かってにっこりと微笑んでくれました。

 「ああ、ありがとう。本当にもう二度と会えないかと思っていたからね。二人の顔を見たときはどれほど嬉しかったことか……」

 「本当にそうですよね…… でも、古代君が突然の結婚式キャンセルを伝えてきた時はどうでしたか?」

 「そりゃあ、最初はびっくりしたわよ! だってあと二日でお式だったのよ! 式場だって衣装だってもう揃ってるし、なんと言ってもご招待した方に失礼じゃないの!
 いくら大切な防衛会議だって言ってもねぇ! 二人にとっては一生の一大事でしょう! 私は、会議抜け出しても結婚式はしてもらいたいって思ったわよ」

 おっと、美里ママのパワー炸裂! この勢いに、古代君よく防戦できたものです(^^;)

 「あはは、母さんはそうだったよな。あの時も必死に二人を説得しようとしてたけど」

 「あなたは結構あっさり了解したわよね。いっつもあなたはあの子達にいい顔しちゃって、ずるいわ! だから、私がいつも憎まれ役になってしまうのよ! あの後、式場やらのキャンセルや、招待客の方々への連絡で大変な目にあったのは私なんですから!」

 「あはは…… すまん、すまん。まあ、男としては、あのときの古代君の気持ちもわからんでもなかったからな。あの古代君だ、とてもあの状況では笑って結婚式なんてできないだろうからね」

 「さすがお父様ですね」

 と、あいは感心しきり。晃司パパは最初から古代君の味方でしたものね。ところが、意外なことに、晃司パパは苦笑すると、こんなことを言い出しました。

 「あはは…… だがね、本音を言うと、ちょっと違うんだよ」

 「えっ?」

 「ここだけの話だがね…… (美里ママに向かって)君にも話すのは初めてだけど、本当はあの時、古代君が結婚式を延期してくれてほっとしたんだ」

 「あなた……?」

 「あの時、宇宙で不穏な動きがあって、そのことについて防衛会議に出る、と聞いたときにね。もしかしたら、またヤマトが立つんじゃないかって、そんな予感したんだ。
 そうなれば、古代君は間違いなくその先頭に立つに違いない。そうなったら、結婚早々地球に残される娘がどんな気持ちになるかって思ったらね……
 それに、これは女房も昔から心配していたことなんだが、戦いになったら、万が一……ってこともあるだろう? そうなれば、娘は結婚してすぐ未亡人ってことにもなりかねないじゃないか。
 それならいっそのこと、結婚が無期延期になってくれた方がいいんじゃないかってね…… その方がかえって娘の身に傷がつかないんじゃないかって思えてきてね…… 勝手な話だよな」

 「…………」

 晃司パパ、一気に話してから、ふうっと大きくため息をつきました。美里ママは思わず目頭を押さえます。あいももらい泣きしそう……

 「そんな気持ちもあって、あっさり了解したってところもあるんだよ」

 「そう……なんですか」

 「あはは…… だがね、私のそんな考えがいかに浅はかだったかは、その後すぐ、娘に思い知らされたよ」

 「ああ……あの密航事件ですか?」

 お二人は苦笑しながら、顔を見合わせます。

 「ああ、そうなんだ。娘は中央病院で看護婦の仕事をしていたから、まさかヤマトに乗るだなんて思ってもいなかったんだよ。それが、いきなり置手紙一つで行ってしまうんだからな」

 「ははは(^^;)」

 「私は、あの子を見くびってたよ。あの子も立派なヤマトの戦士だっていうことを忘れていた。それに、あの二人の愛情の深さもね……」

 「ほんとに、あの時は結婚式の延期以上にびっくりさせられたわよ」

 「だから、今回帰ってきたときには、もう二人のことは何も言うまいと決めたんだ。
 娘は……古代君のそばにいられることが一番幸せなんだっていうことがよくわかったよ。それが戦場であっても…… 死と背中合わせの場所であったとしても……ね。
 そして今、あの子達は、激しい戦いで仲間を失い、自分達の心も体も傷ついて…… それでも二人で懸命に生きていこうとしている。だから、もう……」

 涙が込み上げてくるのか、晃司パパ次の言葉が出てきません。

 「お父さん……」

 「ああ、なんだか随分湿っぽくなってしまったようで、すまない」

 「いえ…… 古代君も雪さんもきっとご両親のそんな気持ちをよくわかってると思いますわ」

 「ああ、私達の自慢の子らだよ。いつかきっと、時があの子達の傷を癒して、きっと幸せになってくれると信じているよ」

 「私もよ……」

 「はいっ!………… 今日は本当にありがとうございました。それではまた」

 あいは森夫妻に丁寧にお礼を言って家を出ました。すると……

 「うっ……」

 ドアの外では、話を聞いていた雪ちゃんがうるうるしていました。やっぱり、また雪ちゃんを泣かせてしまったようです。

 「雪ちゃん?」

 「ごめんなさい…… パパの話を聞いていたら、私……」

 「いいお父様とお母様ね。今は、幸せな夫婦になった雪ちゃんたちのこと心から喜んでくださっているわよね」

 「ええ…… ええ……」

 もうこれ以上、今日は質問を続けられそうもありません。うるうるぐすぐすする雪ちゃんをそっと抱きかかえて、あいは元の時代へと戻ることにしました。

 無事に古代君ちにつくと、誰か人の気配が…… あっ、古代君! 帰ってきてたのね?


 「あれ? あいさん! いらしてたんですか! いやあ、不在で失礼しました。ところで、雪がどこに行ったか知りませんか?」

 「あ…… 雪さんなら」

 と振り返ったあいの横を、雪ちゃんがものすごい勢いですり抜けて、古代君に駆け寄って、勢いよく抱きつきました。おっとっと(^^;)

 「古代くぅ〜んっ!!」

 「うわっ! えっ?古代君!? どうしたんだよ、雪??」

 「ああん…… ええっ、ええっ、ええ〜〜ん」

 雪ちゃん、古代君を力いっぱい抱きしめると、大きな声で泣き出しちゃいました。

 「雪……雪?」

 「私……今、とっても幸せよ!! すご〜〜〜く幸せなの!」

 「あ、ああ……?? 俺も……だよ。どうしたんだよ、雪?」

 事情が飲み込めない古代君は当惑気味ですが、雪ちゃんは泣きじゃくるばかり。雪ちゃん、過去のみんなの話を聞いて、すっかり感動しちゃったみたいです。

 「私達、絶対幸せにならなくちゃならないのよね! ねぇ、古代君!」

 「ああ、決まってるだろ? 必ず幸せになるさ……」

 「古代君……」

 古代君、まだ情況は見えてませんが、そのあたりはさすがに長年の恋人、いえもうご夫婦でしたね。雪ちゃんの気持ちをしっかりと受け止めて、やさしく答えながら抱きしめてあげています。

 今日はもう…… 失礼した方がいいみたいです。雪ちゃん、古代君、二人で今の幸せをしっかりと噛み締めてくださいね……


 さて、第二回も予期せぬ展開で終わってしまいました。とりあえず、過去編の質問事項はこれで終わりです。
 次回は、もう少し未来の二人、そしてもっと未来の子供達への質問などをしてみたいと思います。

 それではまた、第三回でお会いしましょう!!

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(背景・ライン:Queen's Free World、イラスト:幻想素材工房)