028 いつまでも……


 
ばかね……



あの時一瞬口ごもったあなたを見たとき

すぐに気がついたわ

きっとあなたはこうすると……

だから、私はそっと隠れた





あの日……

僕は行く

君は地球(ここ)で待ってて欲しい

そう言ったあなたに黙って

ヤマトに乗り込んだ私



そんな私を

こんな旅に紛れ込むなんて、ばかだよ君は……

そう言いながらも、優しい瞳と温かい胸で

迎えてくれたのはあなた



だから……

ついていくの……どこまでも……いつもまでも……




あの時……

普通なら動けないほどの怪我をいているのに

真っ先にひとりで飛び出していったあなたを

私は追いかけずにはいれなかった



あなたは……

地球を救いたいというただそれだけを一心に思い

走り続け

そして……宿命の好敵手と対峙した



あなたが床に倒れたとき

私にはあなた以外何も見えなくなった……



ただあなたのそばに行きたくて

あなたにすがりつきたくて……

無我夢中で抱き締めた……



その時……

これが私達の最期だと

あなたを抱き締めながらそう思った

でも……それでも私は幸せ

あなたとなら

あなたといつまでも一緒にいられるのなら

どんな世界にいようとも

それが私にとっての一番だと

そう……思ったから



だからいいの……

私はあなたについていく

そこがどんな場所であったとしても

この世の命が尽きたとしても

あなたとともにいられるのなら

そこが……私の居場所



古代君

私、知ってたわ……



激しい戦いの中で

あなたがずっと哀しくて重い荷を背負ったまま

走り続けていることを

反乱者という汚名を皆に着せてしまったことを

連邦政府の決断を無視して攻撃を続けたことを

そして何よりも……

大勢の仲間の命が失われてしまったこと……を



だから私も一緒に

あなたの重荷を背負わせて……

少しでもあなたの背中が軽くなるのなら

私達とヤマトの命で、地球が救われるのなら

もう思い残すことはない



そして一緒に

みんなのところに逝きましょう

島君もテレサさんも

加藤君も山本君も……

徳川さんも斉藤さんも新米さんも……

みんな笑って迎えてくれるわ



でも

あなたは、きっとみんなから

ばかやろうって言われるんでしょうけど

ふふふ……それは仕方ないわよね?

だって私も同罪だもの

だから……

私はそんああなたの隣で笑っているわ

いつまでもあなたのそばで







カツカツカツと足音が聞こえてきた

いつも耳にするなつかしい足音

ああ……

第一艦橋のドアが開いて

そこに現れたのはあなた

やっぱりね……

私の勝ちよ、古代君



私の顔を見たあなたはどう思うかしら?

どうしてってびっくりするかしら?

しつこいなって困った顔をするかしら?

でもね……

もうなにもかも遅いわよ

知らなかった?

私ってとってもしつこいんだから


だって

あなたと決めたその日から

いつまでもあなたのそばを離れないって

そう決めたんだもの



いつまでも……

どこまでも……

私はあなたとともにあることが

一番の幸せだって気が付いたんだもの

愛してる……














「雪……!?」

「いつでもどこでも一緒にいるって約束したじゃない。
私達、結婚式だってお預けだったよ……」




FIN


ヤマト2最終話のラストシーン直前、第一艦橋に隠れていた雪の思いです。さらばと違い、自分の意志で古代君とともに逝くことを決めた雪。意外と古代君以上に気持ちは落ち着いていたかもしれません。
だって彼女にとっては、古代君といつまでも一緒にいられることが一番ですものね
あい(2004.2.22)

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(背景:Holy-Another Orion)